RefWorks

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RefWorks
開発元 Ex Libris
ProQuest英語版傘下)
対応OS ウェブベースでOS独立型[1]
種別 引用管理ソフトウェア
ライセンス プロプライエタリ
公式サイト www.exlibrisgroup.com/products/refworks-reference-management
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RefWorks(レフワークス)はウェブアプリケーションのひとつで、商用の引用管理ソフトウェアのパッケージである[2][3]。製作のEx_Libris英語版(エクスリブリス)の親会社はProQuest(プロクエスト)英語版という。2001年創業時の商号はRefWorks LLC、ソフトウェアの開発と顧客サービスをEarl B. Beutlerに委託し、販売会社は当初の旧称Cambridge Scientific Abstracts(ケンブリッジ・サイエンティフィック・アブストラクツ、2002年-2008年)から買収によりProQuestに移った[4]

機能と特徴[編集]

個人ライセンスのほか、大学が機関ライセンスを取得すると、学生と教職員全員がRefWorksを利用でき、参考文献データベースをオンラインに保存したり、インターネット接続を介して任意のPCまたは端末からアクセスし、自分が保存した内容を更新する。またRefWorks登録機関のOpenURLリゾルバを組み込むと、先方が購読する学術専門誌(ジャーナル)の電子版を自分のアカウントへリンクできる。

多くの書誌データベースのプロバイダはRefWorksに直接、引用情報をエクスポートする機能を備えている。PubMed他、いったん出典情報をテキスト形式でユーザーのPCに保存させる仕様も採用され、それをRefWorksにインポートして利用する手順を設けた。競合する書誌データベースScopusは2005年、RefWorksと提携契約に入り、2社の製品の連携を強化した[5]

ユーティリティのうち、RefWorksからMicrosoft Word形式の文書に引用文献のコードを挿入するには、ワードプロセッサ統合型の「Write-N-Cite」(ライト-アンド-サイト)を使い、さらに出力先の文書をフォーマットすると、さまざまな書式の引用を文中に埋め込んだり、引用一覧や参考文献一覧を作成することもできる[6][7]が、所属組織にアカウント登録して利用にはグループコードの入力が必要[8]MacOS用には2012年初め、Write-N-Cite(WNC4)の新バージョンをリリース。

2005年にはモジュールを「RefShare」(レフシェア)と名づけ、ユーザーにRefWorksデータベースの全部または一部を公開させるようになった。そのためにデータベースまたはフォルダに対応する読み取り専用のURLを作成している。電子メールで送信したり、ウェブサイトに投稿したりできる上、RefShareフォルダでRSSを有効にすると、新しい引用が追加されてデータベースが更新されるたび、フィードが届く[9]https://www.sunmedia.co.jp/refworks-manual/ 携帯電話用の「RefMobile」は(レフモバイル)2009年に導入した[10]

組み込みUIのひとつに「RefGrab-It」(レフグラブイット)があり、Webサイトから書誌情報を取得する。2009年時点で最適化、AmazonGoogle ScholarPubMed、ウィキペディアの他、報道関係でBBCと『USA TODAY』、『ニューヨークタイムズ』、『ロサンゼルスタイムズ』と連携しはじめた。2009年の改訂まで、機能するウェブブラウザFirefoxおよびInternet Explorer限定であった[11]

RefWorks-COSが現行のUIであるRefWorks2.0をリリースしたのは2010年である[12]

ProQuestは2016年に発表したRefWorksから、コンテンツをドラッグアンドドロップでPDF化する機能他を追加、ユーティリティに旧来の#RefGrab-Itではなく「Save to RefWorks」(セーブ・トゥ・レフワークス)を取り入れた[13]。RefWorks 2.0は商品名を「レガシーRefWorks」に変更、利用者はレガシーから新RefWorksにアップグレードする選択肢を示された[14]

カナダの大学とアクセス[編集]

2004年、オンタリオ大学図書館評議会コンソーシアムOCUL(英語))は加盟20機関に代わってRefWorksのライセンスを取得し、RefWorksソフトウェアを「Scholars Portal」(スカラーズ・ポータル)に属するデータサーバに搭載して、ライセンス供与されたデジタルリソースのプラットフォームを提供してきた[15]。加盟機関はソフトウェアに加え、所属の利用者アカウントのデータを同じくScholars Portal上のトロント大学のサーバに預ける形態であった。カナダの他の大学図書館もScholars Portalを介してRefWorksのライセンス契約を締結し続けており、それらのデータも前出のサーバに格納された。この措置はCBCニュース (カナダ) の報道[16]によると、アメリカ国内に置いたRefWorksのサーバにあるデータは米国愛国者法の精査の対象であり、その点でアメリカ国民ではない個人(この場合カナダ人)の研究対象に関する情報に生じる脆弱性の可能性を懸念したという[17][18]

2015年半ば時点で、OCULはRefWorksのホスト先をカナダ国外にする計画を発表した[19][20]。カナダの大学図書館の対応は分かれ、自国外のRefWorksサーバへのデータ移行を選択したり、RefWorksへのサブスクリプション中止を選択したりであった[21]

日本の大学とアクセス[編集]

以下は発表順の一覧である。

出典[編集]

  1. ^ ユーティリティを除く。
  2. ^ 5.当館の書誌データへの要望事項(自由回答)」『NDL 書誌情報ニュースレター2017』第1号、国立国会図書館デジタルコレクション、2017年、19頁、2021年8月18日閲覧 
  3. ^ 収集書誌部 収集・書誌調整課 書誌サービス係「国立国会図書館書誌データの利活用―2021年1月からの変更点を中心に―」『第22回図書館総合展』、国立国会図書館、2020年(令和2年)11月、12頁、2021年8月18日閲覧 
  4. ^ "ProQuest acquires RefWorks" (Press release). ProQuest LLC. 18 January 2008. 2012年2月2日閲覧
  5. ^ RefWorks”. SciVerse. 2012年2月13日閲覧。
  6. ^ Hendrix 2004, pp. 111–113.
  7. ^ a b 藤原 2014, pp. 53–70.
  8. ^ 愛知学院大学歯学・薬学図書館情報センター (2011年11月2日). “(3310069) RefWorksのWrite-N-Citeを使用時に入力が必要である機関番号を知りたい。”. レファレンス協同データベース. 国立国会図書館. 2023年9月6日閲覧。
  9. ^ RefShare Now Available”. www.refworks.com (2005年3月11日). 2012年2月8日閲覧。
  10. ^ RefWorks Launches Mobile Phone Interface”. RefWorks-COS (2009年3月). 2012年2月13日閲覧。
  11. ^ Quint, Barbara (2009年6月22日). “RefWorks-COS Enhances RefGrab-It”. Information Today. http://newsbreaks.infotoday.com/NewsBreaks/RefWorksCOS-Enhances-RefGrabIt-54802.asp 2012年2月13日閲覧。 
  12. ^ RefWorks-COS Plans to Launch RefWorks 2.0”. RefWorks-COS (2009年11月30日). 2012年2月13日閲覧。
  13. ^ Reiten, Beth. "LibGuides: New RefWorks: Welcome to the New RefWorks!". proquest.libguides.com (Press release) (英語). 2018年7月4日閲覧
  14. ^ "Upgrade from Legacy RefWorks to New RefWorks". Ex Libris Knowledge Center (Press release) (アメリカ英語). 28 June 2018. 2018年7月4日閲覧
  15. ^ Information 2012, pp. 38–40.
  16. ^ Patriot Act fears prompt universities to patriate computers”. CBC News (2006年10月31日). 2012年2月7日閲覧。
  17. ^ Crawley (2006年12月4日). “Academic libraries repatriate research” (aspx). University Affairs. 2012年3月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年2月7日閲覧。
  18. ^ Scigliano, Marisa (2010-06). “Measuring the Use of Networked Electronic Journals in an Academic Library Consortium: Moving beyond MINES for Libraries® in Ontario Scholars Portal” (英語). Serials Review 36 (2): 72–78. doi:10.1080/00987913.2010.10765287. ISSN 0098-7913. http://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/00987913.2010.10765287.  仮訳「学術図書館コンソーシアムにおけるネットワーク電子ジャーナルの使用状況の測定:オンタリオ州学術ポータル MINES for Libraries® のその先へ」
  19. ^ Charlton (2015年5月28日). “Upcoming Refworks migration”. The Libvine: What's going on at the Dalhousie Libraries. Dalhousie University. 2015年6月16日閲覧。
  20. ^ MacEwan University Library. “Important Changes to RefWorks”. MacEwan University Library. 2015年6月16日閲覧。
  21. ^ Memorial University Libraries (2015年3月30日). “Important Announcement About Refworks”. Memorial University Libraries. 2015年6月16日閲覧。
  22. ^ 三谷 2007, pp. 232–235
  23. ^ 湯川 2007, pp. 12–13
  24. ^ 東京経済大学図書館 2018, pp. 5–6
  25. ^ 小島 2020, pp. 69–72
  26. ^ 田口 2020, pp. 65–68

参考文献[編集]

主な執筆者名・媒体名の順。アルファベット順→50音順。

洋書

;和書

関連項目[編集]

関連資料[編集]

発行年順。

  • 片岡 真「学術情報マネージメント、ERMS、次世代OPAC」平成20年度国立大学図書館協会地区協会助成事業ワークショップ「大学における研究・教育活動と電子リソース利用の現在」発表資料 平成21年1月29日 広島大学中央図書館ライブラリーホール。
  • "Citation Management with RefWorks". A Guide to Using Online Services of the NDL『国際協力関係ニュース』2015年北米日本研究資料調整協議会(NCC)会議発表資料(会期は2015年3月24日~29日。)

外部リンク[編集]