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酒類製造免許

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
製造免許場数(2024年3月末)[1]
区分 製造免許場数 うち試験免許
酒類の製造免許 14,276 1,119
酒母の製造免許 255
もろみの製造免許 423
合計 14,954 1,119

酒類製造免許(しゅるいせいぞうめんきょ)は、日本酒税法(昭和28年法律第6号)の規定により酒類・酒母・もろみの製造をしようとする者が受けなければならない免許[2]

酒税法上の正式名称は「製造免許」(せいぞうめんきょ)であり[3]、「酒類の製造免許」(酒税法第7条)、「酒母の製造免許」、「もろみの製造免許」(酒税法第8条)の3区分に分けられる[3][4]。酒類の製造免許は製造する品目ごとかつ製造場ごと、酒母の製造免許及びもろみの製造免許は製造場ごとに製造場の住所を管轄する税務署長から免許が交付される[5]。また、酒類の製造免許を受けた者を「酒類製造者」という(酒税法第7条)[注釈 1][6]

酒税を円滑に納付させることを目的とした制度であるが宗教儀式のために神酒等を少量を製造する場合にも必要である[7]。酒類製造免許を受けずに酒類を製造した者又は酒母等の製造免許を受けずに酒母・もろみを製造した者(未遂犯を含む)は「無免許酒類製造罪」として10年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金が科されるとともに[8]、製造に使用した物品(原料・器具・容器等)・製造された酒類・酒母・もろみ等は所有者を問わず没収される[9]。(詳細は#罰則を参照)

免許の効力と種類

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免許の効力は「人」(免許を受けた者)・「場所」(免許を受けた製造場)・「物」(免許を受けた品目の酒類又は酒母若しくはもろみ)・「時」(免許の通知到達時から免許消滅時まで)に対して有する[10]

酒類の製造免許は、品目別に免許が与えられることとなっており、免許を受けた品目と異なる品目の酒類を製造しようとするときは、改めてその品目の免許を受ける必要がある[注釈 2][3]

品目・区分別免許一覧

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免許の種類 品目 製造できるもの 左記以外に製造できるもの
酒類の製造免許 清酒製造免許 清酒 酒母・もろみ[注釈 3]
当該酒類の原料として製造する酒類[注釈 4]
合成清酒製造免許 合成清酒
連続式蒸留焼酎製造免許 連続式蒸留焼酎
単式蒸留焼酎製造免許 単式蒸留焼酎
みりん製造免許 みりん
ビール製造免許 ビール
果実酒製造免許 果実酒
甘味果実酒製造免許 甘味果実酒
ウイスキー製造免許 ウイスキー
ブランデー製造免許 ブランデー
原料用アルコール製造免許 原料用アルコール
発泡酒製造免許 発泡酒
その他の醸造酒製造免許 その他の醸造酒
スピリッツ製造免許 スピリッツ
リキュール製造免許 リキュール
粉末酒製造免許 粉末酒
雑酒製造免許 雑酒
酒母の製造免許 酒母[注釈 5] なし
もろみの製造免許 もろみ[注釈 6] 酒母[注釈 7]

免許条件の種類

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酒税法法令解釈通達第11条(製造免許等の条件)によれば、特に酒税の保全上酒類の需給の均衡を維持するため必要があると認められるときに限り製造する酒類の数量の条件(キロリットル単位)及び、以下の製造する酒類の範囲の条件を付して製造免許が与えられることがある[11]

  • 「酒税法第28条第1項の規定により、未納税移入した清酒に炭酸ガス又は炭酸水を加える場合に限る。」
  • 「自己の清酒の製造に際し生じた酒かす又は米ぬか等の副産物を主原料として製造するもの及びこれに発泡性を持たせたものに限る。」
  • 「その構成員の清酒の製造に際し生じた酒かす又は米ぬか等の副産物を主原料として製造するもの及びこれに発泡性を持たせたものに限る。」
  • 「○○(産地の名称等を記載)で生産された特産品である○○を主原料として製造するもの(及びこれに発泡性を持たせたもの)に限る。」
  • 「○○(産地の名称等を記載)で生産された米を主原料として製造するもの(及びこれに発泡性を持たせたもの)に限る。」
  • 「リキュール又は甘味果実酒のうち、医薬品医療機器等法の規定により厚生労働大臣より製造の許可を受けたアルコール含有医薬品に限る。」
  • 「試験のために製造する酒類に限る。」

試験製造免許の付与対象

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酒類の製造免許には試験製造の条件を付与した試験製造免許があるが、試験製造免許については以下の条件に該当する場合に付与される[12]

  • 学校教育法国立大学法人法に規定する学校において教育のために酒類の試験製造を行なう場合
  • 国又は地方公共団体が設置した図書館博物館公民館その他の社会教育に関する施設において教育のために酒類の試験製造を行なう場合
  • 国又は地方公共団体が設置している試験場・研究所などで試験研究するために酒類の試験製造を行なう場合
  • 酒類総合研究所及び地方独立行政法人において試験研究するために試験製造を行なう場合
  • 新商品開発、新技術開発等の目的で試験製造を行なう場合
  • 酒類の原料、製造設備等の製造又は販売業者が、当該原料等の品質を検査するために、酒類の試験製造を行なう場合

法的根拠

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酒類の製造免許

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酒類を製造しようとする場合、酒税法第7条の以下の条文の規定により、製造しようとする酒類の品目別かつ製造場ごとに所轄税務署長の免許を受ける必要がある。

第七条 酒類を製造しようとする者は、政令で定める手続により、製造しようとする酒類の品目(第三条第七号から第二十三号までに掲げる酒類の区分をいう。以下同じ。)別に、製造場ごとに、その製造場の所在地の所轄税務署長の免許(以下「製造免許」という。)を受けなければならない。ただし、酒類の製造免許を受けた者(以下「酒類製造者」という。)が、その製造免許を受けた製造場において当該酒類の原料とするため製造する酒類については、この限りでない。

酒税法第7条

酒母等の製造免許

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酒母又はもろみを製造しようとする場合、酒税法第8条の以下の条文の規定により、製造場ごとに所轄税務署長の免許を受ける必要がある。

第八条 酒母又はもろみを製造しようとする者は、政令で定める手続により、製造場ごとに、製造免許を受けなければならない。ただし、次に掲げる場合においては、この限りでない。

一 酒類製造者が、その製造免許を受けた製造場において、当該酒類の製造の用に供するため、酒母又はもろみを製造する場合
二 もろみの製造免許を受けた者が、その製造免許を受けた製造場において、当該もろみの製造の用に供するため、酒母を製造する場合
三 アルコール事業法(平成十二年法律第三十六号)第三条第一項(製造の許可)又は同法第四条第三号(試験等のための製造の承認)の規定によりアルコールの製造の許可又は承認を受けた者が、当該アルコールの製造の用に供するため、同法第二条第二項(定義)に規定する酒母又は同条第三項(定義)に規定するもろみを製造する場合
酒税法第8条

また、化粧品などで製造工程で酒母・もろみを製造する必要があるが、最終製品が酒類でない場合であっても酒母等の製造免許を受けなければならない[13]

免許制度の目的

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税務大学校教授の毛利泰浩は、「酒類の製造免許及び販売業免許における需給調整要件の在り方について」において製造免許制度の目的について以下の理由を掲げている[14]

  • 製造者の濫立等による過当競争を防止すること
  • 酒税収入の安定を図る必要があること
  • 高率な酒税を課すにふさわしい品質を維持する必要があること

免許の取り扱い

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免許の審査・付与

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製造免許の申請にあたっては以下の拒否要件に該当しないかについて申請を受けた税務署長が審査を行い、免許付与相当と判断された場合は免許の通知書、免許拒否相当と判断された場合は拒否の通知書を申請者に文書をもって通知される(酒税法第21条)[15]。ただし、もろみの製造免許、酒母の製造免許の免許を受けようとする者は法定製造数量の規定は適用されない[16]

  • 絶対的拒否要件
    • 1つの製造上において免許を受けた後1年間の酒類の製造見込数量が法定製造数量に達しない場合[17]
  • 相対的拒否要件[18]
    • 免許の申請者が過去に法律違反の事実があるなど遵法精神に欠けると認める場合
    • 資力が不十分又は経営の基礎が薄弱であると認められる場合
    • 上記のほか、税務行政上の見地から免許を与えることが適当でないと認められる場合

また、上記の要件のほかに、清酒・合成清酒や単式蒸留焼酎・連続式蒸留焼酎・原料用アルコールの酒類製造免許を新たに取得できるのは、既存の製造者が、企業合理化を図るため新たに製造場を設置して製造しようとする場合等に限られており[19]、新規参入は制限されている[20][21]

新規参入には、休廃業した酒造会社を買収し酒蔵の免許を移転する方法が使われる(北海道上川大雪酒造の例)[22]。2021年には海外への輸出を後押しするため、輸出用清酒製造免許が設定された[23][20]。第1号は福島県のねっかに交付された[24]

免許の移転

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製造免許を受けた製造場を移転しようとするときは移転先の所轄税務署長の許可を受けなければならない(酒税法第16条の1)[25]

免許の消滅・取消

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製造免許は以下のいずれかにより効力が消滅する[26]。ただし、もろみの製造免許、酒母の製造免許の免許を受けている者は法定製造数量の規定は適用されない[16]

  • 自然消滅
    • 酒類業者(個人)が死亡した場合(相続しない場合)
    • 法人が解散して清算が終了し又は破産が終結した場合
    • 免許に付された期限が経過した場合
  • 任意取消
    • 免許者の申請に基づく取消処分(酒税法第17条)
  • 強制取消(酒税法第12条)
    • 偽りその他不正の行為により酒類の製造免許を受けた場合
    • 酒税法第10条第3号から第5号まで若しくは第7号から第8号までに規定する者に該当することとなった場合又は酒税に係る滞納処分を受けた場合
    • 3年以上引き続き酒類を製造しない場合
    • 3年以上引き続き酒類の製造数量が法定製造数量に規定する数量に達しない場合(例外あり)。
    • 酒税法第31条第1項の規定により命ぜられた担保の提供又は酒類の保存をしない場合
    • 酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律(昭和28年法律第7号)第84条第2項(酒税保全のための勧告又は命令)又は第86条の4(公正な取引の基準に関する命令)の規定による命令に違反した場合

法定製造数量

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酒税法第7条第2項において、品目別に1年あたりの最低製造見込数量(法定製造数量)が定められている。免許取得後1年間に製造しようとする見込数量がこれに達しない場合は、免許を受けられない。また、実際の製造数量がこれを3年間下回ると、免許取り消しとなる。ただし、法令解釈通達によれば薬用酒を製造する場合は以下の法定製造数量を満たしているものとみなされる[27]

品目 法定製造数量
(キロリットル)
清酒 60
合成清酒 60
連続式蒸留焼酎 60
単式蒸留焼酎 10
みりん 10
ビール 60
果実酒 6
甘味果実酒 6
ウイスキー 6
ブランデー 6
原料用アルコール 6
発泡酒 6
その他の醸造酒 6
スピリッツ 6
リキュール 6
粉末酒 6
雑酒 6

酒税法施行令(昭和37年政令第97号)第12条の2の規定により、以下の場合は上記の法定製造数量は適用されない。

  • 清酒、連続式蒸留焼酎、単式蒸留焼酎、ウイスキー、ブランデー、原料用アルコール又はスピリッツの製造免許を受けた者が、その製造免許を受けた製造場において、自己の製造したこれらの酒類を原料としてリキュールを製造しようとする場合
  • 1の製造場において果実酒及び甘味果実酒を製造しようとする場合で、製造免許を受けた後1年間におけるその製造見込数量の合計が6kL(キロリットル)以上であるとき。
  • 1の製造場においてウイスキー及びブランデーを製造しようとする場合で、製造免許を受けた後1年間におけるその製造見込数量の合計が6kL以上であるとき。
  • 1の製造場において原料用アルコール及びスピリッツを製造しようとする場合で、製造免許を受けた後1年間におけるその製造見込数量の合計が6kL以上であるとき。

構造改革特別区域法(平成14年法律第189号)の規定により以下に該当する場合、上記の法定製造数量は適用されない[28]

  • 「酒類を自己の営業場において飲用に供する業」を営む農業者が特区内の自己の酒類製造場で「濁酒」又は「果実酒」を製造しようとする場合
  • 地方公共団体の長がその地域の特産物として指定した農産物、水産物又は加工品を原料として「単式蒸留焼酎」を製造しようとする場合
  • 特区内において、単式蒸留焼酎の製造免許を受けた者が、その製造場において、特産農産物等を原料の全部又は一部として「原料用アルコール」を製造しようとする場合

登録免許税

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登録免許税法(昭和42年法律第35号)の規定に基づき、以下の免許を受けた場合は登録免許税を納付する必要がある[29]

免許等の態様 登録免許税額(円)
酒類の製造免許(期限付を含む、試験製造免許除く) 150,000
酒母の製造免許 90,000
もろみの製造免許 120,000
製造免許の品目追加[注釈 8] 150,000

法人成り、法人からの分離、営業の承継又は営業の譲受に伴う免許は新規免許の交付に準じるとされている。

酒類製造者の義務

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酒類製造者には酒税の保全のため以下の義務が課されている[30]

  • 記帳義務(酒税法第46条)
    • 受入れ又は使用した原料や製造・移出した酒類の数量等の記帳[31]
  • 届出義務(酒税法第50条の2)
    • 亡失等の届出[32]
  • 申告義務(酒税法第47条)[33]
    • 製造設備申告
    • 製造方法申告
    • 製造休止申告
    • 酒類の製造・移出・所持数量等の申告
    • 異動申告
  • 承認を受ける義務(酒税法第50条)

また、酒類を製造場から移出(未納税移出[注釈 9]・輸出のため保税倉庫へ移出した場合を除く)したときには酒税の納税義務が成立する[34]

自家製造の例外

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酒類製造免許を受けずに酒類の製造行為を行なうことは禁止されているが、酒税法施行規則(昭和37年大蔵省令第26号)第13条第3項の規定により、消費者が自分で飲むために酒税課税済のアルコール度数20度以上の酒類に下記の物品以外を混和させる場合[注釈 10]は、例外として製造行為とみなさないこととなっている[35][36]

販売業免許との関係

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酒類の販売業を行なう場合は酒類販売業免許を受ける必要があるが、酒税法第9条の規定により以下の条件に該当する製造免許を受けている場合は販売業免許を別途受ける必要がないとされている[37]

酒類製造者がその製造免許を受けた製造場においてする酒類(当該製造場について第七条第一項の規定により製造免許を受けた酒類と同一の品目の酒類及び第四十四条第一項の承認を受けた酒類に限る。)の販売業及び酒場、料理店その他酒類をもつぱら自己の営業場において飲用に供する業については、この限りでない。

酒税法第9条後段

罰則

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無免許酒類製造罪

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無免許酒類製造罪[38]
法律・条文 酒税法第54条
保護法益 酒税収入の確保
主体 人・法人
客体 国の租税債権
実行行為 酒類・酒母・もろみの製造
主観 行政犯(租税犯)[39]
実行の着手 製造行為に着手したとき
既遂時期 アルコール製成が発生したとき
法定刑 10年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金(ただし犯罪に係る酒類等の酒税相当額の3倍が100万円を超えるときは100万円を超え酒税相当額の3倍以下)及び、器具・酒類・酒母・もろみ等の没収(併科・両罰規定有)
未遂・予備 未遂罪(酒税法第54条第2項)
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無免許酒類製造罪(むめんきょしゅるいせいぞうざい)は、酒税法第7条・第8条に基づく製造場所在地の所轄税務署長の酒類の製造免許、酒母の製造免許、もろみの製造免許を受けないで酒類・酒母・もろみを製造する犯罪。酒税法第54条に規定されている。未遂も罰せられる(第54条第2項)。

罰則を定めた酒税法第54条の概要は以下のとおりである。

  1. 酒類の製造免許・酒母の製造免許・もろみの製造免許を受けないで、酒類、酒母又はもろみを製造した者は、10年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金に処する(無免許酒類製造罪)。
  2. 1の犯罪に着手してこれを遂げない者についても、同項と同様とする(無免許酒類製造未遂罪)。
  3. 無免許酒類製造罪・無免許酒類製造未遂罪の犯罪に係る酒類、酒母又はもろみに対する酒税相当額(酒母又はもろみについては、その他の醸造酒とみなして計算した金額)の3倍が100万円を超えるときは、情状により、その罰金は、100万円を超え当該相当額の3倍以下とすることができる。
  4. 無免許酒類製造罪・無免許酒類製造未遂罪の犯罪に係る酒類、酒母、もろみ、原料、副産物、機械、器具又は容器は、何人の所有であるかを問わず没収する。
  5. 無免許酒類製造罪・無免許酒類製造未遂罪の行為に係る酒類については、当該酒類を製造した、又は製造に着手してこれを遂げない者から、直ちにその酒税を徴収する。ただし、没収された酒類には、酒税を課さない。
  6. 無免許酒類製造罪・無免許酒類製造未遂罪の行為に係る酒母又はもろみはその他の醸造酒とみなし、当該酒母又はもろみを製造した者から、直ちにその酒税を徴収する。ただし、没収された酒母又はもろみには、酒税を課さない。

法定刑

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10年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金刑(ただし犯罪に係る酒類等の酒税相当額の3倍が100万円を超えるときは100万円を超え酒税相当額の3倍以下)に処されるとともに[8]、製造に使用した物品(原料・器具・容器等)・製造された酒類・酒母・もろみ等は所有者を問わず没収される[9]

拘禁刑と罰金を併科でき(第57条)[注釈 11]両罰規定も定められており、法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人等の業務において製造行為を行った場合は法人等も罰せられる(第59条)[注釈 12][40]

事例・判例

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  • 大審刑 明三四(れ)八四七 、明三四(れ)一三一〇、明三九(れ)八七一 - 免許を受けた製造場以外で酒類を製造して酒造税法違反で有罪となった例[41]
  • 大審刑 明三九(れ)五五五 - 免許を受けないで酒類の製造を業する者の雇人が、業務として酒類を製造した場合に雇主も責任を負うべきであるとして有罪になった例[42]
  • 第二小 昭二四(れ)八六〇 - 無免許でもろみを製造しようとして仕込を行ない攪拌行為を行なったが未発酵で検挙され、未完成であっても製造行為とされて有罪となった例[43]
  • 第二小 昭二八(あ)三七二一、第二小 昭和三〇(あ)三二二三 - 自己又は親族等の飲用に供するために製造したもので販売・利得の目的がなかったとしても有罪であるとなった例[44]
  • どぶろく裁判 - 社会活動家が無免許で清酒等を自家製造し有罪となった例。免許制度の合憲性についても争点となった[45]

免許条件違反

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製造免許に付された条件(免許条件の種類)に違反した者は、酒税法第58条の1の規定に基づき、1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金に処される[6]

第五十八条 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。

一 第十一条第一項の規定による条件に違反した者
(一部省略)
2 前項の犯罪(同項第二号、第三号及び第六号に該当する場合を除く。)に係る酒類、酒母、もろみ、原料、機械、器具又は容器は、何人の所有であるかを問わず没収する。
3 第一項第五号の場合において、酒類、酒母又はもろみの製造者が判明しないときは、酒類については、犯人から、直ちにその酒税を徴収し、酒母又はもろみについては、当該酒母又はもろみをその他の醸造酒とみなして、犯人から、直ちにその酒税を徴収する。ただし、前項の規定により没収された酒類、酒母又はもろみには、酒税を課さない。
酒税法第58条

統計情報

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品目・区分別免許場数

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令和5年度の国税庁統計「酒類製造免許場数等」によれば、2024年(令和6年)3月31日時点の品目・製造場別の酒類製造免許、製造場別の酒母等の製造免許の交付状況は以下のとおりである[1]

酒類製造免許
品目 製造免許場数 (うち試験免許[注釈 13]
清酒 1,683 121
合成清酒 70 12
連続式蒸留焼酎 103 14
単式蒸留焼酎 848 72
みりん 108 12
ビール 543 84
果実酒 775 131
甘味果実酒 340 56
ウイスキー 200 28
ブランデー 233 49
原料用アルコール 101 14
発泡酒 2,722 172
その他の醸造酒 1,480 97
スピリッツ 1,779 97
リキュール 1,926 113
粉末酒 10 8
雑酒 1,355 39
酒母等の製造免許
区分 製造免許場数
酒母 255
もろみ 423

脚注

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注釈

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  1. ^ 酒類の製造免許を受けずに酒類を製造した者と酒類製造者を合わせて「酒類の製造者」という」
  2. ^ 例えば、ウイスキー製造免許のみを交付されている酒類製造者がブランデーを造ることはできない
  3. ^ 当該酒類の製造の用に供するために製造するものに限る(酒税法第8条第1項)
  4. ^ 酒税法第7条但書:ただし、酒類の製造免許を受けた者(以下「酒類製造者」という。)が、その製造免許を受けた製造場において当該酒類の原料とするため製造する酒類については、この限りでない。
  5. ^ 酒税法第3条第24号:酵母で含糖質物を発酵させることができるもの及び酵母を培養したもので含糖質物を発酵させることができるもの並びにこれらにこうじを混和したもの(製薬用、製パン用、しようゆ製造用その他酒税の保全上支障がないものとして財務省令で定める用途に供せられるものを除く。)をいう。
  6. ^ 酒税法第3条第25号:酒類の原料となる物品に発酵させる手段を講じたもの(酒類の製造の用に供することができるものに限る。)で、こし又は蒸留する前のもの(こさない又は蒸留しない酒類に係るものについては、主発酵が終わる前のもの)をいう。
  7. ^ 当該もろみの製造の用に供するため製造するものに限る(酒税法第8条第2項)
  8. ^ 製造場(試験免許場を除く。)において免許を受けている品目以外の酒類に係る製造免許
  9. ^ 移出の相手方が酒類の製造免許を受けており酒税法第28条に該当することで酒税の納税義務が免除された場合
  10. ^ 例:アルコール度数20度の単式蒸留焼酎にの実を混和して製造する梅酒は下記の物品以外を使用しているので自家製造可
  11. ^ 第五十七条 第五十四条第一項若しくは第二項、第五十五条第一項若しくは第三項又は前条第一項の罪を犯した者には、情状により、拘禁刑及び罰金を併科することができる。
  12. ^ 第五十九条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関して第五十四条から第五十六条まで又は前条の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対して当該各条の罰金刑を科する。
  13. ^ 製造免許交付時の条件に「試験のために製造する酒類に限る。」の条件が付与されている免許

出典

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  36. ^ 前田恒彦. “自家製の梅酒が違法な「密造酒」に? ホームリカーを巡る酒税法上の注意点は”. 2025年9月6日閲覧。
  37. ^ Q4 酒類製造免許を受けて製造した酒類を販売する場合には、酒類販売業免許を別途受ける必要がありますか。”. 国税庁. 2026年1月10日閲覧。
  38. ^ 石堂 1997, p. 213.
  39. ^ 佐藤 & 村松 1963, p. 53.
  40. ^ 佐藤 & 村松 1963, p. 53-54.
  41. ^ 中川 1959, p. 265.
  42. ^ 中川 1959, p. 279.
  43. ^ 中川 1959, p. 266.
  44. ^ 中川 1959, p. 267.
  45. ^ 石堂 1997, p. 223-225.

参考文献

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  • 佐藤, 恒男、村松, 隆夫「改正酒税法のあらまし (その6)」『日本釀造協會雜誌』第58巻第2号、1963年2月15日、140-146頁、doi:10.6013/jbrewsocjapan1915.58.140 
  • 中川, 一郎『租税判例 (2)2』三晃社、1959年。doi:10.11501/1351618 
  • 石堂, 功卓『現代刑事判例研究 第2巻』成文堂、1997年。doi:10.11501/12721218 
  • 富川, 泰敬『令和5年版 図解 酒税』大蔵財務協会、2023年8月29日。ISBN 978-4754731311 

関連項目

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外部リンク

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