粕尾七不思議

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粕尾七不思議(かすおななふしぎ)とは、栃木県鹿沼市(旧粟野町) 粕尾地方に居た名医、中野智玄(録事法眼、または略して録事尊とも言う)の雷神の治療伝説と関連づけて語られる、鹿沼市(中・上)粕尾の思川沿いの不思議のうちの七つを集めて言う。「粕尾の民俗」として怪異伝承データベースに含まれる為、怪談系七不思議に分類できる可能性もあり、不思議の原因が説明されている点が特徴的である。具体的には、次の通り。

内容[編集]

  • によるケガの被害がない。
  • 思川の川筋が変らない。
  • 思川の川越えをする地点が変らない。
  • 川沿草地の雑草の背丈が1程度と低く、チチコグサが生えない。
  • ノミのたかったが居ない。
  • ウズラがここでは鳴かない。
  • クツワムシスズムシの鳴き声が小さい。

意味[編集]

1.雷によるケガの被害がない。
2.思川の川筋が変らない。
3.思川の川越えをする地点が変らない。

上記3つは、前記平安時代末ないし鎌倉時代にここに居たと言う名医、中野智玄の治療した雷神からの恩返し伝説の主要部分で理由付けられている。地元の寺院・常楽寺に残る記録、「録事尊縁起」によれば、後鳥羽上皇の病を治して録事法眼の号を受けた名医、中野智玄の所へ、あるとき病に難渋する雷神がやってきて治療をして貰い完治した。そこで御礼に、この地域へ雷害が無い事を約束するとともに、雷神の神力による降雨により、思川の治水工事を完成させ、思川の川の流れや形が末代まで変らないようにさせたと言う。その為、下・中・上粕尾では、人工的な治水工事が行なわれなかったにもかかわらず、水害が無いと言う。なお、一説には、中粕尾の中で布施谷地区から森地区までの間だけは、前記雷神の事業から除外され、治水の効力は概ね粕尾城跡より上流の地域か、常楽寺のある下粕尾かに分断されているとの「但し書き伝説」もある。

4.川沿草地の雑草の背丈が低く、チチコグサが生えない。

前記中野智玄と雷神との約束により、同じく雷神の神力により、田畑作の作業で難行となる、雑草の生育がここでは悪く、特定の雑草は生育しないようになっているとの言伝えがある。なお、雑草の一種チチコグサがはびこった時、洪水のサインになっているとの話も有る。

5.ノミのたかった猫が居ない。

中野智玄はノミのたかった猫に、彼の配合した駆除の薬を浴びせると、それ以後その猫にはノミがたからなくなった。なお中野智玄は雷神を完治させたおり、雷神より「龍起雷論」と言う医学書を賜ったと言う。さらにそればかりではなく、この地域には以後も、ノミのたかった猫は居なくなった。彼の治療はその猫の子孫にも効き目があり、ノミのたかった別の地域の猫から、この地域の猫がノミをうつされる事も無かったと言う事になる。

6.ウズラがここでは鳴かない。

中野智玄の飼っていたウズラが、あるとき檻から逃げ出し、かつ近くでウズラの鳴き声がした。「逃げたばかりか馬鹿にして鳴きやがって。」と智玄が怒った所、鳴いていたウズラが鳴くのを止めたばかりでなく、その後渡って来たウズラが全て、この地域では鳴かなくなったと言う。

7.クツワムシやスズムシの鳴き声が小さい。

クツワムシやスズムシの鳴き声が大きく、人の話が良く聞き取れないので、中野智玄がクツワムシ等に「うるさく鳴くな。」と怒った所、これらの虫の鳴声が以後、他の地域より小さくなったと言う。なお「異変を知らせる為なら、大声で鳴いてもよい。」と言い含めてあるとも言われている。

注記[編集]

以上のように粕尾の七不思議は、すべて由来が述べられている点、原因が医師・中野智玄個人に関連する点に特徴がある。また中身が、気象現象や地形の他、ある動物種や植物種全体に関するもので、個体は特定されず、稀な一匹・一株だけに限られたものではない点に特徴がある。ただしこれらへの理由付けは、科学的な説明を元来目的としていないので、科学的に解明された不思議には目下の所、何れも属していない。

関連項目[編集]