西村繁男 (絵本作家)

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西村 繁男(にしむら しげお、1947年1月10日 [1]- )は、日本絵本作家。高知県高知市出身[2]神奈川県相模原市在住[3]。妻は絵本作家のいまきみち、娘は絵本作家のにしむらあつこ[4]

来歴[編集]

中央大学商学部[5]セツ・モードセミナー卒業。大学卒業後、同郷で高校の先輩である田島征三と出会い[6]、「ベトナムの子供を支援する会」の野外展に出品して学ぶ[7]。そこで知り合った大友康夫のテキストに絵をつけた『くずのはやまのきつね』が最初の絵本作品となった[8]。和紙に日本画の絵の具を使って作品を描くことが多い[1][2]

『おふろやさん』、『にちよういち』、『やこうれっしゃ』等の作品では、物語を考えるのが苦手だったことから、銭湯、故郷高知の日曜市、夜行列車といった日常の人の営みを取材・観察し、細部まで絵に描きいれていくスタイルをとった[8][9][10]

『ぼくらの地図旅行』『絵で読む広島の原爆』(いずれも文:那須正幹)、『絵で見る日本の歴史』等では地域や歴史の全体像を俯瞰で描いている[11]。二十代半ばからベトナムの会を通じて被爆者の語り部と知り合い、佐伯敏子と作成を進めたものの中止になっていた絵本が心に残っていたが、那須のテキストと広島での取材等によって1995年に『絵で読む広島の原爆』として出版された[12]

後年では、『みんなであそぼう』、『がたごと がたごと』(文:内田麟太郎)など、取材によらず、頭の中で作った世界を自由に描いた絵本も刊行している[13][14]

『絵で見る日本の歴史』で第8回(1985年)絵本にっぽん大賞、『ぼくらの地図旅行』で第12回(1989年)絵本にっぽん賞、『絵で読む広島の原爆』で第43回(1996年)産経児童出版文化賞、『がたごと がたごと』で第5回(1999年)日本絵本賞受賞。

脚注[編集]

  1. ^ a b 『児童文化人名事典』日外アソシエーツ、1996年、405頁。 
  2. ^ a b 絵本作家インタビュー 西村繁男」(pdf)『マグちゃん通信』第7巻、射水市大島絵本館、2011年4月、1-2頁。 
  3. ^ 第66回神奈川文化賞受賞者プロフィール”. 神奈川県. 2020年3月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年6月11日閲覧。}
  4. ^ 西村 2008, p. 42
  5. ^ 日本児童文学学会 編『児童文学事典』東京書籍、1988年、553頁https://alc.chiba-u.jp/cl/index.html#%E3%81%AB 
  6. ^ 長谷川摂子と絵本作家【第8回】いまきみちさん・西村繁男さん(2)自分は何が本当は好きなのか”. 福音館書店. 2019年3月25日閲覧。
  7. ^ 絵本の作家たち 4 2006, p. 79
  8. ^ a b 福音館書店母の友編集部 2014, p. 97
  9. ^ 絵本の作家たち 4 2006, p. 80-83
  10. ^ 西村繁男さんと『やこうれっしゃ』”. 福音館書店. 2019年3月25日閲覧。[リンク切れ]
  11. ^ 福音館書店母の友編集部 2014, p. 98-100
  12. ^ 絵本の作家たち 4 2006, p. 86-87
  13. ^ 絵本の作家たち 4 2006, p. 88
  14. ^ 福音館書店母の友編集部 2014, p. 102

参考文献[編集]

  • 『絵本の作家たち 4』平凡社、2006年、76-92頁。 巻末に著作リストあり。
  • 福音館書店母の友編集部『絵本作家のアトリエ 3』福音館書店、2014年、93-102頁。 初出『母の友』2007年4月。
  • 西村 繁男,いまき みち,菅原 千賀子「この人にあれもこれも こんにちは!絵本作家さん 西村繁男さん いまきみちさん夫妻」『この本読んで!』第8巻第4号、出版文化産業振興財団、2008年、41-47頁、NAID 40021093674 

外部リンク[編集]