HD 49798

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
HD 49798
星座 とも座
見かけの等級 (mv) 8.287 ± 0.0024[1]
分類 恒星
位置
元期:J2000.0[1]
赤経 (RA, α)  06h 48m 04.69996s[1]
赤緯 (Dec, δ) −44° 18′ 58.4377″[1]
赤方偏移 0.000010 ± 0.000033[1]
視線速度 (Rv) 3 ± 10 km/s[1]
固有運動 (μ) 赤経: -4.73 ± 0.53 mas/年[1]
赤緯: 5.39 ± 0.52 mas/年[1]
年周視差 (π) 1.20 ± 0.50 mas[1]
距離 2120 ± 330 光年
(650 ± 100 pc[2])
絶対等級 (MV) -0.78 +0.36
−0.31
物理的性質
半径 1.45 ± 0.25 R[2]
質量 1.50 ± 0.05 M[2]
表面重力 19.9 G
スペクトル分類 sdO6p[1]
光度 7800 L[2]
表面温度 46500 K[2]
色指数 (B-R) -0.374 ± 0.0036[1]
色指数 (B-V) -0.270 ± 0.0048[1]
色指数 (U-B) -1.259 ± 0.0053[1]
色指数 (V-R) -0.104 ± 0.0036[1]
色指数 (V-I) -0.256 ± 0.0036[1]
色指数 (V-J) -0.575 ± 0.0284[1]
色指数 (V-H) -0.718 ± 0.0274[1]
色指数 (R-I) -0.152 ± 0.0024[1]
色指数 (R-J) -0.471 ± 0.0272[1]
色指数 (J-H) -0.143 ± 0.051[1]
色指数 (H-K) -0.067 ± 0.058[1]
他のカタログでの名称
HIP 32602,
TYC 7639-1289-1,
UBV 6765,
GSC 07639-01289,
PPM 311129,
SAO 218207,
2MASS J06480469-4418584[1].
Template (ノート 解説) ■Project
RX J0648.0–4418[2]
変光星型 X線変光星[3]
分類 白色矮星
軌道の種類 X線連星[3]
発見
発見日 1997年[3]
軌道要素と性質
軌道長半径 (a) 250万 km[4]
離心率 (e) 0[2]
公転周期 (P) 1.5476666 ± 0.0000022 日[2]
軌道傾斜角 (i) 79 - 84 度[2]
物理的性質
半径 3000 km[2]
質量 1.28 ± 0.05 M[2]
平均密度 22500 kg/cm3
表面重力 1950000 G
自転速度 1430 km/s
自転周期 13.18425 ± 0.00004 秒[2]
光度 0.03 L[2]
他のカタログでの名称
RXJ0648[5],
RX J0648.0-4419[1],
RX J0648.1-4419[1].
Template (ノート 解説) ■Project

HD 49798は、とも座恒星の1つでO型主系列星[1]。伴星で白色矮星RX J0648.0–4418を持つ[2]

概要[編集]

大きさの比較
太陽 HD 49798
太陽 Exoplanet

HD 49798は、地球から見てとも座にある恒星で、地球から2120光年(650pc)離れた位置にある。地球から見た明るさは8.3等級であり、計算される絶対等級は-0.8等級である。赤方偏移や視線速度の値はほとんど0であり、地球に近づいているのか遠ざかっているのかはまだわかっていない[1]

太陽と比べて直径は1.45倍、質量は1.50倍であると推定されている。太陽の7800倍も明るく、太陽が2時間以上かけて放出するエネルギーを1秒で放出する。表面温度は46500Kという高温の恒星である[2]

伴星[編集]

大きさの比較
地球 RX J0648.0-4418
地球 Exoplanet

HD 49798は、伴星として白色矮星のRX J0648.0–4418を持っている。ほぼ正確に、わずか13.1842秒で自転するこの白色矮星は、はじめは同じ周期で太陽の5%の明るさのX線を放出する変光星として発見された。1997年に発見されたこのX線天体は、はじめはその正体が不明であったが、欧州宇宙機関X線観測衛星XMM-Newtonによって、正体が白色矮星と判明した[2][3]

RX J0648.0–4418は、質量が太陽の1.28倍ある[2]。これは、白色矮星としての限界質量であるチャンドラセカール限界の1.44Mに近く、発見された白色矮星としては最も重いものであった。これまで発見された白色矮星の多くは0.6Mであるため、その倍以上もあることになる。また、測定された自転も白色矮星としては最速級である[3]

RX J0648.0–4418は、HD 49798とほぼ同じ質量であるため、2つの天体の重心を中心に公転しているような運動をしている。公転半径は太陽半径の3.4倍、250万kmしかなく、これは地球と月の6.6倍しか離れていない[4]。この公転半径をほぼ1日13時間8分38秒で公転している[2]。また、RX J0648.0–4418の直径は地球の約半分の6000kmである。このため、平均密度は1cm3あたり22.5トンに達し、表面重力は地球の195万倍もある。

将来[編集]

RX J0648.0–4418は、HD 49798から物質が流れ込んでおり、質量が増大している。今後数百万年のうちに、RX J0648.0–4418はチャンドラセカール限界に達し、Ia型超新星爆発を起こすと考えられている。Ia型超新星の絶対等級は-19.3等級であるため、2120光年離れた距離にある場所での爆発で地球に直接の影響は無いが、視等級は満月に匹敵する-10.2等級の明るい新星として、昼間でも見える明るさになるはずである[3]

関連項目[編集]

出典[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z HD 49798 -- High Mass X-ray Binary SIMBAD
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r X-RAY AND OPTICAL OBSERVATIONS OF THE UNIQUE BINARY SYSTEM HD49798/RXJ0648.0–4418 arXiv
  3. ^ a b c d e f XMM-Newton uncovers a celestial Rosetta stone ESA
  4. ^ a b The Discovery of 13 second X-Ray Pulsations from the Hydrogen-depleted Subdwarf O6 Star Binary HD 49798 IOPscience
  5. ^ なぞの天体は、大質量の白色矮星だった AstroArts

座標: 星図 06h 48m 04.69996s, −44° 18′ 58.4377″