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アンナ・モッフォ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

アンナ・モッフォ(Anna Moffo、1932年6月27日? - 2006年3月10日)は、アメリカ合衆国出身のソプラノ歌手、テレビ司会者、女優

もっぱら1960年代に欧米で活躍した。全盛期には、美声と美貌ゆえに評価を集め、「La Bellissima(The Beautiful)」というニックネームで呼ばれた。生年については、1930年誕生説と1932年誕生説があり、確定していない。

アンナ・モッフォ
1962年
生誕 (1932-06-27) 1932年6月27日
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国, ペンシルバニア州
死没 2006年3月9日(2006-03-09)(73歳没)
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国, ニューヨーク市
職業 オペラ歌手、テレビ司会者、女優
活動期間 1956年–1974年
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来歴

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ペンシルベニア州ウェイン出身。

ラドナー高等学校を卒業後、映画撮影のためにハリウッドから声がかかるほどだったが、修道女になることを目指していたためその申し出を断わった。しかしながら奨学金を得て、フィラデルフィアカーティス音楽学校に進学する。1955年フルブライト奨学金を獲得してローマ聖チェチーリア音楽院に留学。

音楽活動

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同年スポレトにおいて、ドニゼッティの《ドン・パスクワーレ》のノリーナ役でデビューを果たす。翌年には、未来の夫マリオ・ランフランキ(RCAビクターおよびRAIのプロデューサー)の演出により、プッチーニの《蝶々夫人》にてテレビ出演を果たす。

1957年に母国で凱旋デビュー(シカゴ・リリック・オペラ座にてプッチーニの《ラ・ボエーム》のミミ役)。この年、スカラ座にもデビューし、ザルツブルク音楽祭においてカラヤンの指揮により、ヴェルディの《ファルスタッフ》にも出演。これがウィーン国立歌劇場との初共演となった。また同年は、12月8日に演出家のマリオ・ランフランキと結婚。1970年代までウィーンで歌手活動を続け、《リゴレット》のジルダ役、マスネの《マノン》のタイトルロール、グノーの《ファウスト》のマルグリート役、ビゼーの《カルメン》のミカエラ役、《椿姫》のヴィオレッタ役を十八番とした。

この間アメリカでは、1960年から1961年にかけてニューヨークメトロポリタン歌劇場に出演し、《リゴレット》のジルダ役、《愛の妙薬》のアディーナ役、プッチーニの《トゥーランドット》のリュー役をつとめ、ビルギット・ニルソンフランコ・コレッリとも共演した。また、オペラと関係ない映画《ローマのしのび逢い》にも主演するなど、完全に女優として通用する活躍ぶりであった。

1972年にランフランキと離婚し、1974年11月14日にRCAの取締役会長ロバート・サーノフと再婚。1970年代には、ヴェルディの《イル・トロヴァトーレ》のレオノーラ役や、《スティッフェーリオ》のリーナ役など、より激しい役柄をこなした。

モッフォは両親ともイタリア系でネイティブなイタリア語を話すこともあり、とりわけイタリアで人気があった。1960年から1973年まで同地のテレビ番組でメイン司会者を務め、またイタリアで最も美しい女性の10人に選ばれたこともある。母国ではオペラファンに礼賛され、作家のウェイン・コステンボーム(Wayne Koestenbaum)は、一冊の本になるほどの長大な頌詩『アンナ・モッフォへのオード』を物している。

酷使が祟ったためか、1960年代後半からは高音の衰えが目立つようになり、カルメンなどのメゾソプラノ役にも新境地を示したものの、ソプラノ歌手としてもやや早すぎる40代半ばで活動をほぼ停止した。

ドイツオペラはモーツァルトを除くと必ずしもメインのレパートリーではなかったが、活動最末期の70年代前半にはドイツでのレコーディングや撮影が多かった。まずはフランスオペラだがベルリンでマゼール指揮により《カルメン》、ミュンヘンでアイヒホルン指揮で《ヘンゼルとグレーテル》《美しきガラテア》を録音、さらにやはりミュンヘンでルネ・コロとの共演で《チャルダーシュの女王》《美しきヘレナ(ドイツ語版)》の2本の映画に主演。高音の衰えは隠せないものの、美貌と演技力(前者では他のオペラでは見せることのなかった激しい踊りも)をフルに示した。声が衰える60年代以前については、時代もあって録音はともかくオペラの映像記録が乏しく、1968年の映画『椿姫』が劣化したフィルム音声に拠ったと思われる音質でDVD化されている程度なため、ステレオ音声と35ミリカラーフィルムが残る最後の2本の映画は非常に貴重な記録となった。

1978年には萬田久子が日本代表として出場したミス・ユニバース世界大会(開催地はアカプルコ)で、デヴィ夫人らと共に審査員を務め、また1981年にも織作峰子が日本代表で出場した世界大会(開催地はニューヨーク)で審査員を務めた。

晩年と私生活

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1957年12月8日、映画監督のマリオ・ランフランキと結婚したが、1972年に離婚。2番目の結婚は、1974年11月14日、RCA社の会長であるロバート・サーノフとの結婚であった。1997年2月22日に夫サーノフと死別。

アンナ・モッフォは彼女の人生の最後の数年をニューヨーク市で過ごした。その後に乳癌を患う。乳癌との10年にわたる戦いの後と悪化にともない、2006年に73歳で脳卒中を起こし、ニューヨークにて逝去した[1]。実子はいないため、実弟と、夫の連れ子(義理の娘3人)が遺族となった。

彼女はニューヨーク州ヴァルハラのケンシコ墓地でサーノフと共に埋葬されている。

映画作品

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Year Title Role Notes
1960 Austerlitz La Grassini
1962 La serva padrona Serpina
1965 Menage all'italiana Giovanna
1967 La traviata Violetta Valery
1970 ローマのしのび逢い
Una storia d'amore
Evy
1970 冒険者
The Adventurers
Dania Leonardi
1970 The Divorce Elena, Leonardo's wife
1970 ジュールの恋人
A Girl Called Jules
Lia
1970 The Weekend Murders Barbara Worth
1970 Die Csárdásfürstin Sylva Varescu
1971 Lucia di Lammermoor Lucia

RCAビクターの録音(代表作)

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Anna Moffo in 1962
  • 1957 – Puccini – Madama Butterfly – Anna Moffo, Cesare Valletti, Rosalind Elias, Renato Cesari – Rome Opera Chorus and Orchestra, Erich Leinsdorf.
  • 1960 – Anna Moffo – Arias from Faust, La bohème, Dinorah, Carmen, Semiramide, Turandot, Lakmé – Rome Opera Orchestra, Tullio Serafin.
  • 1960 – Verdi – La traviata – Anna Moffo, Richard Tucker, Robert Merrill – Rome Opera Chorus and Orchestra, Fernando Previtali.
  • 1961 – Puccini – La bohème – Anna Moffo, Richard Tucker, Mary Costa, Robert Merrill, Giorgio Tozzi, Philip Maero – Rome Opera Chorus and Orchestra, Erich Leinsdorf.
  • 1962 – Pergolesi – La serva padrona – Anna Moffo, Paolo Montarsolo – Rome Philharmonic Orchestra, Franco Ferrara.
  • 1962 – Recital of Verdi Heroines – The RCA Italiana Opera Orchestra, Franco Ferrara.
  • 1963 – Verdi – Rigoletto – Robert Merrill, Anna Moffo, Alfredo Kraus, Rosalind Elias, Ezio Flagello – The RCA Italiana Opera Chorus and Orchestra, Georg Solti.
  • 1963 – Puccini – Manon Lescaut (Highlights) – Anna Moffo, Flaviano Labò, Robert Kerns – The RCA Italiana Opera Orchestra and Chorus, René Leibowitz.
  • 1963 – Massenet – Manon (Highlights) – Anna Moffo, Giuseppe Di Stefano, Robert Kerns – The RCA Italiana Opera Orchestra and Chorus, René Leibowitz.
  • 1964 – Canteloube: Songs of the Auvergne / Villa-Lobos: Bachianas Brasileiras / Rachmaninoff: Vocalise – Anna Moffo – American Symphony Orchestra, Leopold Stokowski.
  • 1964 – Verdi – Luisa Miller – Anna Moffo, Carlo Bergonzi, Shirley Verrett, Cornell MacNeil, Giorgio Tozzi, Ezio Flagello – The RCA Italiana Opera Chorus and Orchestra, Fausto Cleva.
  • 1965 – Gluck – Orfeo ed Euridice – Shirley Verrett, Anna Moffo, Judith Raskin – Polyphonic Chorus of Rome, I Virtuosi di Roma, Renato Fasano.
  • 1965 – Donizetti – Lucia di Lammermoor – Anna Moffo, Carlo Bergonzi, Mario Sereni, Ezio Flagello – The RCA Italiana Opera Chorus and Orchestra, Georges Prêtre.
  • 1966 – Puccini – La Rondine – Anna Moffo, Daniele Barioni, Graziella Sciutti, Piero de Palma, Mario Sereni – The RCA Italiana Opera Chorus and Orchestra, Francesco Molinari-Pradelli.
  • 1974 – Halevy – La Juive (Highlights) – Richard Tucker, Martina Arroyo, Anna Moffo, Juan Sabate, Bonaldo Giaiotti – Ambrosian Opera Chorus, New Philharmonia Orchestra, Antonio de Almeida.
  • 1974 – Massenet – Thaïs – Anna Moffo, José Carreras, Gabriel Bacquier, Justino Díaz – Ambrosian Opera Chorus, New Philharmonia Orchestra, Julius Rudel.
  • 1976 – MontemezziL'amore dei tre re – Anna Moffo, Plácido Domingo, Pablo Elvira, Cesare Siepi – Ambrosian Opera Chorus, London Symphony Orchestra, Nello Santi.

脚注

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