理義字

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理義字(りぎじ)は、同じ漢字を2つ、ないし、3つ組み合わせて構成される漢字のこと。また、広く、形態が奇妙な漢字や、面白い形をした漢字のことを指す。寺子屋などにおいて漢字を学習する際の手引きとして用いられた書籍(『童子字尽安見』、『年中往来用文章』など)に「理義字集」が見られる。同じ字を3つ組み合わせた漢字は、同じく手習い書の一つである『小野篁歌字尽』などにも見られる。

概要[編集]

全ての理義字がそうではないが、同じ漢字を組み合わせることによって数の多さなどを表している。例えば、「森」は日本の教育過程では小学1年生に割り当てられた教育漢字であり、実質、最初に学習する同じ漢字を3つ組み合わせて構成される漢字である。また、漢字源によれば、「轟」は多くのが往来することを表す会意文字であると説明されている。

理義字に関して、当記事ではこれまで「同じ漢字を2つ組み合わせて構成されるものに関しては、「昌」などのように、左右ではなく上下に同じ漢字を2つ組み合わせて構成されるものは、理義字とされない」という説明がなされていた。しかし、『童子字尽安見』の「理義字集」には、上下に組み合わされた漢字も見られる。さらに、同じ漢字を組み合わせた漢字だけではなく、形の変わった漢字が広範囲にわたって収載されている[1]。『年中往来用文章』の鼇頭(書物の本文の上欄の書き入れ)にも「理義字集」があり、本書は東京学芸大学リポジトリから閲覧することができる[2]が、「九月」から先が落丁している。それまでの内容は『童子字尽安見』内の「理義字集」と同様のものであることから、落丁箇所も同じ内容が続いていたと考えるのが妥当である。

すなわち理義字とは、本来は「形態が奇妙な漢字」を広く指す言葉であったと考えられるが、現在では「同じ漢字を組み合わせて構成される漢字」として説明されることが多い[3]

画数[編集]

理義字は同じ漢字を組み合わせているため、画数ももとの漢字の2倍、3倍となることから、必然的に画数が多くなる傾向にある。「森」(12画)は小学1年生に割り当てられた教育漢字の中で最も画数が多い。

主な理義字[編集]

以下に挙げられているのは、今日的な意味に基づく理義字である。

同じ漢字を2つ組み合わせて構成される漢字[編集]

漢字 音読み 訓読み 意味
ジュウ、ショウ したが-う、したが-える 「従」の異体字
リン 「隣」の古字
ソウ ふた
「比」の古字
ダン 言い争うさま
ふたご
ケン 揃っているさま
キョウ、ゴウ 強い
ソウ くさ
ヘイ なみ 「並」の異体字
は、はね
リン はやし
ジャク よわ-い
キョウ つつしむ、恐れる
キョウ、ケイ きそ-う、せ-る
キョウ、ケイ きそ-う、せ-る 「競」の異体字
ホウ とも
サン かぞ-える よく見て数える
テツ 「哲」の異体字
いと 」の旧字体
シン 多いさま
シン、サン 鋭い、尖る
シン 進むさま
ケン 明らかなさま
バイ 」の古字
ケイ 競う、言い争う
双喜紋を参照
ガン が怒るさま
トウ の飛ぶさま

同じ漢字を3つ組み合わせて構成される漢字[編集]

この形の漢字を特に品字様と呼ぶ。この呼称は『新撰字鏡』に見られる。

漢字 音読み 訓読み 意味
シン もり
ヒン しな
ショウ あきらか、澄んで輝いている
ゴウ とどろ-く 大きな
カン、ケン かしま-しい
ゼイ、セイ むくげ、けば、やわらかい 細くて柔らかい毛
チュウ むし 」の旧字体
ホン ひしめ-く
ヒ、ヒイ いかる
ライ 小さなことに拘らないこと
チク そびえる
ヒョウ たくさんのが駆けること
あら-い
シュン、セン いずみ 多くの泉、泉
ゲン 「原」の古字、「源」と同字
セン あたらしい、少ない
トウ 竜が空を行くさま
よろこ-ぶ 「喜」の異体字草書体に由来。
ビョウ が広々と果てしないさま
エン ほのお 火花、の盛んなさま
キン が増える、
ギョウ の高いさま
ギン 人が多く立つ、また「衆」の簡体字
ヒョウ が群れをなして走るさま
ジャク 「若」の原字、したがう
ルイ 土を積み重ねる
「卉」の本字
ジュウ 「渋」と同字
サ、ズイ 疑う、しべ(蕊)
ライ 田間の地、
セン のにおい
言葉を翻す
テツ 「哲」の古字
トウ 早口、早口で喋る

理義字に類似するもの[編集]

同じ漢字を4つ組み合わせて構成される漢字[編集]

漢字 音読み 訓読み 意味
𠈌 おそれ 「虞」の古字 8画
テン の-ばす 「展」の古字 12画
ロウ 「朗」の古字 16画
𥗉 ライ 「磊」と同字 20画
𥷹 ボウ、モウ 義未詳 24画
𧮦 義未詳 28画
𣡾 義未詳 32画
𩙡 ホウ  36画
𩇔 ノウ が広がっているさま 48画
ホウ、ビョウ の音 52画
𪚥 テツ、テチ 言葉が多いこと、多言 64画
𠔻 セイ 義未詳 64画

上下に同じ漢字を2つ組み合わせて構成される漢字[編集]

漢字 音読み 訓読み 意味
よ、よん 」の異体字
ヒョウ こおり 」の原字である「」の古字(篆文)
ケイ
エン ほのお

文字の中に理義字が含まれる漢字[編集]

漢字 音読み 訓読み 意味
シュン うごめ-く
シュウ、シュ いなご
ブン 昆虫ののこと
キョウ、ギョウ
キョウ、コウ わき
キョウ、ギョウ
レイ
ショウ、ジョウ ささや-く
ショウ、ジョウ
ズイ、ヌイ しべ
リ、レイ
レイ
ジュウ
ルイ
ライ
ライ

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 早稲田古典籍総合データベース『四民童子字尽安見』
  2. ^ pp.11-13を参照
  3. ^ 2015年12月14日放送の「Qさま」において、作家の東山彰良がここに記した意味に基づいて理義字を説明していた。

外部サイト[編集]