弦楽六重奏曲 (ドヴォルザーク)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

弦楽六重奏曲 イ長調 Op. 48B. 80)は、アントニーン・ドヴォルジャーク1870年代後半の室内楽曲。大部分が1878年5月に作曲された。ドヴォルジャークの最初に外国で演奏された作品である[1]

概略[編集]

1875年から1879年までの年代は、ドヴォルジャークの生涯において非常に重大な時期であった。オーストリア帝国政府より奨学金を得て、作曲のみに専心できるようになり、その責任感からドヴォルジャークは懸命になって多作をこなしていったのだった[2]。《弦楽六重奏曲イ長調》もまた、そのような創作活動の成果の一つだったのである。

ドイツの楽譜出版社フリッツ・ジムロックがこの作品を、演奏家で社外協力者のヨーゼフ・ヨアヒムに提供したところ、ヨアヒムは知人の演奏家とともに、1879年7月19日に非公開演奏で本作を取り上げた。その場に作曲者自身も立ち会っており、その演奏に魅了されたという。翌日ドヴォルジャークは、友人のアロイス・ゲーブルに、「ヨアヒムは僕のことを待ち兼ねており、わざわざ僕のために夕べの演奏会まで開いてくれた。行事の合間に、彼らは僕の新作の四重奏曲と六重奏曲を演奏してくれた。深い理解力をもって情熱的に演奏してくれたんだ[3]」と書き送っている。

初版は1879年にベルリンのF.ジムロック社より刊行された。1957年には学術校訂版が出版されている[4]

楽器編成[編集]

楽曲構成[編集]

次の4楽章から成る。

  1. アレグロ・モデラート (Allegro moderato
  2. 「ドゥムカ」 ポコ・アレグレット(Dumka. Poco allegretto
  3. 「フリアント」プレスト (Furiant. Presto
  4. 「終曲。主題と変奏」アレグレット・グラツィオーソ・クヮジ・アンダンティーノ (Finale. Tema con variazioni. Allegretto grazioso, quasi andantino

本作は、《3つのスラヴ狂詩曲》作品45や、《スラヴ舞曲集》作品46と同時期の作品であり、それらと同様の作風を採っていることから、性格的に「スラヴ風」と呼びうる[5]。たとえば中間の2楽章は、様式化されたドゥムカと、部分的に民族調のフリアントである。

第1楽章はソナタ形式によっており、柔和で瞑想的な曲調の終楽章は、変奏曲に他ならない。

註釈[編集]

  1. ^ sleeve note of the Supraphon recording (11 1461-2 131)
  2. ^ sleeve note of the Supraphon recording (11 1461-2 131)
  3. ^ sleeve note of the Supraphon recording (11 1461-2 131)
  4. ^ Burghauser, p. 112
  5. ^ sleeve note of the Supraphon recording (11 1461-2 131)

参考文献[編集]

  • Jarmil Burghauser: Antonín Dvořák. Prague: Koniasch Latin Press, 2006. ISBN 80-86791-26-2

外部リンク[編集]