酒は百薬の長
酒は百薬の長(さけはひゃくやくのちょう)は、古代中国の漢書からの言葉。
概要[編集]
酒は適量を飲めば健康に良く、どんな薬よりも効果のある薬であるという意味で用いられている[1]。
歴史[編集]
中国[編集]
前漢を倒して新という王朝を建てた王莽は、五均、六管という政策を行う。そこで王莽が発した詔の中に「酒は百薬の長」という言葉がある。酒は最も良い薬で、祝いの席では欠かすことはできないとする。同じ漢書の中に「酒は天の美禄」という言葉もあり、人民を養い、宗教行事も、衰え病んだ体を養うのも酒であるとしている[2]。
この言葉が出てくる漢書は紀元80年ごろに書かれた『食貨志下』で、これに王莽の言葉が書かれている。塩と酒と鉄を税収の源とするために専売制にするときに述べられた。「酒は百薬の長」のほかに、「塩は食肴の将」で「鉄は田農の本」とも書かれている[3]。王莽は王朝を創始してから大臣の意見に従い酒を国家の専売制にしていた。ところが中間で搾取することが蔓延り民衆は苦しむこととなる。そこで王莽は専売制をいっそう強めて中間の搾取を排除しようとしたものの効果を上げることができなかった[1]。
他の国[編集]
古代ギリシャの医師であったヒポクラテスは、ワインを最も有益な薬であると称える[3]。
丹後国風土記の奈具神社の由来譚には、天女が造る口噛み酒は一杯で万病に効き、その一杯のために大勢は財貨を車に積んで送るほどと書かれている[3]。
徒然草にも「酒は百薬の長」という言葉が出てくるが、ここでは酒は百薬の長であるということを肯定しているものの、酒はあらゆる病気の原因ともなるとも書かれている[4]。
英語では「Wine is panacea of all ill」ということわざがある[5]。
脚注[編集]
- ^ a b 日本国語大辞典,デジタル大辞泉, 故事成語を知る辞典,ことわざを知る辞典,精選版. “酒は百薬の長(さけはひゃくやくのちょう)とは? 意味や使い方”. コトバンク. 2023年6月11日閲覧。
- ^ “No. 249 【百薬之長】 ひゃくやくのちょう |今日の四字熟語・故事成語|福島みんなのNEWS - 福島ニュース 福島情報 イベント情報 企業・店舗情報 インタビュー記事”. fukushima-net.com. 2023年6月11日閲覧。
- ^ a b c “酒は体に良い?悪い?動物実験でも実証された、飲酒の「思いがけない効果」(和田 美代子,ブルーバックス編集部編)”. ブルーバックス | 講談社. 2023年6月11日閲覧。
- ^ “令和3年度保健だより8月号「お酒と健康」|朝日にいちばん近い街”. www.city.nemuro.hokkaido.jp. 2023年6月11日閲覧。
- ^ INC, SANKEI DIGITAL (2018年10月12日). “【エンタメよもやま話】食べて健康の「嘘」 一滴でも「酒は百毒」、ココナッツオイルは「最悪」との研究(1/5ページ)”. 産経ニュース. 2023年6月11日閲覧。