水平思考

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水平思考(すいへいしこう、英:Lateral thinking)は、問題解決のために既成の理論や概念にとらわれずアイデアを生み出す方法である。エドワード・デ・ボノ英語版が1967年頃に提唱した。

概要[編集]

デ・ボノは従来の論理的思考や分析的思考を垂直思考(Vertical thinking)として、論理を深めるには有効である一方で、斬新な発想は生まれにくいとしている。これに対して水平思考は多様な視点から物事を見ることで直感的な発想を生み出す方法である。垂直思考を既に掘られている穴を奥へ掘り進めるのに例えるのなら、水平思考は新しく穴を掘り始めるのに相当する[1]

垂直思考と水平思考の違いを次の問題を通して説明する[2]

問:グラスAとグラスBにそれぞれ同じ量のワインと水が入っているものとする。まずグラスAからスプーン1杯分の液体を取り出し、グラスBに混ぜる。それからグラスBからスプーン1杯分の液体を取り出しグラスAに混ぜる。この作業をさらにもう1度行った後、グラスAの中の水の量と、グラスBの中のワインの量ではどちらが多くなるか。

垂直思考ではグラスAの中の水の量とグラスBの中のワインの量をそれぞれ具体的に求めるため、最初のワインおよび水の量とスプーンで運ばれる液体の量をそれぞれL,xとおき、さらに水やワインの濃度を考えるなど、複雑な計算が必要となる。しかし水平思考では量を求めるという考えにとらわれず、「ワインと水の量の合計は操作の前後で変わらない」ということに着目することで「同じ」という結論に容易に達することができる。

水平思考の発想法[編集]

水平思考での発想例としていくつかを挙げる。

ランダム発想法
物事を無作為に選び(あるいは辞書を引き無作為に名詞を選んでもよい)、興味分野と関連付けて発想を広げるというものである。
例えばあなたがWebサイトの充実を考えているものとする。部屋の中を見回し、ファックスが目に付いたとする。ファックスは電話回線を通じて画像を送り、紙に転写する。ファックス専用機は今や利用が激減し、利用者はファックス専用の電話番号を持つことはなく、通常の電話番号に直接ファックスを送るようになった。これをヒントにWebサイトのコンテンツをeメールや他のWebサイトに埋め込む方法が見出せるかもしれない。
刺激的発想法
ある物事に対して、こうであったらいいとの希望、ある部分を誇張してみたらどうなるか、あるいは逆にしてみたら、なくしてみたら、何かと一緒にしてみたらなどの一覧を作り、その中で最も突飛なものを選び新しいアイデアの元にする方法である。
挑戦的発想法
ある物事に対してそれがなぜ存在するのか、あるいは何のためにそうなっているのかを考えることで、新しいアイデアを生み出す方法である。
例えばコーヒーカップの取っ手がなぜあるかを考えてみる。その結果、取っ手がないと熱くて持てないからであろうと考えたとする。ならばコーヒーカップに取っ手を付ける代わりに熱が伝わらない指部分の持ち手や、ビアホルダーのように分離できる持ち手を付けてもいいのではないかという新しいアイデアの源になる。
概念拡散発想法
ある概念を他の事物に広く応用できないかと検討してアイデアを生み出す。
反証的発想法
広く支持されている考えは間違いであると考え、明らかで言うまでもないと考えられていることに疑問を呈し、説得力のある反証を試みることでアイデアを生み出す。

出典・参考文献[編集]

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  1. ^ 酒井高男 (2001年7月4日). “遊びの効用 (2) 垂直思考と水平思考” (日本語). 人とシステム. NTTデータエンジニアリングシステムズ. 2010年11月11日閲覧。
  2. ^ De BonoEdward 『水平思考の世界 - 電算機械時代の創造的思考法』 白井實訳、講談社ブルーバックス〉、1971年10月(原著1970年)(日本語)。ISBN 978-4061177802 De Bono, Edward (1970) (英語). Lateral thinking: creativity step by step. Harper & Row. ISBN 0-14-021978-1. http://books.google.com/books?id=H-ROAAAAMAAJ. 

関連項目[編集]

関連書籍[編集]

外部リンク[編集]