アーミデール級哨戒艇
アーミデール級哨戒艇[1][2] | ||
---|---|---|
「アルバニー」 | ||
艦級概観 | ||
艦種 | 哨戒艇 | |
前級 | フリーマントル級哨戒艇 | |
次級 | 計画中 | |
主要諸元 | ||
排水量 | 基準: 300トン | |
全長 | 56.8m | |
水線長 | 52.1m | |
全幅 | 9.5m | |
深さ | 5m | |
吃水 | 2.7m | |
機関 | MTU 16V4000 (2,320 kW) | 2基 |
バウスラスター (160kW) | 1基 | |
スクリュープロペラ | 2軸 | |
速力 | 25ノット以下 | |
航続距離 | 3,000海里(12ノット) | |
乗員 | 29 | |
武装 | M242 25mm機関砲 | 1門 |
M2HB 12.7mm機銃 | 2挺 | |
搭載艇 | 7.24m複合艇 | 2隻 |
レーダー | ブリッジマスター E | |
電子戦 | プリズム3 ESM装置 |
アーミデール級哨戒艇(Armidale class patrol boat)は、オーストラリアの哨戒艇。14隻がオースタルによって建造された。
開発
[編集]オーストラリア海軍は、保有する15隻のフリーマントル級哨戒艇の老朽化に伴い、1999年より更新計画SEA 1444を立案していた[3]。これに対してディフェンス・マリタイム・サービスズ(DMS、後のDMSマリタイム)が設計し、建造をオースタルが担う分担で応札した[4]。2003年12月17日には、DMSの案が採用され5億3300万ドルで12隻の建造が決定、2004年10月には2隻が追加された[5]。
建造はオースタルが所有するフリーマントルのヘンダーソン造船所で行われた[6]。
設計
[編集]艇体
[編集]艇体は総アルミニウム製であり、南緯50度以南での活動は考慮されていない[6]。高速艇の商船規格に軍艦構造を組み合わせたハイブリッドであり、環境汚染と安全規格については民間船のものに準じている[7]
シーステート5まで対応し、シーステート4(波高2.5m)で全ての任務をこなして25ノットでの24時間巡航が、シーステート5(4m)で主要な捜索任務をこなすことが求められている。3,000海里の航続力を用いて1,000海里離れた洋上で42日間の任務に従事可能とされている[7]。
耐航性は、フリーマントル級よりも大型で半滑走型のV字型艇体とスタビライザーにより、能動的に海面の変化に対応することが可能となっている[7]。
人員
[編集]標準的な乗組員の構成は、船長を含む士官7人、下士官4人、伍長・兵18人の29人である。船室は、船長室1、士官用2人部屋3、下士官用2人部屋2、伍長・兵は2人部屋1に4人部屋4となっている。加えて、簡易寝台20台を運用可能である[1]。
オーストラリア海軍では、21人で運用している[2]。
装備
[編集]主砲としてタイフーンRWS上にM242 25mm機関砲を装備している他、ブリッジ後方両舷にM2HB 12.7mm機銃各1挺を有する[1]。
搭載艇はゾディアックの複合艇ZH 733を2隻後部甲板上に搭載している[7]。
光学機器に加え、スペリー・マリーンのE/F/IバンドレーダーブリッジマスターEとBAEシステムズ・オーストラリアのESM装置PRISM IIIを備え、通信機器はCEAテクノロジーズ製のものを採用している[8]。
運用
[編集]アーミデール級は、アーデント(Ardent)、アセイル(Assail)、アタック(Attack)、アウェア(Aware)の4個哨戒艇隊に振り分けられ、4隻が6組のクルーによって運用されている[9]。アウェア隊のみ半個艇隊規模であり、クルーも3組となっている[10]。配置は、ケアンズにアーデント隊が配備され[11]、他の3隊はダーウィンに配備されている[9]。
海上での捜索救難活動、不法入国阻止や排他的経済水域での密漁取り締まり等の治安維持、国境警備などに用いられている[12]。
問題点
[編集]硫化水素や一酸化炭素が内部に漏出する点が指摘されており、2006年には4人の負傷者が出ているとされる[13]。また、燃料やエンジンのトラブルに加えて、トイレの排水不良等の居住空間についての問題も指摘されている[13]。
同艦型
[編集]名称 | # | 就役 | 除籍 | 最終所属 |
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ACPB 83 | アーミデール HMAS Armidale |
2005年6月24日 | 2023年3月30日 | Attack |
ACPB 84 | ララキア HMAS Larrakia |
2006年2月10日 | 2023年11月28日 | |
ACPB 85 | バサースト HMAS Bathurst |
2006年2月10日 | 就役中 | |
ACPB 86 | アルバニー HMAS Albany |
2006年7月15日 | ||
ACPB 87 | ピリー HMAS Pirie |
2006年7月29日 | 2021年3月26日 | Assail |
ACPB 88 | メイトランド HMAS Maitland |
2006年9月29日 | 2022年4月28日 | |
ACPB 89 | アララト HMAS Ararat |
2006年11月10日 | 2022年7月2日 | |
ACPB 90 | ブルーム HMAS Broome |
2007年2月10日 | 就役中 | |
ACPB 91 | バンダバーグ HMAS Bundaberg |
2007年3月3日 | 2014年12月18日 | Ardent |
ACPB 92 | ウロンゴン HMAS Wollongong |
2007年6月23日 | 20222年12月8日 | |
ACPB 93 | チルダース HMAS Childers |
2007年7月7日 | 就役中 | |
ACPB 94 | ローンセストン HMAS Launceston |
2007年9月22日 | 2023年6月1日 | |
ACPB 95 | メアリーバラ HMAS Maryborough |
2007年12月8日 | 2023年9月28日 | Aware |
ACPB 96 | グレネルグ HMAS Glenelg |
2008年2月22日 | 2022年10月6日 |
登場作品
[編集]- 『シー・パトロール』
- 第2シーズン(Sea Patrol II: The Coup)以降の舞台として架空艇「ACPB-82 ハマースレイ(Hammersley)」が登場。
- 撮影には「ブルーム」が使用されており、撮影期間86日のうち42日間に及んだ。他の期間の撮影はスタジオやゴールドコーストで行われたが、一部は「ローンセストン」で行われている[14]。2010年には、オーストラリア海軍がYouTubeで「ララキア」の活動を公開したが、そのタイトルは「The real Sea Patrol 」としている[15]。
脚注
[編集]- ^ a b c “AUSTAL PATROL 56”. オースタル. 2012年12月3日閲覧。
- ^ a b “HMAS Armidale (II)”. オーストラリア海軍. 2012年12月3日閲覧。
- ^ “The Armidale Class Patrol Boat Project: Project Management”. オーストラリア国防省. 2012年12月11日閲覧。
- ^ “Joint Austal and Defence Maritime Services Bid for RAN Replacement Patrol Boat Project” (2001年10月23日). 2012年12月5日閲覧。
- ^ “SEA 1444 - Armidale Class Patrol Boat”. オーストラリア国防省 (2010年11月). 2012年12月5日閲覧。
- ^ a b “HMAS Armidale Commissioned”. オースタル (2005年6月24日). 2012年12月3日閲覧。
- ^ a b c d “SEA 1444 - Armidale Class Patrol Boat TECHNICAL SUMMARY”. オーストラリア国防省 (2004年10月26日). 2012年12月5日閲覧。
- ^ “Armidale Class Patrol Boat, Australia”. naval-technology.com. 2012年12月11日閲覧。
- ^ a b “Patrol Boat (PB)”. オーストラリア海軍. 2012年12月3日閲覧。
- ^ “Aware Division”. オーストラリア海軍. 2012年12月3日閲覧。
- ^ “Ardent Division”. オーストラリア海軍. 2012年12月3日閲覧。
- ^ “Attack Division”. オーストラリア海軍. 2012年12月11日閲覧。
- ^ a b Michael McKenna (2010年1月2日). “Gas risk remains for navy boats”. オーストラリアン. 2012年12月11日閲覧。
- ^ Michael Idato (2008年3月31日). “All ship shape”. The Sydney Morning Herald. 2012年12月11日閲覧。
- ^ “The real Sea Patrol”. オーストラリア海軍 (2010年6月20日). 2012年12月11日閲覧。