カーブル国際空港自爆テロ事件
カーブル国際空港自爆テロ | |
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場所 | アフガニスタン、カーブル、カーブル国際空港 |
座標 | 北緯34度33分31秒 東経69度13分13秒 / 北緯34.55861度 東経69.22028度座標: 北緯34度33分31秒 東経69度13分13秒 / 北緯34.55861度 東経69.22028度 |
日付 | 2021年8月26日UTC+04:30) | (
標的 | アメリカ兵、アフガニスタン市民、タリバン構成員 |
攻撃手段 | 自爆テロ[1][2] |
死亡者 | 182+[3] |
負傷者 | 150+[4][5] |
犯人 | IS-K[6][7] |
攻撃者 | Abdul Rahman al-Logari[8] |
カーブル国際空港自爆テロ事件(カーブルこくさいくうこうじばくてろじけん、英: Kabul airport attack)は、2021年8月26日にアフガニスタンのカーブル国際空港周辺で発生した自爆テロと銃撃事件である[9]。ターリバーンによるアフガニスタン制圧を受け国外へ脱出しようと集まっていた多数のアフガニスタン人と、警備を行っていたアメリカ兵、またターリバーン関係者が事件に巻き込まれ、少なくとも182人が死亡した[3]。ISKPが犯行声明を発表している。
背景
[編集]アフガニスタンから米軍が撤退を始めたことを受け、ターリバーンが攻勢に出てアフガニスタン全土を掌握しつつあった2021年8月12日から、アメリカやイギリスなどは軍を一時的に増派させて大使館員やアフガニスタン人の協力者を脱出させようとしていた[10]。カーブルが陥落した15日には国外脱出を望むアフガニスタン人がカーブル国際空港に殺到してパニックが起きた他[11]、その後も空港には国外退避を望むアフガニスタン人が多く集まり、各国が自国民とアフガニスタン人協力者を空路で脱出させるよう活動していた[12]
そのような状況の中、米政府は21日、ISの地域組織による攻撃の可能性があるとして、個別に移動の指示を受けた人以外は空港に近づかないよう警告する危険情報を発出した[13]。その後もISによる攻撃は強く警戒されていて[14]、ジョー・バイデン大統領が24日にISIS-Kが空港を攻撃しようとしていると警告する会見を開くなどしていた[15]。
23日には正体不明の武装勢力によるアフガニスタン人の警備隊への銃撃があり、米独軍も応戦、アフガニスタン人の警備隊が1人死亡する事件があった[16]。
攻撃
[編集]現地時間2021年8月26日、アフガニスタン国際空港のアビーゲート付近で自爆テロが発生した。アビーゲートではアメリカ軍が空港に入るアフガニスタン人に保安検査を行っていて、多くの人が集まっていた[17]。IS-Kは、自爆犯はAbdul Rahman al-Logariと呼ばれている者であり[8]、米軍部隊から5メートルの位置で爆弾ベルトを起爆させたと主張している[18]。AP通信によれば、一般的な自爆テロの2.5倍から5倍の量の爆発物か使われたとされ[19]、爆発の威力は大きく水路に落ちたり道路に叩きつけられたりした人もいた[20]。
爆発の後、ISの戦闘員が群衆に向け銃撃を行ったとされる[14]。
犠牲者
[編集]少なくとも169人のアフガニスタン人、13人のアメリカ軍兵士が死亡した[3]。アフガニスタン人の中には、少なくとも28人のタリバン構成員も含まれている[21]。またアメリカ軍にとって、一度の事件で死亡した人数は、2011年にヘリコプターが撃墜されて30人が死亡したとき以来、最も多くなった[21]。
反応
[編集]- アメリカ合衆国のバイデン大統領は26日の会見で「代償を払わせる」と語り[22]、イスラム国支部組織へ報復を行った[23]。
- 空港の機能は翌27日に再開した[24]。
- 国際連合安全保障理事会は30日、自爆テロを「最も強い言葉で非難」し、アフガニスタンの領土をテロの温床にしないよう要求する決議を採択した[25]。
脚注
[編集]出典
[編集]- ^ “Officials: Explosion at Kabul airport appears to be a suicide attack”. CNN (26 August 2021). 26 August 2021時点のオリジナルよりアーカイブ。26 August 2021閲覧。
- ^ Seligman, Laura; Ward, Alexander; Desiderio, Andrew; Lippman, Daniel; McLeary, Paul. “13 U.S. troops killed in ISIS attacks on Kabul airport”. Capitol News Company, LLC. オリジナルの27 August 2021時点におけるアーカイブ。 27 August 2021閲覧。
- ^ a b c “US forces keep up Kabul airlift under threat of more attacks”. Associated Press (27 August 2021). 27 August 2021時点のオリジナルよりアーカイブ。27 August 2021閲覧。
- ^ “Kabul airport attack: What do we know?”. BBC News. (27 August 2021). オリジナルの27 August 2021時点におけるアーカイブ。 27 August 2021閲覧。
- ^ “Taliban says several killed in explosions outside Kabul airport” (英語). Al Jazeera (26 August 2021). 26 August 2021時点のオリジナルよりアーカイブ。26 August 2021閲覧。
- ^ “ISIS claims responsibility for suicide bombings in Kabul killing 12 US troops, over 70 civilians” (26 August 2021). 26 August 2021時点のオリジナルよりアーカイブ。26 August 2021閲覧。
- ^ “Islamic State claims responsibility for deadly Kabul airport attack” (英語). Reuters (26 August 2021). 26 August 2021時点のオリジナルよりアーカイブ。26 August 2021閲覧。
- ^ a b "Islamic State claims responsibility for Kabul airport blasts", Jason Burke, The Guardian
- ^ “カブール空港で爆発、米兵13人死亡 アフガン人多数犠牲、ISの自爆テロ”. 時事通信 (2021年8月27日). 2021年8月29日閲覧。
- ^ “米軍、アフガンに3千人増派へ…タリバン攻勢下で大使館員の退避支援”. 読売新聞 (2021年8月13日). 2021年8月29日閲覧。
- ^ “タリバン「全土掌握」で親米政権は崩壊…国外脱出しようと空港に市民ら殺到”. 読売新聞 (2021年8月17日). 2021-98-29閲覧。
- ^ “混乱のアフガン退避 米・同盟諸国の時間との闘い”. AFPBP (2021年8月23日). 2021年8月29日閲覧。
- ^ “米政府、イスラム国による攻撃を懸念 カブール空港に近づかないよう指示”. BBC (2021年8月23日). 2021年8月29日閲覧。
- ^ a b “アフガニスタン 空港付近で大規模爆発 自爆テロか 死傷者多数”. NHK (2021年8月27日). 2021年8月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年8月29日閲覧。
- ^ “US concerned about 'very specific threat stream' from ISIS-K against crowds outside Kabul airport”. CNN (26 August 2021). 25 August 2021時点のオリジナルよりアーカイブ。26 August 2021閲覧。
- ^ “カブール空港で銃撃戦、米独軍が加勢 アフガン人警備員死亡”. AFPBP. 2021年8月29日閲覧。
- ^ “カブールの空港周辺で爆発、米大統領が報復明言-米兵13人ら死亡”. Bloomberg (2021年8月26日). 2021年8月29日閲覧。
- ^ “カブール爆発、ISが犯行声明”. AFPBP (2021年8月27日). 2021年8月29日閲覧。
- ^ 読売新聞朝刊 8月29日 1面
- ^ “大爆発、群衆500人パニック 空覆う黒煙、響くサイレン―アフガン首都”. 時事通信 (2021年8月27日). 2021年8月29日閲覧。
- ^ a b “Kabul bombings: 13 US army personnel killed in attacks at airport”. アルジャジーラ (2020年8月26日). 2020年8月29日閲覧。
- ^ “バイデン氏「代償を払わせる」報復指示…カブール自爆テロで米兵13人死亡 : 国際 : ニュース”. 読売新聞オンライン (2021年8月27日). 2021年8月29日閲覧。
- ^ “米中央軍「標的を殺害」 カブール自爆テロ報復、無人機攻撃”. 毎日新聞. 2021年8月29日閲覧。
- ^ “カブール空港で退避便再開 米、さらなる攻撃の恐れ警告”. www.afpbb.com. 2021年8月29日閲覧。
- ^ “アフガン「安全に出国期待」 安保理決議、具体性はなし”. 朝日新聞. 2021年9月2日閲覧。