聴導犬

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聴導犬ちょうどうけん)とは、聴覚障害者の生活を安全で安心できるものにするために、生活で必要な音をタッチして教え、音源に導く身体障害者補助犬のこと。

概要[編集]

聴導犬がはじめてこの世に出るのは、盲導犬に遅れること約150年後である。1966年に、アメリカで、一人の聴覚障害者が、自分が飼っていた犬を、生活の音に反応して自分に知らせることができるよう訓練をしてほしいと懇願したとこから始まったといわれている。

聴導犬の役割は、火災報知機などの警報玄関のブザーや電話などの呼び出し音、目覚まし時計の音などを聞き分ける。音の種類によって飼い主への合図を変えることによって、必要な情報を飼い主に正確に伝える。また必要に応じてそれら音の発する方向へ誘導を行う。特に、警報音では、眠っている飼い主を起こし、避難を促すなど、命を守る働きをする。

世界最大で最多を誇る英国聴導犬協会およびアメリカ最大の聴導犬育成団体であるDogs for Deafでも、犬種は雑種が主であり、捨てられた犬からの動物福祉をもうひとつの使命としている。適性があれば、雑種でも純血犬でも認められる。聴導犬のカラーとしては、オレンジ色または、黄色になるが、英国聴導犬協会ではエンジ色を着用している。

日本の状況[編集]

2016年4月1日現在、日本国内の聴導犬の実働数は64頭[1]盲導犬と比べまだまだ不足している状況である(潜在する聴導犬希望者は、1万人いるという推測がある[2])。

また、聴導犬も、身体障害者補助犬法の適用を受けており、公共機関だけでなくてデパートスーパーホテルなどでは、受け入れを拒むことは禁止されているが、盲導犬同様、受け入れを拒否する事例がある。中には、阪急百貨店に入居しているテナントの飲食店において、法律に無理解な従業員が、自分の判断で入店を拒否したケースもある[3]

2008年現在、指定されたリハビリテーションセンター以外で、聴導犬の認定試験ができる補助犬育成団体は、厚生労働大臣が指定する社会福祉法人日本聴導犬協会[1]だけである。 国際的に見ても、身体障害者補助犬の訓練と認定は、ユーザーとなる障害者のニーズと犬の習性を周知している補助犬育成団体内で行われることで、補助犬ユーザーへの責任の所在が明確になると言われている。その根拠として、日本での盲導犬認定は、盲導犬育成団体内で行われている。聴導犬育成団体内での認定においても「身体障害者補助犬法」により、訓練士のほかに、医師(特に耳鼻科医)、言語聴覚士などの専門家の連動が義務付けられている。また、障害者相談員などの「当事者」認定委員を含めることで、「当事者」のニーズを把握した上での厳密な認定試験が行われている。脳梗塞などの中途失聴による言語回復が望まれる者以外、たとえば先天性聴覚障がい者とリハビリテーションセンターとの関係はもともと薄いと言われ、リハ医よりも、各地の耳鼻科医との連携が望まれている。厚生労働大臣指定法人は、わずか6箇所しかなく、4つのリハビリテーションセンター(横浜、千葉、兵庫、名古屋)と、補助犬育成団体では2団体(長野(聴導犬と介助犬の認定)、山梨(介助犬のみ))が指定されているだけで、盲導犬育成団体のように補助犬育成団体が認定団体となることを望む補助犬ユーザーの声もある。

上記のリハビリテーションセンターでは4箇所が介助犬訓練所、3箇所が聴導犬訓練所として、厚生労働省に届出[2]をしている。現実に施設内での合同訓練を行っているリハビリテーションセンターもあり、補助犬育成団体での認定と共に、客観的な認定を行うことが義務付けられている。

聴導犬の育成について、一例としては、聴導犬候補の子犬(主に捨てられた犬たちの適性を見て、保健所などの協力を得て選ばれる)をソーシャライザーと呼ばれる子犬育てのボランティア宅で、人間を仲間とし信頼できるように愛情をもって育て、その後の10回以上([社会福祉法人]日本聴導犬協会では)にわたる適性テストを経て、聴導犬として育てる仕組みがある[4]。他に、ユニークな試みとしては、特定非営利活動法人日本補助犬協会が、引きこもりの若者に子犬を育ててもらうことによって聴導犬の育成と若者の自立支援を狙った「あすなろ学校」といった例がある[2]。聴導犬の育成に拍車をかけるため、(福)日本聴導犬協会では、日本で最大規模の聴導犬・介助犬訓練施設(650坪)を2008年8月末に竣工。その施設を活用して、2009年2月より「日本聴導犬・介助犬訓練士学院」[3](学院長・信州大学元学長 森本尚武)を開校し、後進の育成も図る。

代表的な聴導犬[編集]

  • 身体障害者補助犬法の施行前(2001年)に、初めて公共の乗り物(JR西日本)への同伴試験に合格したのは、聴導犬みかん。
  • 身体障害者補助犬法後の認定試験制度で初めて合格したのは、聴導犬美音。
  • 日本で初めて、聴導犬インストラクターとしてADI国際認定を受けた方には、有馬もと(日本聴導犬協会)。
※ADIは補助犬団体の国際総会。
  • 日本で初めてのタンデム(1頭の補助犬を夫婦など2人で活用する)聴導犬は、聴導犬しん(大阪)

関連図書[編集]

  • 『聴導犬捨て犬コータ あなたの「耳」になりたい! 』(桑原崇寿/ハート出版/1998年/第2230回日本図書館協会選定図書)
  • 『聴導犬・美音と過ごす幸せな日々』(松本江理/角川文庫/2006年)

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 補助犬の実働頭数─ほじょ犬|厚生労働省 2016年4月16日閲覧。
  2. ^ a b 読売新聞 2008年4月30日付配信 『捨て犬を聴導犬に~引きこもりの若者らが訓練…横浜に施設』
  3. ^ 聴導犬:同伴の入店拒否 阪急百貨店梅田内の2飲食店 毎日新聞 2015年10月9日
  4. ^ 日本聴導犬協会『ソーシャライザー募集』

外部リンク[編集]