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「リュウケツジュ」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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{{生物分類表
{{生物分類表
|名称 = リュウケツジュ
|名称 = リュウケツジュ / 竜血樹
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|和名 = リュウケツジュ(血樹)
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{{生物分類表
'''リュウケツジュ'''(血樹)は、[[リュウゼツラン科]][[ドラセナ属]](リュウゼツラン属)の1種の常緑高木。
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'''リュウケツジュ'''('''竜血樹''')は、[[リュウゼツラン科]][[ドラセナ属]](リュウゼツラン属)に属する常緑高木。


==語釈==
[[カナリア諸島]]、[[ソコトラ島]]など、[[北アフリカ]][[半乾燥帯]]の[[島嶼]]および沿岸に分布する。
この語が具体的に指すところについては、いくつか狭義・広義の用法がある。
#最も狭義の用法は、[[マカロネシア]]各地に産する '''Dracaena draco''' に対する和名としてこの名を使うものである。
#やや広い定義は、「'''[[竜血]]の採れる木'''」というものである。 この場合は、歴史的な実績から、上記 Dracaena draco、およびインド洋・[[ソコトラ島]]特産の '''Dracaena cinnabari''' の2種が主要な種である。さらに、全く別系統の植物が含まれる場合もある。詳細は[[竜血]]を参照。
#さらに広義の用法としては、'''Dracaena 属の種のうちで高木化するものの総称'''として言う場合があり得る。 この場合には arborea, americana, ombet, reflexa, auwahiensis などさらにいくつかの種が含まれことになると思われる。


本項では第一に Dracaena draco の日本語版項目とし、あわせて関連種・近縁種として Dracaena cinnabari について解説する。
樹高は10~20メートルに達する。樹齢は最高で数千年に及ぶ。幹の上端が多くの枝に分布し、剣状の葉を密生させ、広い[[樹冠]]を形成する。生息地は[[霧]]が多く、葉に付いた霧が下に落ちることで、半乾燥地で水分を得る。
その他の種については[[ドラセナ属]]を参照のこと。
{{gallery
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|File:Dracaena draco.jpg|Dracaena draco<br/>[[カナリア諸島]]・[[テネリフェ島]]の巨木。
|ファイル:Socotra dragon tree.JPG|Dracaena cinnabari<br/>[[ソコトラ島]]特産。
|File:Ombet1.jpg|D. Ombet<br/>エジプトほか紅海周辺
|File:Dracaena reflexa.JPG|D. reflexa<br/>マダガスカル、インド洋各地
|File:Starr 030222-0016 Pleomele auwahiensis.jpg|D. auwahiensis<br/>ハワイ産
<!--|File:J. Bosch The Garden of Earthly Delights (detail 1).jpg|[[ボッシュ]]の絵に描かれた竜血樹-->
}}


==Dracaena draco と Dracaeba cinnabari ==
[[天然樹脂|樹脂]]は赤褐色で、'''シナバル'''、'''龍血'''、'''麒麟血'''、'''ドラゴンズブラッド'''という。[[抗炎症剤]]・[[止血剤]]・[[塗料]]などに使われる。
片や大西洋、片やインド洋とアフリカ大陸を隔てて分布する両種であるが、“竜血”を分泌する点をはじめ共通点も多い。


どちらも、ドラセナ属の中でもとくに大型化の目立つ種であり、樹高は10~20メートルに達する。
{{Plant-stub}}
また、地表に近いところでは枝分かれせず、地上数メートル以上のところで多数に分かれ、枝の密集した[[樹冠]]を形成する点も似ている。
全体のシルエットを見ると、D. draco はブロッコリーのような、D. cinnabari はキノコのような、特徴的な姿をしている。
枝先には剣状の葉が密生する。


成長は非常に遅い。樹齢は数百年から千年以上に及ぶものもあるという。
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===Dracaena draco===
[[マカロネシア]]各地([[カーボベルデ]]、[[カナリア諸島]]、[[マデイラ諸島]]、[[アゾレス諸島]]など)および[[モロッコ]]の一部に産する。
属名 Dracaena はラテン語で「雌竜」の意味で、“竜血”にちなんだもの。重ねて種小名 draco は「竜」の意味である。

===Dracaena cinnabari===
インド洋の西端、[[紅海]]の入り口付近に浮かぶ[[ソコトラ島]]の固有種。
この種から採れる赤い樹脂=“竜血”は古代から地中海世界にもよく知られ、同島の重要な輸出品であった。

D. draco よりもさらに乾燥した気候に適応している。5
ソコトラ島はほとんど雨が降らないが、朝には霧が発生し、密生した葉に結露が生じる。その水を滴下させ、根から吸収して育つという。

種小名 cinnabari は「竜血の」の意。

==関連項目==
*[[竜血]]

==外部リンク==
*[http://picasaweb.google.com/lh/view?q=socotra+dragon+blood+tree&psc=G D. cinnabari の画像] ([http://picasaweb.google.com Picasa])

==脚注==
{{reflist}}

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{{Commonscat|Dracaena draco}}
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{{DEFAULTSORT:りゆうけつしゆ}}
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[[Category:リュウゼツラン科]]
[[Category:リュウゼツラン科]]

2009年8月6日 (木) 18:19時点における版

リュウケツジュ / 竜血樹
保全状況評価
VULNERABLE
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
IUCN 2.3
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 単子葉植物綱 Liliopsida
: ユリ目 Liliales
: リュウゼツラン科 Agavaceae
: ドラセナ属 Dracaena
: リュウケツジュ D. draco
学名
Dracaena draco L.
和名
リュウケツジュ(竜血樹)
英名
Canary Islands dragon tree
dagon’s blood tree
竜血樹
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 単子葉植物綱 Liliopsida
: ユリ目 Liliales
: リュウゼツラン科 Agavaceae
: ドラセナ属 Dracaena
: D. cinnabari
学名
Dracaena cinnabari Balf.f.
英名
Socotra dragon tree
dagon’s blood tree

リュウケツジュ竜血樹)は、リュウゼツラン科ドラセナ属(リュウゼツラン属)に属する常緑高木。

語釈

この語が具体的に指すところについては、いくつか狭義・広義の用法がある。

  1. 最も狭義の用法は、マカロネシア各地に産する Dracaena draco に対する和名としてこの名を使うものである。
  2. やや広い定義は、「竜血の採れる木」というものである。 この場合は、歴史的な実績から、上記 Dracaena draco、およびインド洋・ソコトラ島特産の Dracaena cinnabari の2種が主要な種である。さらに、全く別系統の植物が含まれる場合もある。詳細は竜血を参照。
  3. さらに広義の用法としては、Dracaena 属の種のうちで高木化するものの総称として言う場合があり得る。 この場合には arborea, americana, ombet, reflexa, auwahiensis などさらにいくつかの種が含まれことになると思われる。

本項では第一に Dracaena draco の日本語版項目とし、あわせて関連種・近縁種として Dracaena cinnabari について解説する。 その他の種についてはドラセナ属を参照のこと。

Dracaena draco と Dracaeba cinnabari

片や大西洋、片やインド洋とアフリカ大陸を隔てて分布する両種であるが、“竜血”を分泌する点をはじめ共通点も多い。

どちらも、ドラセナ属の中でもとくに大型化の目立つ種であり、樹高は10~20メートルに達する。 また、地表に近いところでは枝分かれせず、地上数メートル以上のところで多数に分かれ、枝の密集した樹冠を形成する点も似ている。 全体のシルエットを見ると、D. draco はブロッコリーのような、D. cinnabari はキノコのような、特徴的な姿をしている。 枝先には剣状の葉が密生する。

成長は非常に遅い。樹齢は数百年から千年以上に及ぶものもあるという。

Dracaena draco

マカロネシア各地(カーボベルデカナリア諸島マデイラ諸島アゾレス諸島など)およびモロッコの一部に産する。 属名 Dracaena はラテン語で「雌竜」の意味で、“竜血”にちなんだもの。重ねて種小名 draco は「竜」の意味である。

Dracaena cinnabari

インド洋の西端、紅海の入り口付近に浮かぶソコトラ島の固有種。 この種から採れる赤い樹脂=“竜血”は古代から地中海世界にもよく知られ、同島の重要な輸出品であった。

D. draco よりもさらに乾燥した気候に適応している。5 ソコトラ島はほとんど雨が降らないが、朝には霧が発生し、密生した葉に結露が生じる。その水を滴下させ、根から吸収して育つという。

種小名 cinnabari は「竜血の」の意。

関連項目

外部リンク

脚注