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丈夫

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丈夫(じょうふ、じょうぶ、ますらお[1])は、一人前の男子のことであり、転じて健康なさまやしっかりしていて壊れないさまをさす。また大丈夫(だいじょうふ、だいじょうぶ)は、「丈夫」にさらに物事が優れていることを意味する接頭語の「大」をつけたもので「一人前の男子のなかでも、とりわけ優れている者」をさし、転じて、「危なげがなく非常にしっかりした様や間違いのない様」を意味している。

概要

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本来は「身長1丈の男」の意で、王朝がかつて1(約180センチメートル)を成人男性の身長を基準とした身体尺として設定したことから、転じて一人前の男、立派な男子を意味する様になったものである。

日本における意味の変化

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日本において「丈夫」という言葉が用いられている最古の例は、奈良時代に成立した『藤氏家伝』上巻に見える『雄壮丈夫二人』という文言であり、この時点では原義同様「一人前の男」という意味で用いられていた。しかし中世末より転じて「非常にしっかりとしていて気強い様」を表現する用法が多用されるようになり、「大丈夫」もほぼ同じ意味合いで用いられるようになった。

ところが、近世に入ると丈夫と大丈夫の間にも意味の相違が起こり、明治に入ると、丈夫が「堅固な様子」、大丈夫は「危なげのない様子」を表すという現在の用法が確定した。

儒教における大丈夫

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儒教において、大丈夫は孔子の説いた「君子」と同一視されており、特に孟子は、「常に浩然の気を養い、高い道徳的意欲を持つ理想の人間像」としてこれを定義している[2]。また彼は縦横家春景に同じく縦横家である公孫衍張儀は「一人の力で天下を動かす」大丈夫であると自慢された際、それを「単に自分の利益のために行動しているに過ぎない」とした上で、

居天下之廣居 立天下之正位 行天下之大道 得志與民由之 不得志獨行其道 富貴不能淫 貧賤不能移 威武不能屈 此之謂大丈夫。

として、孔子の説く「君子」同様、の3つを併せ持った人間こそが真の「大丈夫」であると反論している[注 1]

脚注

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注釈

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  1. ^ 「天下之廣居」とは仁、「天下之正位」は義、そして「天下之大道」とは礼の比喩表現である。

出典

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参考文献

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  • 穂積重遠訳『新訳孟子講談社、1980年11月。ASIN B000J839TC 
  • 内野熊一郎訳『新釈漢文体系『孟子』』明治学院、1962年6月。ISBN 978-4625570049 
  • 松井栄一 編『日本国語大辞典(第二版)』小学館、2000年11月。ISBN 978-4095210018 
  • 濱井修監修 著、小寺聡 編『倫理用語集』山川出版社、2014年10月。ISBN 978-4-634-05219-2