転位

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転位(てんい、Dislocation)は、材料科学の用語で、結晶中に含まれる、線状の結晶欠陥のことである。外力等によって、転位近傍の原子が再配置されることによって転位の位置が移動し、材料が変形するため、変形に要する力は原子間の結合力から理論的に計算される力よりも小さく、金属の硬さ(変形のしにくさ)は、転位の動きやすさが決めている。転位が動くことによって、金属等は外力に対して、破壊せずに変形する塑性変形を起こす。このようなメカニズムをエゴン・オロワン英語版らが解明することによって結晶力学は飛躍的に進歩し塑性変形強度の基本原理となった。

結晶格子面と原子

分類[編集]

刃状転位
螺旋転位
Transmission electron micrograph of dislocations

転位線の周りの原子の不一致の向きはバーガース・ベクトル英語版で表される。転位は、転位線とバーガース・ベクトルの関係により以下のように分類される。

刃状転位
(じんじょうてんい、はじょうてんい、: edge dislocation
転位線とバーガース・ベクトルが垂直で、転位のない結晶に余分面を無理やり押しこんだ形の結晶欠陥である。
螺旋転位
(らせんてんい、: screw dislocation
転位線とバーガース・ベクトルが平行で、転位線に対して平行に結晶面がずれているものをいう。
混合転位
転位線とバーガーズ・ベクトルが平行でも垂直でもなく、刃状転位と螺旋転位の2つが混合し両方の性質をもっている。

せん断強度との関係[編集]

転位の移動による変形のイメージ図

1930年代に、材料の理論的せん断強度をオロワンが求めている。

\tau_m = \frac {G} {2 \pi}

ここで、G剛性率、τmせん断強度である。

金属の剛性率が約20-150 GPaであるため理論的せん断強度は数~数10 GPaとなるのに対し、実際のせん断強度は 0.5-10 MPaにすぎない。オロワンらによって金属の転位の概念が導入された。これにより、金属結晶の強度の議論が理論的に可能になり、さらにはその後確立された「破壊力学」とセットにした材料強度学への発展と繋がっている。

せん断による塑性変形を転位に運動によるとし、せん断強度を再評価すると

\tau_m=\frac{2G}{1-\nu}\exp\left(-\frac{2\pi a}{(1-\nu)b}\right)

で与えられ、実際の変形に要する応力に近くなる[1]。ここで ν はポアソン比、b はバーガース・ベクトル、a はすべり面の原子間距離である。この τm をパイエルス・ナバロ応力という。

脚注[編集]

  1. ^ 駒井謙治郎編 『機械材料学』 (9版) 日本材料学会、1999年、20頁。 

関連項目[編集]