国際天文基準座標系

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国際天文基準座標系(こくさいてんもんきじゅんざひょうけい)は、国際天文学連合(IAU)により採用された現行の標準天球座標系である。

日本語においては座標系とだけ呼ばれることが多いが、英語においては、座標系を規定する概念や考え方を"Reference System"、それを実現した座標系の実体を"Reference Frame"と呼び、概念と実体を区別している[1]。天球座標系についても、概念を"International Celestial Reference System"(ICRS)、実体を"International Celestial Reference Frame"(ICRF)と区別しているが、日本語ではどちらも「国際天文基準座標系」と呼ぶ[2]

ICRS[編集]

ICRSの原点太陽系共通重心英語版であり、座標軸は空間に関して「固定」されることを意図している。ICRS座標は、赤道座標とほぼ同じである。元期J2000.0でのICRSの平均位置による極は、12時の方向へ17.3±0.2ミリ秒、18時の方向へ5.1±0.2ミリ秒にある。J2000.0の平均分点への変換は、ICRSでの赤経を78±10ミリ秒、天の極を中心に回転させる。

ICRSは、天球全体に分布している何百もの銀河系外の電波源(主としてクエーサー)を基にしている。それらは遠く離れているので、現在の技術では静止して見えるが、VLBIによる正確な位置測定が可能である。ほとんどの電波源の位置は、0.001またはそれ以上の精度で測定されており、これは最良の光学的測定値よりも正確である[3]

ICRF[編集]

International Celestial Reference Frame (ICRF)は、太陽系共通重心英語版を中心とした準慣性系であり、212個の銀河外電波源(主としてクエーサー)の測位位置によって定義される。一般相対性理論によれば、重力体の周りに真の慣性系は存在しないが、ICRFを定義するために使用された銀河系外の電波源が遠く離れているため、測定可能な角運動を全く示さないので、ICRFは重要である。ICRFは現在、惑星地球を含む)やその他の天体の位置を定義するために使用される標準参照系である。1998年1月1日以来、国際天文学連合(IAU)に採用されている。ICRFのノイズフロアは約250マイクロ秒(µas)、軸安定性は約20µasである。これは、それ以前の第5基本星表(FK5)よりもある程度向上している[4]

また、ICRFには、396個の追加の定義外の電波源が参照用に含まれている。これらの電波源の位置は、星表の後の拡張で調整されている。

位置天文学では、"reference frame"は"reference system"の物理的な実現であり、つまり参照系はデータポイントの報告された座標である。ICRFはICRSの実現であり、第5基本星表(FK5)のJ2000.0系の方向性と、後者の(より低い)精度に一致する。

2009年に、更新された参照系ICRF2が作成された[4]。ICRF2は、295個のコンパクトな電波源(そのうち97個はICRF1の定義でも使われる)の位置によって定義される。定義外の電波源を含めて、VLBIを用いて測定された3414個の電波源を含む。ICRF2は約40µasのノイズフロアと約10µasの軸安定性を備えている。ICRF2の維持は、特に良好な位置安定性と曖昧でない空間構造を持つ295個の電波源によってなされる。元々のICRFは、現在はICRF1と呼ばれている。

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 四次元時空と基準座標系”. 通信総合研究所. 2017年9月21日閲覧。
  2. ^ 国際天文基準座標系(ICRS/ICRF)”. アイサンテクノロジー G空間データソリューションセンター. 2017年9月21日閲覧。
  3. ^ ICRS Narrative”. U.S. Naval Observatory Astronomical Applications. 2012年6月7日閲覧。
  4. ^ a b IERS Technical Note No. 35: The Second Realization of the International Celestial Reference Frame by Very Long Baseline Interferometry”. International Earth Rotation and Reference Systems Service (IERS). 2014年4月5日閲覧。

参考文献[編集]