イブン・アル=ムカッファ
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イブン・アル=ムカッファ(ペルシア語: ابو محمد عبدالله روزبه این دادویه、アラビア語: ابن المقفع、Ibn al-Muqaffaʿ、721年 - 757年)は、ペルシア出身の著作家。イミニターブル(模倣しがたい)と呼ばれた名文家としても知られる。
生涯[編集]
ウマイヤ朝時代のフィールーザーバード (Firuzabad, Fars) の貴族の家庭に生まれる。バスラでアラビア語を学んで育ち、カーティブ(書記)として働く。アッバース朝成立前後に改宗し、父の異名を合わせて「アブドゥ・アッラーヒ・イブン・アル=ムカッファ」と名乗るようになった。アッバース朝でも書記として働き、アリー家に仕え、マワーリーと交流を深めた。しかし、アリー家を政敵と見なしたアッバース朝のカリフ・マンスールの命令で処刑された。
著作[編集]
翻訳[編集]
ペルシアのサーサーン朝の年代記『フダーイ・ナーメ』 (Khwaday-Namag) と、サーサーン朝朝の制度を扱った『アーイーン・ナーメ』をペルシア語からアラビア語へ翻訳した。また、インドの寓話『パンチャタントラ』をアラビア語に翻訳した『カリーラとディムナ』が有名となり、詩が中心であったアラビア語文学に散文を広めるきっかけとして影響を与えた。
創作[編集]
『アル=アダブ』 (Al-Adab al-Kabīr) という論考で広く知られる。「カビール(大)」と「サギール(小)」の二つからなり、慣習からなる礼儀作法や道徳について書かれている。アラビア語の「アダブ」を、作法、教養、倫理、文学とつなげて論じ、後世の散文に影響を与えた。影響を受けたとされる人物には、ジャーヒズ、イブン・クタイバ、ビールーニーなどがあげられる。
脚注[編集]
出典[編集]
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
- 黒柳恒男, 「ペルシア文学におけるカリーラとディムナ」『オリエント』 1969年 12巻 1-2号 p.1-16,168, doi:10.5356/jorient.12.1