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'''ワモンアザラシ'''(輪紋海豹、学名:''Phoca hispida'')はネコ目[[アザラシ科]][[ゴマフアザラシ属]]に属する海棲ほ乳類。最も小型のアザラシ。別名'''フイリアザラシ'''。




==分布==
==分布==
*北半球の北部に広く分布する小型のアザラシ。生息地により6亜種に分けられる。うち2亜種は陸封型。日本では北海道の日本海側からオホーツク海側に分布する。
北半球の北部に広く分布する小型のアザラシ。生息地により6亜種に分けられる。うち2亜種は陸封型。日本では北海道の日本海側からオホーツク海側に分布する。

*全個体数は600-700万頭。アザラシの中では[[カニクイアザラシ]]に次ぐ2番目に個体数が多い種である。オホーツク海に50万頭ほどが生息している。
全個体数は600-700万頭。アザラシの中では[[カニクイアザラシ]]に次ぐ2番目に個体数が多い種である。オホーツク海に50万頭ほどが生息している。




==形態==
==形態==
*最も小さいアザラシで中でも日本近海の亜種のワモンアザラシは特に小さい。日本近海のワモンアザラシの体長はオス130cm・メス120cm。体重は50kg程度。
最も小さいアザラシで中でも日本近海の亜種のワモンアザラシは特に小さい。日本近海のワモンアザラシの体長はオス130cm・メス120cm。体重は50kg程度になる。他のアザラシに比べ、頭蓋骨は骨壁が薄く吻部が短く、眼窩間の幅が非常に狭い
*ワモンアザラシは漢字で書くと「輪紋海豹」その名の通り、背中側は灰色の地に灰褐色~黒色の斑紋がある。斑紋は明灰色が縁取りされ、この点は[[ゴマフアザラシ]]の模様と異なる。腹側には模様は不明瞭で明灰色である。別名のフイリアザラシは「斑入り」から。
*他のアザラシに比べ、頭蓋骨は骨壁が薄く吻部が短く、眼窩間の幅が非常に狭い。
*[[ゴマフアザラシ]][[クラカケアザラシ]]と同様に流氷上で出産するので新生児は純白の産毛に包まれ産まれてくる。


==成熟と繁殖==
*性成熟年齢はメスで4-6歳、オスで5-7歳。日本産の亜種は流氷上で出産する。繁殖は一夫一妻形式で純白の産毛に包まれた一子を産む。
*寿命は30年以上に達するものが記録されている。


ワモンアザラシは漢字で書くと「輪紋海豹」その名の通り、背中側は灰色の地に灰褐色~黒色の斑紋がある。斑紋は明灰色が縁取りされ、この点は[[ゴマフアザラシ]]の模様と異なる。腹側には模様は不明瞭で明灰色である。別名のフイリアザラシは「斑入り」からである


==生態==
==生態==
*主要な生息域は安定した厚い氷のある沿岸域であるが、流氷域にも見られる。海氷や餌の季節変化とともにかなりの距離を移動する。
主要な生息域は安定した厚い氷のある沿岸域であるが、流氷域にも見られる。海氷や餌の季節変化とともにかなりの距離を移動する。寿命は30年以上に達するものが記録されている。[[端脚類]]や[[オキアミ]]などの大型動物[[プランクトン]]や小型魚類を捕食する。

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*端脚類やオキアミなどの大型動物プランクトンや小型魚類を捕食する。


天敵は[[ホッキョクグマ]]、[[ホッキョクギツネ]]、[[シャチ]]、[[セイウチ]]など。ホッキョックギツネによる幼獣の捕食率は58%と言われている。
===成熟と繁殖===
性成熟年齢はメスで4-6歳、オスで5-7歳。日本産の亜種は流氷上で出産する。繁殖は一夫一妻形式で純白の産毛に包まれた一子を産む。[[ゴマフアザラシ]][[クラカケアザラシ]]と同様に流氷上で出産するので新生児は純白の産毛に包まれ産まれてくる。


==保全状態評価==
==人間との関係==
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*オホーツク海ではもっとも個体数の多いアザラシで20世紀のはじめの生息頭数は111万頭と推定されていた。その後、旧ソ連が積極的に捕獲した結果、減少した。1980年代初頭のオホーツク海の推定数は54万頭である。
オホーツク海ではもっとも個体数の多いアザラシで20世紀のはじめの生息頭数は111万頭と推定されていた。その後、旧ソ連が積極的に捕獲した結果、減少した。1980年代初頭のオホーツク海の推定数は54万頭である。





2009年1月24日 (土) 10:57時点における版

ワモンアザラシ
保全状況評価
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: ネコ目(食肉目) Carnivora
亜目 : アシカ亜目(鰭脚亜目) Pinnipedia
: アザラシ科 Phocidae
: ゴマフアザラシ属 Phoca
: ワモンアザラシ P. hispida
学名
Phoca hispida
(Schreber, 1775)
和名
ワモンアザラシ
フイリアザラシ
英名
Ringed Seal

ワモンアザラシ(輪紋海豹、学名:Phoca hispida)はネコ目アザラシ科ゴマフアザラシ属に属する海棲ほ乳類。最も小型のアザラシ。別名フイリアザラシ


分布

北半球の北部に広く分布する小型のアザラシ。生息地により6亜種に分けられる。うち2亜種は陸封型。日本では北海道の日本海側からオホーツク海側に分布する。

全個体数は600-700万頭。アザラシの中ではカニクイアザラシに次ぐ2番目に個体数が多い種である。オホーツク海に50万頭ほどが生息している。


形態

最も小さいアザラシで中でも日本近海の亜種のワモンアザラシは特に小さい。日本近海のワモンアザラシの体長はオス130cm・メス120cm。体重は50kg程度になる。他のアザラシに比べ、頭蓋骨は骨壁が薄く吻部が短く、眼窩間の幅が非常に狭い。

ワモンアザラシは漢字で書くと「輪紋海豹」その名の通り、背中側は灰色の地に灰褐色~黒色の斑紋がある。斑紋は明灰色が縁取りされ、この点はゴマフアザラシの模様と異なる。腹側には模様は不明瞭で明灰色である。別名のフイリアザラシは「斑入り」からである。

生態

主要な生息域は安定した厚い氷のある沿岸域であるが、流氷域にも見られる。海氷や餌の季節変化とともにかなりの距離を移動する。寿命は30年以上に達するものが記録されている。端脚類オキアミなどの大型動物プランクトンや小型魚類を捕食する。

天敵はホッキョクグマホッキョクギツネシャチセイウチなど。ホッキョックギツネによる幼獣の捕食率は58%と言われている。

成熟と繁殖

性成熟年齢はメスで4-6歳、オスで5-7歳。日本産の亜種は流氷上で出産する。繁殖は一夫一妻形式で純白の産毛に包まれた一子を産む。ゴマフアザラシクラカケアザラシと同様に流氷上で出産するので、新生児は純白の産毛に包まれ産まれてくる。

保全状態評価

オホーツク海ではもっとも個体数の多いアザラシで20世紀のはじめの生息頭数は111万頭と推定されていた。その後、旧ソ連が積極的に捕獲した結果、減少した。1980年代初頭のオホーツク海の推定数は54万頭である。


日本で見られる施設

参考文献

  • Ronald M. Nowak " Walker's Mammals of the World (Walker's Mammals of the World)" Baltimore : Johns Hopkins University Press (1999). ISBN 0801857899
  • 和田一雄・伊藤徹魯 『鰭脚類 : アシカ・アザラシの自然史』東京 : 東京大学出版会 、1999年、284頁。 ISBN 4130601733
  • 和田一雄編著 『海のけもの達の物語 : オットセイ・トド・アザラシ・ラッコ』東京 : 成山堂書店、2004年 172頁。 ISBN 4425981316
  • 斜里町立知床博物館編 『知床のほ乳類』斜里町 : 斜里町教育委員会、 2000年。 ISBN 4894530813