胸骨筋

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胸骨筋
胸骨に沿って縦走する胸骨筋
大胸筋と広背筋の間を走る胸骨筋
ラテン語 musculus sternalis
musculus rectus thoracis
グレイの解剖学 書籍中の説明(英語)
胸骨柄 または 鎖骨
前胸神経
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胸骨筋(きょうこつきん、Sternalis)は、胸部の筋肉胸骨の片側あるいは両側で、大胸筋の表面を胸骨に沿って縦走または斜行する。

ほとんどの人には存在しない、いわゆる破格筋で、10%程度の人に認められる。日本人では若干多い。起始部は胸骨柄が多いが、胸骨体や鎖骨の場合や、胸鎖乳突筋から派生する例もある。停止部は大胸筋に合流する場合もあれば、腹直筋と合流する例もある。二頭に分かれて一方は鎖骨と並走する例もあるなど、人によってかなりバリエーションがある。

身体を動かすうえで特に何の機能も持たず、あってもなくても問題が無い。なぜ出来るのか、なぜ存在するのか、よくわかっておらず、神経支配も詳しく分かっていない。小さい筋肉なので気づかれないことが多いが、マンモグラフィーボディビルで発見されて驚かせることがある。また、首の筋肉の再生手術に利用されることがある。

大胸筋を鍛えると体表から観察できるようになる。他の破格筋と比べると、出現する確率が高く、しかも目立つ位置にあるのでわかりやすい。ボディビルコンテストでは、他の人には存在しない小指ほどの太さの筋肉が胸骨の近くについている選手がしばしば見られる。


参考文献[編集]

  • Saeed M, Murshid K, Rufai A, Elsayed S, Sadiq M (2002). “Sternalis. An anatomic variant of chest wall musculature.”. Saudi Med J 23 (10): 1214–21. PMID 12436146. 
  • Loukas M, Bowers M, Hullett J (2004). “Sternalis muscle: a mystery still.”. Folia Morphol (Warsz) 63 (2): 147–9. PMID 15232768. 
  • Harish K, Gopinath K (2003). “Sternalis muscle: importance in surgery of the breast.”. Surg Radiol Anat 25 (3-4): 311–4. doi:10.1007/s00276-003-0119-9. PMID 12898192. 

Travell & Simons' Myofascial Pain and Dysfunction: The Trigger Point Manual

関連項目[編集]

  • 長掌筋 - 日本人の95%程度の人に存在が認められる筋肉

外部リンク[編集]