SOTA (ロシアの通信社)

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SOTA(ソタ)は、ロシアとその近隣諸国の人権・政治的な問題、抗議行動を扱うニュースサイトである。

40人あまりの特派員の地域ネットワークを通じ、抗議行動の報道を行い、反響を呼んだ。ロシア当局からの拘留や逮捕、罰金・殴打などの暴力を特派員たちは度々受けており、特派員を匿名にして弁護士をつけることで保護をしながらロシア国内からの報道を続けている。しかし海外に移した編集スタッフのなかには、刑事訴追の恐れからロシアに帰国出来ない者もいるという。

専門知識を持つチームを持っていないことから国際的な話題には焦点を当てておらず、情報確認や入手が出来ないため、2022年ロシアのウクライナ侵攻のカバーを回避している。しかし、侵攻によって発生している反戦抗議・ロシアの難民状況・参加拒否者など、ロシア国内の話題は取り上げている[1][2]

概要[編集]

設立の経緯・活動[編集]

2015年12月31日、Sota.visionはGrani.Ruに所属していたアレクサンドラ・アゲエバによりロシア連邦通信・情報技術・マスコミ分野監督庁(Roskomnadzor)に登録された[3][2]

当初は抗議に関するYouTubeチャンネルのみであったが、2020年春以降に本格的なマルチメディアとして活動している。

2021年にSOTAに改名。その後、創設者アレクサンドラ・アゲエバと編集長オレグ・エランチックが外国エージェントのリストに加えられた[4][5]。同年9月、Telegramのデザインを変更。暴動を扇動したとして告発された大学生によるもので、大学生に対して刑事訴訟が提起されたときに支援の印として行ったという[6][7]

2022年5月28日、SOTA編集部は分裂。創設者側と新しい編集委員会との間に開発の方向性の違いが出たためであるという。創設者率いるSota.visionはYouTubeチャンネル・TikTok・Instagramを継続し、TelegramとTwitterを2年間運営してきたチームが新たにFacebook・Instagram・YouTubeチャンネルを創設した。編集チームの90%が編集委員会側に残ったという[8]。同年8月28日、SOTAの編集委員会側によりニュースサイトが設立された。

ロシア当局によるジャーナリストへの嫌がらせ[編集]

2022年4月2日、軍事パトロールがフォトジャーナリストの携帯電話を破壊した[9][10]。この行為が合法であるとして、攻撃してきた軍人への刑事訴訟が拒否された[11]。その後、5月7日にモスクワの自宅近くで逮捕された特派員は、病棟に一晩留置された。弁護士は法廷への出席を拒否され、8日に特派員は「警察に対しパスポートの停止を拒否した不服従の罪」で起訴された[12]。同月9日に単独での反戦ピケを撮影していた特派員は、警察に拘束され、3時間後に釈放された[13]

出典・脚注[編集]

  1. ^ Spicer, Sarah (2022年3月28日). “Российские власти преследуют и задерживают журналистов независимого новостного издания «Сота»” (ロシア語). Committee to Protect Journalists. 2023年1月7日閲覧。
  2. ^ a b Staff, C. P. J. (2022年10月18日). “SOTA, one of the last independent news outlets in Russia, doubles down on coverage” (英語). Committee to Protect Journalists. 2023年1月7日閲覧。
  3. ^ Перечень наименований зарегистрированных СМИ”. Роскомнадзор. 2023年1月7日閲覧。
  4. ^ Главреда Sota.Vision Олега Еланчика внесли в реестр СМИ-«иноагентов»” (ロシア語). Новая газета (2221年12月26日). 2023年1月7日閲覧。
  5. ^ Минюст объявил учредителя Sota.Vision Александру Айнбиндер «иностранным агентом»” (ロシア語). Meduza (2022年2月11日). 2023年1月7日閲覧。
  6. ^ https://twitter.com/maffka_p/status/1408788568349282310”. Twitter (2021年6月26日). 2023年1月7日閲覧。
  7. ^ «Сегодня это Маша, завтра, вероятно, я» Репортаж из Басманного суда, где следствие требовало отправить в СИЗО студентку ВШЭ Марию Платонову” (ロシア語). Новая газета (2030年6月13日). 2023年1月7日閲覧。
  8. ^ Редакцию «Соты» поделили на две” (ロシア語). ЛенИздат.ru (2022年5月28日). 2023年1月7日閲覧。
  9. ^ Приковавшую себя к забору госпиталя активистку отпустили с протоколом о дискредитации ВС” (ロシア語). ЗакС.Ру. 2023年1月7日閲覧。
  10. ^ "Скрутили, кинули на пол. Он, бедный, вопил". Задержания на антивоенных акциях” (ロシア語). Север.Реалии (2022年4月2日). 2023年1月7日閲覧。
  11. ^ Журналистке SOTA отказали в возбуждении дела на напавшего на нее военного” (ロシア語). Север.Реалии (2022年6月25日). 2023年1月7日閲覧。
  12. ^ Скат media”. Telegram (2022年5月8日). 2023年1月7日閲覧。
  13. ^ Spicer, Sarah (2022年5月11日). “На фоне празднования Дня Победы в России задержаны журналисты, у них проведены обыски” (ロシア語). Committee to Protect Journalists. 2023年1月7日閲覧。

外部リンク[編集]