ハセツネCUP
正式名称は「日本山岳耐久レース(24時間以内)~長谷川恒男CUP」。通称ハセツネCUPもしくはハセツネともよばれ、1993年より毎年開催されている東京の山岳地帯を走る総距離71.5kmのトレイルランニング[1]。累積標高差4582m。日本トレイルランニング界のパイオニアとして知られ、日本最高峰レースのひとつとして数えられる[2]。 名称は日本の登山家、長谷川恒男に由来する。日本では最も古くから行われて継続されているトレイルランニングレースのひとつ。
概要
日本山岳耐久レースは、トレイルランニングに挑戦するランナーたちの中でも、特に過酷なコースを走りきる力を持つエキスパートたちが参加する大会で、日本代表レベルのランナーも多数参加する。男女の優勝者には長谷川恒男カップという杯が授与される大会として知られています。
この大会は、24時間以内に走破しなければならない、約71.5㎞の厳しい山岳コースを舞台に行われます。奥多摩の全山を走り抜く大会であり、ランナーは自然の中でのフルパワーを発揮し、全長約71.5㎞のコースを24時間以内に走りきることが求められます。
過酷なコースには多くの標高約1000m級の山々があり、主要な一般登山道を利用しておこなわれ、コースの序盤と終盤以外ではアスファルトを走る箇所はほぼない。13時にスタートした全ランナーたちは夜の山の上で過ごすことが求められるため、夜間のテクニカルトレイルランニングも必要とされます。制限時間は長く、参加者は16歳から80歳代までおり、年齢を問わずビギナーからエキスパートまでが完全に楽しむことができるチャレンジングレースとなっています。
また、大会には世界各国のランナーたちが参加し、アジア、ヨーロッパ、オセアニア、北アメリカからのランナーが集まります。大会開催パターンは、毎年10月のスポーツの日(長谷川恒男の命日でもある)に開催され、年々参加希望者は増加傾向です。
この大会の運営はきめ細かく、運営スタッフも安全走行講習会などを通じトレーニングを受けており、安全面にも配慮している点が優れています。コース上には東京都山岳連盟の救助隊員や民間ボランティアの救護部員が待機しており、ランナーの安全を確保している。
この大会は、マーシャル制度(移動審判)を導入した日本初の大会。また参加条件に「山岳保険加入」を義務付けた日本初の大会であり、2023年からは会員制捜索サービス(ココヘリ)の加入を参加条件とした。これらはトレイルランニングを楽しまれる多くの人の安心や安全を確保することを啓発するための活動としておこなってきた。また地域振興の為にトレラン大会のエントリーでは「ふるさと納税枠」を日本で初めて採用したことでも知られ、これまでの取り組みは全国の多くのトレラン大会が導入するに至っている。
この大会には、山岳トレイルランニングのトップランナーたちが集まっています。歴代優勝者には世界大会で入賞をしたり、トップクラスで活躍するランナーが多く、日本のトレイルランニングシーンの発展にも大きな影響を与えています。
トレイルランニングを始めたばかりの人から、本格的に競技に挑戦したい人まで、様々なランナーが参加し、誰もが自分自身の限界に挑戦することができる、魅力的な大会です。
2022年から環境に配慮し参加者を20%減らして開催。フィールド整備にも積極的で通年で登山道保全活動をおこなっていることは有名。
コース
- ■奥多摩山域(71.5km)
- 五日市中学校(スタート)→今熊神社→市道山分岐→醍醐丸→生藤山→浅間峠(第一関門)→土俵岳→笹尾根→三頭山→鞘口峠→月夜見第二駐車場(第二関門)→御前山→大ダワ→大岳山→長尾平(第三関門)→武蔵御嶽神社→日の出山→金比羅尾根→五日市会館前(フィニッシュ)[3]
- ■コースについて。距離71.5km、累積標高差4582mの平均傾斜は6.4%であり、国際的なトレイルレースのもっとも過酷な部類、Category ALに相当する[4]。71.5kmという距離について、実際の距離よりも短いのでは?との指摘がなされることがあるが、測定は斜面や岩場を距離測定器を転がして正確な沿面距離を計測していることが知られている。 コースは平均的なハイカーのペースで約5日半(45時間)かかる距離で[5]、参加者はこのコースを7時間から24時間で走破する。
- ■コースレコード
- ・男性の記録は7:01:13(上田瑠偉、2014年)
- ・女性の記録は8:41:49(髙村貴子、2022年)
- ■連覇記録
- ・男子 杉山真之(2000,2001)、石川弘樹(2003,2004)
- ・女子 髙村貴子が4連覇を達成している(2016,2017,2018,2022年)
過去の出走者数と完走率
回数 | 開催日 | 出走者数 | 完走者数 | 完走率 |
---|---|---|---|---|
1回 | 1993/10/9 | 469
(ハーフ 266) |
||
11回 | 2003/10/25 | 1457 | 1102 | 75.6% |
12回 | 2004/10/10 | 1574 | 968 | 61.5% |
13回 | 2005/10/9 | 2005 | 1111 | 55.5% |
14回 | 2006/10/8 | 2004 | 1515 | 75.6% |
15回 | 2007/10/20 | 2003 | 1540 | 76.9% |
16回 | 2008/10/12 | 2211 | 1766 | 79.9% |
17回 | 2009/10/11 | 2070 | 1727 | 83.4% |
18回 | 2010/10/10 | 2232 | 1622 | 72.7% |
19回 | 2011/10/22 | 2158 | 1725 | 79.9% |
20回 | 2012/10/7 | 2344 | 1984 | 84.6% |
21回 | 2013/10/13 | 2579 | 2127 | 82.5% |
22回 | 2014/10/12 | 2264 | 1922 | 84.9% |
23回 | 2015/10/31 | 2357 | 2045 | 86.8% |
24回 | 2016/10/9 | 2453 | 1921 | 78.3% |
25回 | 2017/10/8 | 2332 | 1730 | 74.2% |
26回 | 2018/10/7 | 2364 | 1578 | 66.7% |
27回 | 2019/10/13 | 台風19号の影響による大会中止 | ||
28回 | 2020/10/ | コロナ感染拡大の影響で大会中止 | ||
29回 | 2021/10/ | コロナ感染拡大の影響で大会中止 | ||
30回 | 2022/10/11 | 1877 | 1293 | 68.9% |
4年に一度のあきる野市議会議員選挙のため、スタート地点の学校校庭や体育館などの諸施設が、投票などで使用できないため、開催日が1〜2週間ずれる。
脚注
- ^ 公式サイト
- ^ Trail Running magazine No.9, p126 (トレイルランニングマガジン)
- ^ 第22回 ハセツネCUP 大会要項
- ^ 60-Second Guide: Fell Running(Runner's World)2014年8月4日閲覧
- ^ ハイキングの標準ペース計算式(時速3.2km、登り300mで一時間、下り300mで30分を追加、一日八時間)から計算。(計算式はBackpacker magazine, 2014 January, p54のものを使用)