ブレント原油
ブレント原油 (Brent Crude)は、原油価格市場において主要な位置を占める原油のひとつ。
概要
ブレント油田の他にノルウェーのオセバーグ油田やイギリスのフォーティーズ油田から採れる原油も含まれるが、こういった原油を混合(ブレンド blend)しているからではなく北海のブレント(Brent)油田から主に採れるためブレント原油という。ブレントという名前は岩層区分のBroom, Rannoch, Etive, Ness そして Tarbertから取られた。
油質
主にイギリスの北海にあるブレント油田から採鉱される硫黄分の少ない軽質油である。
ブレント油田は西テキサス原油(WTI:West Texas Intermediate)ほどではないが良質な軽質油である。 硫黄分は約0.37%で、スイート原油と呼ばれる分類がなされ、ガソリンや中間蒸留油に適している。
一般的には北西ヨーロッパで精製されるが市場価格が輸出に有利な場合には東欧やアメリカのガルフ・コースト、地中海地域で精製される。
取引
この石油価格指標に関連してヨーロッパやアフリカ、中東の豊富な精製石油の価格がつけられる傾向がある。
価格は、かつて概ね1バレルにつきWTIより約$1安く、OPECバスケットより約$1高かったこともあった。
2020年4月20日、同年5月物のWTI先物取引価格が極端に暴落。マイナス37.63ドル/バレルとなる出来事があったが、この日の北海ブレントの先物取引価格は下落こそしたものの25ドル台を維持することができた。WTIの極端な下落はアメリカ国内の陸上貯蔵施設が不足する懸念から生じたものだが、北海ブレントは海上油田の特性から過剰生産分をタンカーに積めるなどの事情があり、下落の振り幅が少なかったものとされている[1]。
脚注
- ^ “コラム:「パンドラの箱」開いた原油市場、マイナス価格常態化も”. ロイター (2020年4月22日). 2020年4月22日閲覧。