副大統領

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副大統領(ふくだいとうりょう)は、大統領の次席たる官職。

概要

大統領が執務不能になった場合、大統領に昇格したり大統領権限が一時的に委譲されるべき地位であることが多いが、国によって大きく異なる。定員1名の国が多いが、複数のこともあり、イランのように12人が同時に在職することもある。国家主席に対する副主席や、中華民国総統に対する副総統韓国大統領に対する副統領も同義の職であり、漢字を基礎としない言語では副大統領と同じ訳語が当てられることが多い。

フランスのように副大統領職を置かない国もあるため、必ずしも設置されているわけではない。ちなみにフランス第五共和制では大統領が欠けたときは、元老院議長が臨時に大統領の職務を遂行する。

選任の類型

副大統領の選任方法は、国によって大きく異なる。多数決の原理に基づく国もあれば、特定の集団に職席を割り当てることで国内の政治情勢に配慮する国もある。

  • 現代のアメリカのように、大統領副大統領がペアになった候補を単一投票で選出する「チケット方式」の選挙で選出される形式。
  • 現代のフィリピンのように、国民の直接選挙で大統領とは別個に選出する形式。
  • 現代のイランのように、大統領が自らの代理や予備として指名する形式。ときには自身の対抗者などを選び、敵対勢力の懐柔や利害関係の調整を図る場合もある。
  • ブルンジのように、国を構成する民族毎に充てる形式。状況によって複数の副大統領職が設けられる。

職責・役割の類型

チケット方式の選挙で選出された副大統領は、大統領と同等の得票で選出されたと考えられるため、万が一大統領を欠いた場合は自動的に大統領に昇格し、残存の任期が満了するまでこれを務めあげる場合が多い。

大統領に指名されて選任される副大統領には、このような国民の支持が付託されていないため、万一大統領を欠いた場合でもその権限のすべてが副大統領に継承されるとは限らず、大統領代行や大統領臨時代理として次の大統領が選出されるまでの期間を中継ぎする場合が多い。

常時においても、副大統領が首相や閣僚の一人として閣議に出席する場合もあれば、明確な服務規程がなく「スペア」である以外にはこれといった職責もない極めて閑職の場合もある。アメリカの副大統領は伝統的に後者の例にあたっていたが、第二次世界大戦から近年にかけての副大統領職には、肥大化した行政を担う大統領府の職責を分掌するケースが目立ってきている。

国内の民族融和に用いられることもある。ブルンジでは政務担当と経済担当の副大統領職がそれぞれ設けられているが、フツ族ツチ族でポストを分け合うこととなっている。キプロスでは少数民族のトルコ系を副大統領とすることが憲法に規定されているが、キプロス紛争以降空席となっている。

関連項目