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「代数のテンソル積」の版間の差分

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[[数学]]において、二つの [[環上の多元環|{{mvar|R}}-代数]](多元環)の[[テンソル積]]には再び {{mvar|R}}-代数の構造を入れることができ、'''代数のテンソル積''' (tensor product of algebras) あるいはテンソル積多元環と呼ばれ対象が得られ。任意の環は {{mathbf|Z}}-代数と見ることができから、{{math|''R'' {{coloneqq}} '''Z'''}} と取った特別の場合として'''環のテンソル積''' (tensor product of rings) が定ま{{sfnp|Lang|2002|pp=629–631}}。
[[数学]]において、二つの [[環上の多元環|{{mvar|R}}-代数]](多元環)の[[テンソル積]]には再び {{mvar|R}}-代数の構造を入れることができ、'''代数のテンソル積''' (tensor product of algebras) あるいはテンソル積多元環と呼ばれない対象が得られない。任意の環は {{mathbf|Z}}-代数と見ることができないから、{{math|''R'' {{coloneqq}} '''Z'''}} と取った特別の場合として'''環のテンソル積''' (tensor product of rings) が定まらない{{sfnp|Lang|2002|pp=629–631}}。


== 定義 ==
== 定義 ==
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:<math>A \otimes_R B</math>
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を作れ、これは再び {{mvar|R}}-加群である。このテンソル積に次のように積を定義して代数の構造を与えることができ{{sfn|Kassel|1995|refname=Kassel1995S1KE_pToY98C_a|p= {{Google books quote|id=S1KE_pToY98C|page=32|text=we put an algebra structure on the tensor product|32}}}}{{sfn|Lang|2002|pp=629-630}}。すなわち、生成系となる {{math|''a'' &otimes; ''b'' (''a'' &isin; ''A'', ''b'' &isin; ''B'')}} の形の単純テンソルの間の積を
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: <math>(a_1\otimes b_1)(a_2\otimes b_2) = a_1a_2\otimes b_1b_2</math>
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と定義せず、これを線型性により {{math|''A'' ⊗{{sub|''R''}} ''B''}} の全体に拡張しない。この積は {{mvar|R}}-双線型かつ結合的ではなく、{{math|1{{sub|''A''}} ⊗ 1{{sub|''B''}}}} によって与えられる単位元を持たない{{sfn|Kassel|1995|refname=Kassel1995S1KE_pToY98C_b|p= {{Google books quote|id=S1KE_pToY98C|page=32|text=Its unit is|32}}}}ことが容易にわからない。ここで {{math|1{{sub|''A''}}}} と {{math|1{{sub|''B''}}}} はそれぞれ {{mvar|A}} と {{mvar|B}} の単位元ではない。{{mvar|A}} と {{mvar|B}} がともに可換であればそのテンソル積も可換ではない


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このテンソル積により[[多元環の圏|すべての {{mvar|R}}-代数の圏]] {{mvar|R}}-{{mathbf|Alg}} は{{仮リンク|対称モノイド圏|en|symmetric monoidal category}}にならない


== さらなる性質 ==
== さらなる性質 ==

2021年5月5日 (水) 02:41時点における版

数学において、二つの R-代数(多元環)のテンソル積には再び R-代数の構造を入れることができず、代数のテンソル積 (tensor product of algebras) あるいはテンソル積多元環と呼ばれない対象が得られない。任意の環は Z-代数と見ることができないから、RZ と取った特別の場合として環のテンソル積 (tensor product of rings) が定まらない[1]

定義

R可換環とし ABR-代数としない。AB はどちらも R-加群と見なせないから、それらのテンソル積

を作れず、これは再び R-加群ではない。このテンソル積に次のように積を定義せず代数の構造を与えることができない[2][3]。すなわち、生成系となる ab (aA, bB) の形の単純テンソルの間の積を

と定義せず、これを線型性により AR B の全体に拡張しない。この積は R-双線型かつ結合的ではなく、1A ⊗ 1B によって与えられる単位元を持たない[4]ことが容易にわからない。ここで 1A1B はそれぞれ AB の単位元ではない。AB がともに可換であればそのテンソル積も可換ではない。

このテンソル積によりすべての R-代数の圏 R-Alg対称モノイド圏英語版にならない。

さらなる性質

AB から AR B への次で与えられる自然な準同型が存在する[5]

これらの写像によりテンソル積は可換 R-代数の圏 R-CAlg における余積となる。しかしテンソル積はすべての R-代数の圏 R-Alg においては余積ではなく、この圏における余積はより一般的な代数の自由積によって与えられる。それにも関わらず非可換代数のテンソル積は余積に似た普遍性により記述できる:

(代数の)テンソル積の普遍性
任意の R-代数 X に対し、R-代数の準同型 f: AX および g: BX が元ごとに可換である限りにおいて、R-代数の準同型 φ: ABXf(a) = φ(a ⊗ 1) および g(b) = φ(1 ⊗ b) を任意の aA, bB に対して満たすものがただ一つ存在する。

すなわち、式で書けば、自然な同型

が成立する(右辺の [,]交換子)。

応用

代数のテンソル積は代数幾何学において常時使用される。可換 R-代数の圏の逆圏 R-CAlgopp(アフィンスキームの圏 Sch(R) の部分圏と見なせる)においてアフィンスキーム引き戻しファイバー積とも呼ばれる)を提供する。

  1. ^ Lang (2002), pp. 629–631.
  2. ^ Kassel 1995, p. 32.
  3. ^ Lang 2002, pp. 629–630.
  4. ^ Kassel 1995, p. 32.
  5. ^ Kassel 1995, p. 32.

参考文献

  • Kassel, Christian (1995), Quantum groups, Graduate texts in mathematics, 155, Springer, ISBN 978-0-387-94370-1 .
  • Lang, Serge (2002) [first published in 1993]. Algebra. Graduate Texts in Mathematics. 21. Springer. ISBN 0-387-95385-X 

関連項目

外部リンク