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P2Y受容体

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

P2Y受容体(P2Yじゅようたい、P2Y receptors)は、プリン受容体英語版であるG蛋白質共役受容体に分類されるP2受容体ファミリーの一種である。ATPADPUTPUDPUDPグルコース等のヌクレオチドで刺激される。ヒトでは8種類の受容体が存在することが知られており、それぞれP2Y1英語版P2Y2英語版P2Y4英語版P2Y6英語版P2Y11英語版P2Y12英語版P2Y13英語版P2Y14英語版と呼ばれている[1]

P2Y受容体はヒトのほとんどの組織に存在しており、G蛋白質と共役する多彩な生物学的機能を担っている。

共役

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P2Y受容体の賦活化が意味する生物学的機能は、シグナル伝達経路の下流とどのように共役しているかで異なる。共役する蛋白質としては、GiGq/11Gs蛋白質がある。ヒトP2Y受容体とG蛋白質の共役について、下記にまとめる。

蛋白質 遺伝子 共役 ヌクレオチド
P2Y1英語版 P2RY1 Gq/11 ADP
P2RY2英語版 P2RY2 Gq/11 ATP, UTP
P2RY4英語版 P2RY4 Gi and Gq/11 UTP
P2RY5 /
LPA6英語版
LPAR6 リゾホスファチジン酸[2]
P2RY6英語版 P2RY6 Gq/11 UDP
P2RY8英語版 P2RY8 オーファン受容体
P2RY9 /
LPAR4英語版 /
GPR23
LPAR4 リゾホスファチジン酸
P2RY10英語版 P2RY10 オーファン受容体
P2RY11英語版 P2RY11 Gs and Gq/11 ATP
P2RY12英語版 P2RY12 Gi ADP
P2RY13英語版 P2RY13 Gi ADP
P2RY14英語版 P2RY14 Gi UDPグルコース

P2Y受容体の番号が処々飛んでいるのは、発見時にはP2Y受容体であると考えられたものの、その後異なることが明らかになったものがあるためである。

臨床的意義

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  • P2Y2嚢胞性線維症治療薬の標的となり得る[3]
  • P2Y11は免疫反応の制御作用を持つ。その多型の内、北欧のコーカソイドの2割前後で見られるものは、心筋梗塞のリスクを上昇させることが知られており、P2Y11心筋梗塞治療薬の標的となる可能性がある[4]
  • P2Y12は抗血小板薬であるクロピドグレル[5]や他のチエノピリジン系薬剤の標的である。

出典

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  1. ^ “International Union of Pharmacology LVIII: update on the P2Y G protein-coupled nucleotide receptors: from molecular mechanisms and pathophysiology to therapy”. Pharmacol. Rev. 58 (3): 281–341. (2006). doi:10.1124/pr.58.3.3. PMC 3471216. PMID 16968944. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3471216/. 
  2. ^ Pasternack SM, von Kügelgen I, Aboud KA, Lee YA, Rüschendorf F, Voss K, Hillmer AM, Molderings GJ, Franz T, Ramirez A, Nürnberg P, Nöthen MM, Betz RC. "G protein-coupled receptor P2Y5 and its ligand LPA are involved in maintenance of human hair growth." Nature Genetics 2008 Mar;40(3):329-34. PMID 18297070
  3. ^ “Inhaled P2Y2 receptor agonists as a treatment for patients with Cystic Fibrosis lung disease”. Adv. Drug Deliv. Rev. 54 (11): 1463–74. (2002). doi:10.1016/S0169-409X(02)00154-0. PMID 12458155. 
  4. ^ “Increased risk of acute myocardial infarction and elevated levels of C-reactive protein in carriers of the Thr-87 variant of the ATP receptor P2Y11”. Eur. Heart J. 28 (1): 13–8. (2007). doi:10.1093/eurheartj/ehl410. PMID 17135283. 
  5. ^ “P2Y12, a new platelet ADP receptor, target of clopidogrel”. Seminars in vascular medicine 3 (2): 113–22. (2003). doi:10.1055/s-2003-40669. PMID 15199474. 

外部リンク

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