AL-41 (エンジン)

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AL-41F1.44の為に設計されたロシアNPO サトゥールンが開発した可変サイクルジェットエンジンである。超音速巡航能力を獲得することを目的としている。開発名称はIzdeliye 20。研究開発には1.5億ドルが投資された[1]

開発[編集]

1981年、I-90(Istrebitel-90,戦闘機90)のテーマの元ソ連における第五世代のエンジンの作業が開始され、18-20級エンジンの開発者としてはリューリカが選ばれた。1987年から1988年にかけてまず最初の試作機がTu-16に懸架されて飛行試験が行われ、その後MiG-25LL(LL-20 84)の左エンジンを換装して試験が実施された。1990年-1991年にかけては、高マッハ数で飛行中のエンジン停止を行い正常に再起動できるかやその特性をテストし、その結果に基づいていくつかの構造調整が行われた。しかし、その後開発は資金不足に直面し延長を繰り返した。1.42のデモンストレーターである1.44は2000年2月に初飛行するが、これはエンジン開発の遅れにより6年遅れていた。しかし、計画そのものが中断され生産数は28基(最初の20基はモスクワで組立、残りはUMPO)に留まった[1][2]。派生型としてはコアを流用した26,500-88,000lbクラスの民間機用エンジンの計画があった[3]

AL-41Fの代替としては航空機エンジン科学技術複合ソユーズロシア語版Yak-141に搭載されたR-79-300の発展型で20トンの推力を持つR179-300を開発しており、推力比は0.085のレベルに到達しまたすぐに機体に搭載して飛ばせるとしていたが、ソ連空軍はAL-41Fを選択し廃案となった[1]

設計[編集]

本エンジンではすべての圧縮機及びタービンは専用開発された3次元コンピュータモデルを使用して設計された設計が行われている。構造用素材には高い品質の耐熱性セラミックス、炭素材料、ホウ素化合物、アルミニウムサーメット、ディスク、シャフトと荷重支持体には高耐荷重チタン合金と圧密耐熱性粉末合金を使用し、AL-31Fとの比較でタービン直前温度は250℃増加し1,600℃に達した。これらにより推力重量比は11:1、比推力のレベルは0.09を達成した[1][2][4]

AL-41Fは可変サイクルと推力偏向のためにタービン翼、圧縮機の高度化、単結晶構造の統合などの新しい機構を使用している[1][2]。特に可変サイクルは低速時にはターボファン、高速時にはターボジェットと飛行状態に応じて作動のサイクル(方式)を切り替える事ができるので、広い飛行範囲に適応可能である。

ノズルには赤外線放射を減らすためセラミックタイルが並べられていた。またピッチヨー方向の2軸式推力偏向ノズルを有しているとされているが[5][6]、これが標準仕様なのかは不明である[7]

エンジン制御にはソ連では初めてFADECを採用した[8]。試作エンジンは重量が1,500kgで、推力(アフターバーナー使用時)は176 kN (39,600 lbf)であった[2]

AL-41F1とAL-41F1S[編集]

T-50にはAL-41F1、Su-35にはAL-41F1Sと呼ばれる新型エンジンが用いられている。これらはAL-41の名を関してはいるもののAL-31FPに中止された本エンジンの技術を盛り込んだ大幅な改良型およびそのダウングレード型であり、本エンジンとは別のものである。なおAL-31F系統のAL-41F1とは別にAL-41系列とされるAL-41F1が2001年のMAKSにおいて発表されているが関連性は不明。このAL-41F1はSu-27のAL-31Fの換装に用いられるとされていた[9]

仕様[編集]

  • 全長:4,990 mm
  • 直径:1,280 mm
  • 重量:1,500kg
  • アフターバーナー使用時最大推力:176 kN (39,600 lbf)
  • 推力重量比:11:1

脚注[編集]

参考文献[編集]

  • Butowski, Piotr. "Raptorski's Maiden Flight". Air International, Vol. 78, No 3, March 2010, pp. 30–37. Stamford, UK: Key Publishing.
  • Butowski, Piotr. "T-50 Turning and Burning over Moscow". Air International, Vol. 85, No 4, October 2013, pp. 79–82. Stamford, UK: Key Publishing.

関連項目[編集]