熱く冷たいアリバイ

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熱く冷たいアリバイ
Blow Hot Blow Cold
著者 エラリー・クイーン
発行日 アメリカ合衆国の旗1964年
日本の旗2015年
発行元 アメリカ合衆国の旗pocket books
日本の旗原書房
ジャンル 推理小説
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
ウィキポータル 文学
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熱く冷たいアリバイ』(あつくつめたいアリバイ、Blow Hot Blow Cold )は、1964年に刊行されたエラリー・クイーン推理小説

クイーン名義だが、実際にはミステリ作家のフレッチャー・フローラが執筆した作品である。

主な登場人物[編集]

  • ナンシー・パウエル - 本作の主人公で物語の多くは彼女視点で進む。土曜日は酒を飲みながら夫の帰りを待つ。ショートパンツ姿でおへそや太ももを露出させる格好が好き。好奇心の強いジントニック飲み。
  • デイビッド・パウエル - ナンシーの夫で高校の国語(英語)教師。落ちこぼれに土曜特訓授業をしている。血の巡りが悪い馬鹿どもに手を焼く日曜ゴルファー
  • ジョン(ジャック)・リッチモンド - 主人公夫妻の近所に住む医師。彼らより一回り上だが親しくしている。バーベキューに主人公たちを招待した。料理を焼くのを仕切り、他人には任せない。診療鞄に秘密がいっぱいのハンサム金持ち。
  • ヴェラ・リッチモンド - ジョンの妻。美脚が自慢で、自分以外の同性のきれいなも好き。ナンシーの脚を褒める。心の広い聞き上手。
  • ラリー・コナー - 同じく近所の住人で会計士。ライラの四人目の夫。寝取られ男。
  • ライラ・コナー - ラリーの妻。体を小麦色に焼いた開放的な女性で、自宅の庭での日光浴が日課。悩殺の妖魔。
  • スタンレイ・ウォルターズ - 同じく近所の住人で自営の小売店主。全米フランチャイズ販売チェーンの雇われ店長だったが解雇されてしまい、現在は自分で大衆靴の安売り店を開業している。不格好な道化。
  • メイ・ウォルターズ - スタンレイの妻。夫が店を出すのに資金援助や金策で尽力した。がみがみ女房。
  • ルース・ベントン - ラリーの会計事務所の秘書。上司に首ったけ。
  • ベイヤー - 会計事務所のビル持ち主。
  • アグネス・モロー - ジャックの病院の看護婦。倫理観の強いオールドミス。
  • ジェイク・キンブル - 夜間警備員。足は悪いが観察眼の鋭い毒舌じいさん。
  • ルイス・シェリル - ナイトクラブの経営者。女も顔負けのゴシップ好き。
  • オーガスタ・マスターズ - 州警察の警部補。うだつの上がらない太っちょだがやり手の刑事。

内容[編集]

  • エラリー・クイーンのペーパーバック描き下ろし[1]作品の一つ。著者のフレッチャー・フローラはミステリ作家として、日本でハードボイルド系のミステリ作品が翻訳されているほか、風俗小説やレズビアン小説でも知られているという[2]
  • 登場人物一覧の紹介が本家クイーンの『チャイナ橙の謎』に倣い、皮肉たっぷりの内容になっている[3]
  • 原題の『Blow Hot Blow Cold』は「意見や感情をころころ変える」という元の意味[4]に加え「温めたり冷やしたり」の死亡時間トリックのダブル・ミーニング。

物語[編集]

近所4組の夫婦によるバーベキューパーティー。終了後、主人公の女性が隣家に様子を見に行くと、妻が殺され熱帯夜なのにエアコンが切ってあった。通報された警察が夫である会計士の行方を捜すと、夫が別の場所にある事務所で自殺していた。事件を担当する刑事は自殺偽装を疑い、バーベキュー主催者の医師を容疑者として追及するが、彼にはパーティー終了後に急患の呼び出しで病院で手術をしていた事が判明。鉄壁のアリバイは崩せるか。

提示される謎[編集]

  • ホエン・ダニット(二つの事件はどちらが先に発生したか)

脚注[編集]

  1. ^ クイーンの『ローマ帽子の謎』に始まる作品群はハードカバーで発売
  2. ^ 「熱く冷たいアリバイ」(原書房)飯城勇三・解説
  3. ^ 『エラリー・クイーンの世界』フランシス・M・ネヴィンズJr.(1974年)など
  4. ^ イソップ寓話「男とサキュロス」より

関連項目[編集]