巨人たちの星

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巨人たちの星』(きょじんたちのほし、原題:Giants' Star)は、ジェイムズ・P・ホーガンによるSF小説。『星を継ぐもの』『ガニメデの優しい巨人』の続編にあたる。

あらすじ[編集]

プロローグ
(前作『ガニメデの優しい巨人』にて)わずかな根拠を頼りに太陽系を離れ、同胞が移り住んだと思われる巨人の星へ向かうガニメアン一行と彼らを乗せる宇宙船シャピアロン号は突然時空の歪に落ち込んだ。為す術もなく彷徨うシャピアロン号はやがて通常空間に復帰するが……そこは、目的地の巨人の星だった。
一方、巨人の星の実在が確認され、シャピアロン号への連絡こそ適わなかったかったものの、せめてその到着に先立って知らせるべく、シャピアロン号の太陽系への帰還、地球来訪と、移住先への出発の情報を電波に載せて凡そ20光年彼方の巨人の星へ向けて放った人類は、直後に思わぬ信号を受け取る。それは巨人の星からの返信であり、地球の通信フォーマットに則り、しかも英語で記述されていた。
序盤
どうやら人類は遥か昔から彼らに監視されて居たらしい。だが、交渉を重ねて行くにつれ彼らが人類に抱く不信感が露わになり、一方で人類を代表して交渉に臨む国連の動きも何故か鈍く、加えて不信感を解く努力もせぬままで、なんら進展をみせない。これに業を煮やすハントダンチェッカーらは、極寒のアラスカの人里離れた基地に赴くように要請される。
指定された基地で待つ彼らの前に舞い降りて来たのは、巨人の星から送り込まれてきた、超光速通信を介して遠隔地をリアルタイムに結ぶ「知覚伝送装置パーセプトロンの端末」であった。これを利用することで、巨人の星との間に極秘裏にホットラインが開設され、ハントらは、ガニメアンの子孫で今は巨人の星ことテュリオスに住む種族テューリアンの代表者カラザーとの対面と、後にシャピアロン号のガニメアンの面々との再会を果たす。
中盤
ハントらは推論によって第三の勢力、即ち、地球人類とはまた別の人類集団の存在を指摘し、カラザーはそれが真実であると認めた。彼らはかつてのミネルバを2分して対立した一方の勢力、ランビアの子孫であり、今は惑星ジェヴレンに住むジェヴレン人となって、同じ人類として長らく地球の監視にあたり、ミネルバ崩壊後に太陽系に残留し地球に帰還したもう一方の勢力、セリオスのその後の様子をテューリアンに報告していた。だが、地球から直接届いた通信内容をうけて、ジェヴレン人からの報告に不審な点が見受けられたことからホットラインの開設に至ったのだという。
また、地球の歴史においても「ジェヴレン人の関与」が明らかになった。その人数こそ限られたものだが、地球に潜入したジェヴレン人たちは、宗教を使って人類を惑わしたり、迷信を教え込んで合理的思考を奪ったり、あるいは資本を独占して富を収奪して人類を貧困に陥れ、また科学技術の発達を妨げる[1]一方で兵器の開発を促したり、人類の進歩をゆがめ自滅させる[2]方向に誘導すべく歴史を裏から支配していたという。
その背景には5万年前にミネルバでランビアと対立した、もう一方の勢力である「セリオスの子孫」である地球人類に対する昔年の恨みがあった。だが、その思惑は外れ、今は地球において平和運動を推進して「地球人類の武装解除」を進めて無防備にする一方で、テューリアンたちに対しては「地球人類の軍事化による危険の拡大」を吹聴し、これに対抗する名目で「高度な科学技術」を引き出していた事が明らかになった。
終盤
ジェヴレン人の最終目的は何か。そして、これまでの悪行が悟られたとなれば、彼らはその目的に向けて秘めていた企てを直ちに実行に移すかも知れない。既に彼らは、工業衛星アッタンで航宙艦を量産して戦力を充実させ、またテューリアンから引き出した高度な重力制御技術を応用した、究極の最終兵器の完成を急いでいる。対して巨人の星のカラザーらテューリアンは、生来争いを好まず戦いの備えはない。翻って地球人類は宇宙に飛び出して間もなく備えが全くない。
ハントら地球人と、シャピアロン号のガニメアンは、この逆境下にあっても、彼らジェヴレン人は戦略から日常の生活まであらゆる事柄をコンピュータ・ネットワークに依存していることを逆手にとり、反攻の秘策を捻り出して実行する。そして、その結末は地球人類とジェヴレン人の運命を輪廻に封じ込める。

日本語訳書[編集]

巨人たちの星シリーズ 東京創元社 創元SF文庫池央耿訳。カバー絵:加藤直之

漫画[編集]

星野之宣が『星を継ぐもの』のタイトルで『ガニメデの優しい巨人』『巨人たちの星』までを含めて漫画化している。

脚注[編集]

  1. ^ ユークリッドの技術水準からニュートンまでミネルバでは200年程度だったが、地球では2000年前後を要している。
  2. ^ 第二次世界大戦は、連合国、枢軸国の両方に核技術を与えて核戦争に至らしめて地球人を滅亡させる目論見だった。