レールウェイ・ガゼット・インターナショナル
レールウェイ・ガゼット・インターナショナル(Railway Gazette International)は、イギリスの鉄道雑誌(業界誌)である。
概要
世界の鉄道に関する様々なニュースや記事を掲載している。取り扱う範囲は高速鉄道や一般の鉄道から、都市鉄道、路面電車、ライトレールにまで至り、非常に幅広い。またカテゴリも、鉄道技術(車両、インフラ、保安設備、情報技術など)からマーケティングに至るまで、鉄道に関わる広範なトピックを掲載している。全世界の鉄道業界の動向を知る事ができる。
イギリスの DVV Media UK 社(ドイツの鉄道業界雑誌出版社 Deutsche Verkehrs Verlag 社のイギリス法人)が発行する月刊誌で、世界の140カ国以上で読まれている。
本文は英語で書かれているが、一部の特集記事では、フランス語・ドイツ語・スペイン語の要約記事が付けられている。近年ではこれとは別に、中国市場をターゲットとした「中国語版」も発行されている。
イノトランスを始めとした鉄道関連の見本市や、鉄道関連の国際会議への協賛も多い。
1835年(日本では天保6年)にThe Railway Magazineの名前で創刊された。これはイギリスで世界最初の鉄道が開業してから、わずか10年後のことである。1905年に Railway Gazette と改題、1970年に Railway Gazette International に改題され、現在に至っている。創刊から170年以上の歴史を持つ、由緒ある鉄道雑誌である。
日本では、鉄道事業者やメーカー、大学などの研究機関が購読している場合があるほか、個人購読者もいる。
誌面
表紙では、シーメンスやアルストムをはじめとして、各企業自慢の車両・技術を伝える写真が1つ大きく掲載されている。雑誌タイトルの上方には、その月の目玉となる特集が2つ、写真付きで示されている。
通常は全60 - 80ページ前後だが、時に90ページを超える場合もある。また、全ページカラー刷りとなっている。
近年の誌面構成は主に以下の通り。
- COMMENT。編集長(2012年9月現在はChristopher Jackson)による所見を冒頭1ページに掲載。
- INTELLIGENCE。編集部執筆記事。15~30ページを占める(広告ページも含む)。毎月以下の6項目に分かれる。
- Main Line。特に大きなニュースを、各国・地域別に伝える。(例:ブラジル政府が鉄道投資計画を発表)
- Urban Rail。都市鉄道のニュースを、各国別に伝える。(例:フランス・オルレアンのトラムB線が開業)
- Market。特にインフラと車両に関する市場動向を、各国別に伝える。(例:ニューヨークシティー・トランジット・オーソリティーが電気式ディーゼル機関車を納入)
- Industry。鉄道にかかわる諸企業に関するニュースを、企業別に伝える。(例:シーメンスがタイ企業と車両製造に関する合弁事業発足で合意)
- Innovations。鉄道にかかわる諸技術に関するニュースを、分野別に伝える。(例:台北捷運・台北のバス事業者におけるスマートフォンを使った非接触型検札技術の試み)
- Analysis。各国・地域別に比較的長文の分析記事を掲載。(例:ロンドン五輪開催時における鉄道輸送の評価)
- 見出し付きで報じられるこれらのニュースとは別に、短いニュースが脇に多数掲示される。ただし、都市名や企業名などのキーワードは太字で示されているため、必要な情報のみチェックするのは容易である。
- 以降は複数以上の特集が組まれる。LIGHT RAIL、STATION、REFURBISHMENT、TICKETING、TRACK MAINTENANCEなどの項目が立てられ、各分野の現況や将来計画を知ることができる。経営者インタビューや新線乗車ルポが掲載されることもある。執筆は、業界に所属する専門家や、各地域の担当者(Correspondents)による。以下に最近の記事例を示す(項目は毎月変動する)。
- HIGH SPEED。例:Automotrice à Grande Vitesseのライフサイクルコスト低減に向けた取り組み。
- PASSENGER TRAINS。例:高コスト・低収入の旅客鉄道における資金調達方法をめぐる、各地域の近年の試み。
- CHINA(地域特集)。例:中国高速鉄道整備における資金問題。
- STATION。例:文化・ビジネス・社会活動の舞台としての駅に向けた取り組み~イタリアからのレポート。
- SIGNALLING&TRAIN CONTROL。例:デンマーク国鉄の鉄道信号機更新計画。
- INNOTRANS。ドイツ、ロシア等各国の注目展示、CTC・列車案内表示・貨車など各分野の注目展示。
- Correspondentsは2012年9月現在35名(日本人1名を含む)である。ドイツ・フランスからイラン・ジンバブエに至るまで、世界各地に担当者がいる。
- 最近の日本の鉄道に関しては、「JR東日本とJR西日本が北陸新幹線用新型車両(E7系・W7系)を共同開発」などのニュースに加えて、ATACSやフリーゲージトレインなどが、鉄道総研やJRなどに所属する専門家の記述により、特集記事で扱われている。なお、高速鉄道に関しては比較の対象として新幹線の言及される頻度は高い。
- FORUM。巻末には、業界人の紹介、新刊情報(英語以外の書籍も扱う)、鉄道に関わる国際会議の開催情報などが掲載される。
購入など
鉄道業界の動向を伝える業界誌であり、日本の書店での取り扱いはない。原則として、出版社に直接、年単位での定期購読を申し込むことになる。2012年9月現在、紙媒体の日本での定期購読料は1年で245米ドル、3年で625米ドルである。デジタル版の購読を申し込む場合は1年で245米ドルとなる。詳細は公式サイト参照。
その他
現在は表紙がフルカラーであるが、1970年代までは表紙にオレンジ色を使っていた。国鉄のディーゼル機関車の標準塗装であるオレンジ色(朱色4号)は、この表紙を元に決められたというエピソードが残っている[1]。
脚注
関連項目
- インターナショナル・レールウェイ・ジャーナル-同種の鉄道業界誌。アメリカ合衆国での発行。
- 汽車のえほん-原作者・ウィルバート・オードリー牧師が愛読し、物語を書いた。
外部リンク
- Official Website
- railwaygazette-Twitter アカウント