爪楊枝

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爪楊枝

爪楊枝(つまようじ、妻楊枝)は、程には長くない先の尖った木製の細いである。単に楊枝(ようじ)あるいは小楊枝と呼ばれることもある。英語では Tooth pick といい、合成樹脂など木以外の素材の製品も見られる。

歴史

古代インドでは「歯木」と呼ばれる小枝で歯の清掃をする習慣があったという。この習慣は中国に伝わり、虫歯の痛み止めの効用がある楊柳の枝(楊枝)が使われるようになった[1]

形状・材質

爪楊枝は、一般に長さ10cm未満程度の木の棒で、先端がある程度尖らせてある他、末端が滑り止めなどの凹凸になっていたり、何らかの飾りがみられるものもある。通常、断面は円形であるが、断面の四角い角楊枝もある。

世界各国に存在し、日本ではクロモジの木で作られたものが多かったため、黒文字ともいう。安価な木製では使用されるシラカバなどの木自体がやわらかいことや、合成樹脂製のものでも衛生の観点もあり、使い捨てにされることが多い。ただ、洗うなどして繰り返し使用することを前提にした高級品もあり、象牙で造られたものもある。

日本では先端の反対側に装飾が施されている物が多い。装飾はこけしと言い、メーカーによって模様が違ってどこが作ったか判別できるブランドのようなものであり[2]、昭和30年代半ばに高山の楊枝職人がこけしを模してデザインした説[3]、日本製爪楊枝製造機の精度の高さをアピールするために付けられるようになったとする説もあるが[4]、この部分を折って箸置きのようにするためだというのは風評であって根拠はない[3]。推測として、高度経済成長期に経済評論家が勝手に言ったことがありそこから広まったのではないかとされている。

高級品は着色や紋様が入っていることもある。また、紙袋に封入されているものもある。外食産業等では楊枝立てに入れて供される。

用途

用途としては、の間に詰まった食べかすを取る道具としてよく用いられるが、食品に添えて口に運ぶための食器として用いられたり、あるいはばらけ易い料理を一まとめにする際にも使われる。

黒文字

和菓子を供するときに、菓子を切ったり口に運んだりするために楊枝をつけることがある。この場合は一般的な丸型の爪楊枝ではなく、樹皮付きで角型の大振りな楊枝が用いられる事が多い。この楊枝は現在においても黒文字と呼ばれ、クスノキ科の落葉低木であるクロモジの枝を使う事に由来する。

こちらは高級感を出す意図もあるのか、一本ずつ製の鞘がついているものもあり、使用する際に鞘から引き抜いて使う。形状的には柔らかい和菓子を押し切る形で、大口を開けずに一口に収まるよう切り分けることにも使われることから、先端部はややへら状に薄くなっている場合もある。

各国の爪楊枝

日本

大阪府河内長野市が販売や生産などを含めた取扱量で日本一である[5]

中国

中国では、木製の四角いものや、少し平たい形状のものも用いられているが、歯の間に入りにくいので、日本のもののような形状に変わりつつある。

韓国

韓国では1992年12月、資源の節約及び資源再活用促進に関する法律が施行、使い捨て製品が店で禁止されたことから、飲食店などではトウモロコシ澱粉を原料にした食用にも出来る爪楊枝が使用されている[6]。残飯を家畜の餌にしていたが通常の爪楊枝が家畜の胃を突き破ることもあったため、これによって残飯に混ざっていても、取り除かずに飼料として使えるようになった[6]。また、人が調理して食べることも可能である[6]

ベトナム

ベトナムでは、日本の爪楊枝を1/4に縦割りしたほどの細いものが使われる。また、人の面前で使うことに対する抵抗感はほとんど無く、若い女性であってもごく当たり前に使用する。

イタリア

イタリアでは、両先の尖った「samurai」というネーミングの爪楊枝(日本製)がポピュラーである。

脚注

  1. ^ 三浦基弘『身近なモノ事始め事典』東京堂出版、2010年ISBN 978-4490107876
  2. ^ 塩野米松『最後の職人伝「手業」に学べ 人の巻』平凡社、2007年、123頁。 
  3. ^ a b 日本経済新聞・朝刊 (日本経済新聞社): p. 32. (1987年10月7日) 
  4. ^ gooテレビ番組の記載
  5. ^ 「つまようじのまち」PR 本場・大阪府河内長野市で地元9業者による組合”. 2020年9月閲覧。
  6. ^ a b c フジテレビトリビア普及委員会『トリビアの泉〜へぇの本〜 6』講談社、2004年。 

関連項目

外部リンク