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[[ファイル:HTCas-LB1-2010Nov12.jpg|250px|thumb|right|2010年11月2日に爆発を起こし~13.4等級になったカシオペヤ座HT星]]
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[[ファイル:HT_Cas-LC.jpg|250px|thumb|right|爆発中2010年11月4日のカシオペヤ座HT星の光学曲線。食による一時的な減光と降着円盤によるスーパーハンプが見られる。]]
[[ファイル:HT_Cas-LC.jpg|250px|thumb|right|爆発中2010年11月4日のカシオペヤ座HT星の光学曲線。食による一時的な減光と降着円盤によるスーパーハンプが見られる。]]
'''矮新星'''(わいしんせい、{{lang-en}}Dwarf nova)は、[[激変星]]の一種であり<ref ="GCVS">http://www.sai.msu.su/groups/cluster/gcvs/gcvs/iii/vartype.txt</ref>、[[白色矮星]]と通常の[[恒星]]の接近した[[連星]]から構成される。白色矮星には恒星から質量が転移され、[[降着円盤]]を形成している。'''ふたご座U型変光星'''とも呼ばれる。白色矮星が周期的に爆発的に明るくなるため、古典[[新星]]と似たように見えるが、メカニズムは異なる。即ち古典新星は降着円盤中の[[水素]]が[[熱核融合]]を起こして明るくなるのに対し、現在の理論では、矮新星は降着円盤の不安定性により、円盤中のガスの粘度が変化する臨界温度に達し、白色矮星上に崩壊して大量の[[重力]][[位置エネルギー]]を放出することで明るくなるとされる<ref name="CV intro">[http://home.mindspring.com/~mikesimonsen/cvnet/id1.html CVnet: "Introduction to CVs" (Accessed 4/17/06)]</ref><ref name="S&T">"Calibrating Dwarf Novae". ''Sky & Telescope'', September 2003, p. 20.</ref>。
'''矮新星'''わいしんせい、{{lang-en}}Dwarf nova)は、[[激変星]]の一種であり<ref ="GCVS">http://www.sai.msu.su/groups/cluster/gcvs/gcvs/iii/vartype.txt</ref>、[[白色矮星]]と通常の[[恒星]]の接近した[[連星]]から構成される。白色矮星には恒星から質量が転移され、[[降着円盤]]を形成している。'''ふたご座U型変光星'''とも呼ばれる。白色矮星が周期的に爆発的に明るくなるため、古典[[新星]]と似たように見えるが、メカニズムは異なる。即ち古典新星は降着円盤中の[[水素]]が[[熱核融合]]を起こして明るくなるのに対し、現在の理論では、矮新星は降着円盤の不安定性により、円盤中のガスの粘度が変化する臨界温度に達し、白色矮星上に崩壊して大量の[[重力]][[位置エネルギー]]を放出することで明るくなるとされる<ref name="CV intro">[http://home.mindspring.com/~mikesimonsen/cvnet/id1.html CVnet: "Introduction to CVs" (Accessed 4/17/06)]</ref><ref name="S&T">"Calibrating Dwarf Novae". ''Sky & Telescope'', September 2003, p. 20.</ref>。


矮新星は他の点でも古典新星と異なる。[[光度 (天文学)|光度]]は小さく、数日から数十日の周期で大きさも変化する<ref>http://home.mindspring.com/~mikesimonsen/cvnet/id1.html</ref>。爆発の際の光度は軌道周期と同じ周期で増大する。[[ハッブル宇宙望遠鏡]]を用いた最近の研究では、後者の性質によって、矮新星を宇宙の距離を測定する[[標準光源]]として用いることができると提案されている<ref name="CV intro" /><ref name="S&T" />。
矮新星は他の点でも古典新星と異なる。[[光度 (天文学)|光度]]は小さく、数日から数十日の周期で大きさも変化する<ref>http://home.mindspring.com/~mikesimonsen/cvnet/id1.html</ref>。爆発の際の光度は軌道周期と同じ周期で増大する。[[ハッブル宇宙望遠鏡]]を用いた最近の研究では、後者の性質によって、矮新星を宇宙の距離を測定する[[標準光源]]として用いることができると提案されている<ref name="CV intro" /><ref name="S&T" />。


矮新星は、以下の3つの種類に分類される<ref name="Darling UG">http://www.daviddarling.info/encyclopedia/U/U_Geminorum_star.html</ref>。
矮新星は、以下の3つの種類に分類される<ref name="Darling UG">http://www.daviddarling.info/encyclopedia/U/U_Geminorum_star.html</ref>。
#[[はくちょう座SS型星]](UGSS)は、1、2日で[[V帯]]の等級が2-6つ上昇し、その後数日で元の明るさに戻る。
# [[はくちょう座SS型星]] (UGSS) は、1、2日で[[V帯]]の等級が2-6つ上昇し<ref name="天文観測年表">天文観測年表編集委員会 編 『2008年 天文観測年表』 [[地人書館]]、[[2007年]][[11月20日]]初版第1刷発行、ISBN 978-4-8052-0789-5、174頁</ref>、その後数日で元の明るさに戻る<ref name="天文観測年表"/>。しばらく極大を維持することもある<ref name="天文観測年表"/>
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#[[きりん座Z型星]](UGZ)は、爆発が一時的に停止している。
# [[きりん座Z型星]] (UGZ) は、減光中しばしば変光を停止しそのまま一定光度をしばらく続けることがあ<ref name="天文観測年表"/>


==関連項目==
== 関連項目 ==
*[[激変星]]
* [[激変星]]
*[[極超新星]]
* [[極超新星]]
*[[超新星]]
* [[超新星]]
*[[新星]]
* [[新星]]
*[[ふたご座U星]]
* [[ふたご座U星]]
*[[や座WZ星]]
* [[や座WZ星]]


==出典==
== 出典 ==
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* [http://www.aavso.org/sites/default/files/vsots/0200.pdf AAVSO Variable Star of the Month. SU Ursae Majoris: February 2000]
* [http://www.aavso.org/sites/default/files/vsots/0200.pdf AAVSO Variable Star of the Month. SU Ursae Majoris: February 2000]
* [http://www.eso.org/sci/publications/messenger/archive/no.80-jun95/messenger-no80-43-45.pdf Amateur Astronomers and Dwarf Novae]
* [http://www.eso.org/sci/publications/messenger/archive/no.80-jun95/messenger-no80-43-45.pdf Amateur Astronomers and Dwarf Novae]
*[http://www.astroarts.com/news/2011/10/26bw_scl/index-j.shtml ちょうこくしつ座で新矮新星が増光]
* [http://www.astroarts.com/news/2011/10/26bw_scl/index-j.shtml ちょうこくしつ座で新矮新星が増光]
*[http://www.astroarts.co.jp/news/2011/02/10nova_uma/index-j.shtml おおぐま座に明るい矮新星 10等台まで増光]
* [http://www.astroarts.co.jp/news/2011/02/10nova_uma/index-j.shtml おおぐま座に明るい矮新星 10等台まで増光]
*[http://www.astroarts.co.jp/news/2011/09/12nova_dra_sco/index-j.shtml 西村さんがりゅう座に矮新星を、中村さんがさそり座に新星を発見]
* [http://www.astroarts.co.jp/news/2011/09/12nova_dra_sco/index-j.shtml 西村さんがりゅう座に矮新星を、中村さんがさそり座に新星を発見]


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[[Category:変光星の分類]]
[[Category:変光星の分類]]

2013年3月27日 (水) 13:38時点における版

2010年11月2日に爆発を起こし~13.4等級になったカシオペヤ座HT星
爆発中2010年11月4日のカシオペヤ座HT星の光学曲線。食による一時的な減光と降着円盤によるスーパーハンプが見られる。

矮新星(わいしんせい、英語: Dwarf nova)は、激変星の一種であり[1]白色矮星と通常の恒星の接近した連星から構成される。白色矮星には恒星から質量が転移され、降着円盤を形成している。ふたご座U型変光星とも呼ばれる。白色矮星が周期的に爆発的に明るくなるため、古典新星と似たように見えるが、メカニズムは異なる。即ち古典新星は降着円盤中の水素熱核融合を起こして明るくなるのに対し、現在の理論では、矮新星は降着円盤の不安定性により、円盤中のガスの粘度が変化する臨界温度に達し、白色矮星上に崩壊して大量の重力位置エネルギーを放出することで明るくなるとされる[2][3]

矮新星は他の点でも古典新星と異なる。光度は小さく、数日から数十日の周期で大きさも変化する[4]。爆発の際の光度は軌道周期と同じ周期で増大する。ハッブル宇宙望遠鏡を用いた最近の研究では、後者の性質によって、矮新星を宇宙の距離を測定する標準光源として用いることができると提案されている[2][3]

矮新星は、以下の3つの種類に分類される[5]

  1. はくちょう座SS型星 (UGSS) は、1、2日でV帯の等級が2-6つ上昇し[6]、その後数日で元の明るさに戻る[6]。しばらく極大を維持することもある[6]
  2. おおぐま座SU型星 (UGSU) は、正常な増光の中により明るく長い極大が現れる[6]。変種におおぐま座ER型星や座WZ型星がある[7]
  3. きりん座Z型星 (UGZ) は、減光中にしばしば変光を停止しそのまま一定光度をしばらく続けることがある[6]

関連項目

出典

外部リンク