白衣の女
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『白衣の女』(びゃくえのおんな、The Woman in White )は、イギリスのヴィクトリア朝のウィルキー・コリンズの長編推理小説・恋愛小説。1859年からディケンズ主宰の雑誌All the Year Roundに連載。1860年出版。
発表と同時に大ブームを巻き起こす。書店に行列ができ、時の蔵相(のち首相)グラッドストーンは友人とのオペラ鑑賞をすっぽかしてまで読みふけったという。美術教師ハートライトと、その生徒ハルコムの視点から語られる、全身白い衣服に身をまとった女の話。
T・S・エリオットは、本作品は「最高の人間描写」を含んでいると激賞した。
主な登場人物
- ウォルター・ハートライト
- 美術教師。
- ペスカ
- おぼれかかったところをハートライトに助けられるイタリア語教師。感激屋。ハートライトが事件に巻き込まれるきっかけを作る。
- アン・キャサリック
- 白い衣服を身にまとった正体不明の女。
- キャサリック夫人
- アンの母親。
- ローラ・フェアリー
- ハルコムの異母妹。ハートライトを愛するが、亡き父親との約束の相手クライドと結婚する。
- マリアン・ハルコム
- ローラの異母姉。知性的な女性。ローラを愛して止まない。
- パーシバル・クライド卿
- ブラックウォーター・パークの所有者。
- フォスコ伯爵
- イタリア人貴族。
- フォスコ夫人
- フォスコ伯爵の妻で、ローラ・フェアリーのおばのエレノア。
あらすじ
青年画家ウォルター・ハートライトがリメリジ家の家庭教師をすることになった。就職前夜、彼は荒野を行く途中、白衣の女に呼び止められた。額の蒼い美女は、ロンドン街道まで案内して欲しいと頼んだ。彼女は彼の就職先に詳しいし、ハンプシャーの准男爵を恐れていた。彼女の立ち去り際に、彼女が精神病院脱走者であることを知って彼は驚愕した。これが作品の出だしである。
この作品の中心は、白衣の女アン・キャサリックとリメリジ家の女性相続人ローラ・フェアリーとの肖似である。ローラは婚約通り、ハンプシャーの准男爵サー・パーシヴァルと結婚したが、彼はローラの財産を入手するべく、ローラをアンの元入院先の病院に入れ、アンが死ぬやその遺体をローラの遺体として埋葬した。しかし陰謀は、ハートライトと彼女の姉マリアンにより暴露され、ハートライトとローラは結婚したのであった。
映像化
「白衣の女」は何度も映画化・ドラマ化されている。
- 1912年に2本、1917年に1本、ハリウッドでサイレント映画化されている。
- 1929年にイギリスにてサイレント映画化。
- 1948年にギグ・ヤング、アレクシス・スミス主演で映画化。日本では劇場未公開だったが『白いドレスの女』でテレビ放映。
- 1982年にBBCがミニ・シリーズとして映像化。
- 同じく1982年、ロシアでアレクサンドル・アブドゥロフ主演で映画化された。
- 1997年に再びBBCがミニ・シリーズとして映像化、アンドリュー・リンカーンとタラ・フィッツジェラルドが出演。
- 2004年にアンドルー・ロイド・ウェバーによって『ウーマン・イン・ホワイト』としてミュージカル化され、ロンドンのウエスト・エンドで上演された後、ブロードウェイでも上演された。
- 2011年に本作を原案とした『霧に棲む悪魔』が東海テレビ制作昼の帯ドラマ枠で放送された。主演は入山法子。