洪水の前 (ミュージカル)

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洪水の前(こうずいのまえ)は、矢代静一藤田敏雄作、いずみたく作曲のミュージカル。1980年初演。和製ミュージカルのさきがけの一つと言われる。

初演キャスト[編集]

梗概[編集]

クリストファー・イシャウッドの小説『さらばベルリン』の一部を、ヴァン=ドルーテンが劇化した「わたしはカメラ」をもとにミュージカル「キャバレー」が作られたが、それを翻案したものである。

あらすじ[編集]

満州事変後の騒然たる大連の港に、売れない作家・日暮が降りたつ。日暮はバー・ペロケで、謎の美女・徳大寺茉莉と知り合い「朋友」となる。日暮の友人となった安東は、満洲人財閥の娘・張宝蘭の家庭教師となるが、宝蘭に惚れてしまい、日暮に打ち明けて苦しむ。茉莉と知り合った満鉄の一丸竜斎は、一緒にアメリカへ行かないかと誘い、日本軍の栄光を称える。日本の支配に怒った満洲人の暴動が起こり、宝蘭の屋敷も協力者として襲撃される。安東は、自分が満洲人だと打ち明け、宝蘭と愛を確かめあい、逃亡する。日暮はさまざまな思い出を胸に帰国の途につく[1]

新宿・シアターアプルで上演されたものが、1982年にNHKで放送された。その後も別キャストで再演されている。

脚注[編集]

  1. ^ 「劇談: 現代演劇の潮流」扇田昭彦 2001