SIMBAD
SIMBAD(ジンバッド、the Set of Identifications, Measurements, and Bibliography for Astronomical Data)は太陽系外の天体の目録。フランスのストラスブール天文データセンターによって維持管理されている。
SIMBADは1979年まで存在したムードンのコンピューターセンターで製作されたCatalog of Stellar Identifications(CSI)とBibliographic Star Index(BSI)を合わせ、他の星表や、論文、追加の情報を取り入れることで製作された。最初にオンライン上で閲覧可能になったのはVer.2であり1981年に製作された。Ver.3はストラスブール天文台でUNIXベースのシステムでC言語を用いて開発され1990年に閲覧可能になった。
2006年現在はVer.4であり、データはデータベース (DBMS) のPostgreSQLに保存され、Javaで記述されたサポートソフトウェアがあり、閲覧可能である。2019年12月17日の時点で、36万5434個の目録を参照、2051万2949個の目録を引用し、3557万9550種の名前で1089万9629の天体情報を含んでいる[1]。
小惑星(4692)SIMBADはこの目録の名誉をたたえて名づけられた。
使用方法
SIMBADで天体の情報を調べる際はBasic Searchの他多くの機能が使用可能であるがここではBasic Searchでの使用方法のみを解説する。
Basic Searchでは英語でその天体の名称を入力することで検索できる。そのため日本語で調べても検索できない[2]。検索してそれに一致する天体がある場合は上の方に名称が掲載される[3]。また、固有名だけでなく、バイエル名やカタログでの番号でも検索可能である。ベガの場合、こと座アルファ星を英語でAlpha Lyraと検索しても[4]、HD 172167と検索しても[5]同一のデータが得られる。
データについて
データのほとんどが英語で書かれているので日本語で説明する。まず一番上にはCoord(座標を意味するcoordinateの略)とあり、ICRSとは国際天文基準座標系、Gal Coordとは銀河座標を表す。次にProper Motionとあるがこれは固有運動のことである。単位[mas/yr]はミリ秒毎年。その下がRadial velocityとRedshiftであり、それぞれ視線速度と赤方偏移を表す。視線速度の単位は[km/s]、赤方偏移は単位なし。Parallaxesは年周視差で、単位はミリ秒。Spectral Typeはスペクトル分類のことでA0VaならA型主系列星を指す。一番下にあるU、B、V、R、I、J、H、Kは等級を表しているがこれは観測する波長による等級の違いを表している。例えばベガならU等級=B等級=V等級となっている。詳細は等級 (天文)#UBVシステムを参照。
更に詳細なデータが欲しい場合はCollections of Measurementsで直径(diameter)や表面温度(fe_h)などを調べることができる[6]。
脚注
- ^ “SIMBAD Astronomical Database - CDS (Strasbourg) - What is SIMBAD ?”. Université de Strasbourg/CNRS. 2019年12月19日閲覧。
- ^ “ベガについて日本語で調べた場合”. 2019年12月19日閲覧。
- ^ “ベガについて英語でVegaと調べた場合”. 2019年12月19日閲覧。
- ^ “ベガについてバイエル名(Alpha Lyra)で調べた場合”. 2019年12月19日閲覧。
- ^ “ベガについてHD星表の番号(HD 172167)で調べた場合”. 2019年12月19日閲覧。
- ^ “ベガについてCollections of Measurementsをdisplay all measurements(全て表示)にした場合”. 2019年12月19日閲覧。