コンテンツにスキップ

アサバスカサウルス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
アサバスカサウルス
生息年代: 112.6–109 Ma
地質時代
前期白亜紀アルビアン
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 爬虫綱 Reptilia
亜綱 : ?広弓亜綱 Euryapsida
?双弓亜綱 Diapsida
: 魚竜目 Ichthyosauria
: オフタルモサウルス科
Ophthalmosauridae
亜科 : プラティプテリギウス亜科
Platypterygiinae
: アサバスカサウルス
Athabascasaurus
学名
Athabascasaurus
Druckenmiller & Maxwell, 2010
  • A. bitumineus Druckenmiller & Maxwell, 2010(模式種)

アサバスカサウルス学名:Athabascasaurus)は、カナダアルバータ州で発見されたオフタルモサウルス科プラティプテリギウス亜科の魚竜の絶滅した属である[1][2]下部白亜系アルビアン階から化石が産出し、タイプ標本はロイヤル・ティレル古生物学博物館に所蔵されている[3]

発見

[編集]

アサバスカサウルスは模式標本 TMP 2000.29.01 から知られており、それはほぼ完全で繋がった頭骨以降の体骨格と、前顎骨が失われている以外はほぼ完全で背面が見えるように保存されている頭骨からなる。標本は2000年にシンクルード・カナダ有限会社の西側(フォートマクマレー近辺の露天掘り鉱山)で収集された。標本は約1億1200万年前の白亜紀前期アルビアン期にあたるクリアウォーター層ワビスコウ部層で発見された[1]

特徴

[編集]

前頭骨が上側頭窓に接触しない点は、レニニアパルベンニアと一致する。仙椎よりも前方の椎骨は42個確認されている。腸骨は体の後方を向き、側面はヤヌサウルスと同様に卓越した凹状をなす。座骨恥骨は完全に癒合し、極めて肥大化した縁が正中線上に存在する[1]

分類

[編集]

後の系統学的解析から、アサバスカサウルスはプラティプテリギウス・アウストラリスカイプリサウルスに最も近縁であり、プラティプテリギウス亜科内に配置されることが判明した[4][5]

下のクラドグラムはFischerらの2013年の論文に基づく[6]

トゥンノサウルス類 

イクチオサウルス

ステノプテリギウス

チャカイコサウルス

 オフタルモサウルス科 

アースロプテリギウス

*
 オフタルモサウルス亜科 

レニニア

モレサウルス

オフタルモサウルス

バプタノドン ("O." natans)

アカンプトネクテス

 プラティプテリギウス亜科 

ブラキプテリギウス

マイアスポンディルス

アエギロサウルス

スヴェルトネクテス

プラティプテリギウス・ヘルキニクス

カイプリサウルス

アサバスカサウルス

プラティプテリギウス・アウストラリス(=Longirostria[7])

語源

[編集]

アサバスカサウルスは2010年にパトリック・S・ドラッケンミラーとエリン・E・マクスウェルにより命名された。タイプ種は Athabascasaurus bitumineus である。属名は模式標本が収集されたアサバスカ・オイルサンド地域を流れているアサバスカ川と、ギリシャ語でトカゲを意味する sauros に由来する。種小名はオイルサンド鉱山で発見されたということを反映している[1]

出典

[編集]
  1. ^ a b c d Patrick S. Druckenmiller; Erin E. Maxwell (2010). “A new Lower Cretaceous (lower Albian) ichthyosaur genus from the Clearwater Formation, Alberta, Canada”. Canadian Journal of Earth Sciences 47 (8): 1037–1053. Bibcode2010CaJES..47.1037D. doi:10.1139/E10-028. 
  2. ^ Athabascasaurus Druckenmiller and Maxwell 2010”. Paleobiology Database. Fossilworks. 21 July 2017閲覧。
  3. ^ Henderson, D. (2013年). “A one-in-a-billion dinosaur find.”. The Guardian. https://www.theguardian.com/science/lost-worlds/2013/may/13/dinosaurs-fossils 2013年11月21日閲覧。 
  4. ^ Fischer, Valentin; Edwige Masure; Maxim S. Arkhangelsky; Pascal Godefroit (2011). “A new Barremian (Early Cretaceous) ichthyosaur from western Russia”. Journal of Vertebrate Paleontology 31 (5): 1010–1025. doi:10.1080/02724634.2011.595464. https://orbi.uliege.be/handle/2268/92828. 
  5. ^ Valentin Fischer; Michael W. Maisch; Darren Naish; Ralf Kosma; Jeff Liston; Ulrich Joger; Fritz J. Krüger; Judith Pardo Pérez et al. (2012). “New ophthalmosaurid ichthyosaurs from the European Lower Cretaceous demonstrate extensive ichthyosaur survival across the Jurassic–Cretaceous boundary”. PLoS ONE 7 (1): e29234. Bibcode2012PLoSO...729234F. doi:10.1371/journal.pone.0029234. PMC 3250416. PMID 22235274. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3250416/. 
  6. ^ Fischer, V.; Arkhangelsky, M. S.; Uspensky, G. N.; Stenshin, I. M.; Godefroit, P. (2013). “A new Lower Cretaceous ichthyosaur from Russia reveals skull shape conservatism within Ophthalmosaurinae”. Geological Magazine 151: 1. doi:10.1017/S0016756812000994. 
  7. ^ Arkhangel’sky, M. S., 1998, On the Ichthyosaurian Genus Platypterygius: Palaeontological Journal, v. 32, n. 6, p. 611-615.