合奏 (フェルメールの絵画)
オランダ語: Het concert 英語: The Concert | |
作者 | ヨハネス・フェルメール |
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製作年 | 1664年頃 |
種類 | 油彩、キャンバス |
寸法 | 72.5 cm × 64.7 cm (28.5 in × 25.5 in) |
所蔵 | イザベラ・スチュワート・ガードナー美術館(1990年に盗難以降所在不明) |
『合奏』(がっそう、蘭: Het concert、英: The Concert)は、オランダ黄金時代の画家ヨハネス・フェルメールが1664年頃に描いた絵画。
『合奏』には、座ってハープシコードを弾く若い女性、リュートを弾く男性、立って歌う女性の3人の人物が描かれている。ハープシコードは理想郷アルカディアの風景画で飾られている。画面左手前のテーブルの下には弦楽器が描かれ、音楽というこの作品の主題をより高める役割を果たしている。
背景の壁には2点の絵画がかけられている。右の絵画はフェルメールが『ヴァージナルの前に座る女』(1675年頃、ナショナル・ギャラリー(ロンドン)の背景にも描き入れている、ディルク・ファン・バビューレン作の娼館の情景を描いた『取り持ち女』で、これはフェルメールの義母マリア・ティンスが所有していた絵画だった[1](模写だという説もある)。左の絵画には田園の風景が描かれている。当時のオランダ絵画において音楽は性愛と関係付けられることがあり、背景に描かれた『取り持ち女』が性愛を象徴していると考えられている[1]。
来歴と盗難[編集]
1669年にアムステルダムで売りに出されたが、以降1780年までの所在は分かっていない[1]。その後、アメリカの慈善家で美術収集家のイザベラ・スチュワート・ガードナーが、1892年にパリで開催されたオークションで5,000ドルで落札、1903年に彼女がボストンに創設したイザベラ・スチュワート・ガードナー美術館に展示した。
しかし、1990年3月18日未明、ボストン市警の警察官を装った強盗2人組が美術館に押し入って警備員を拘束した上、本作のほかレンブラントの『ガリラヤの海の嵐』、『自画像』などの作品3点、ドガの素描5点、マネの『トルトニ亭にて』ほか中国の銅器など、計13点の所蔵品を窃盗した[2]。フェルメールの作品は1970年代以降たびたび盗難に遭ったが、本作のみ同時に盗難された他作品とともに行方不明のままとなっている[3]。『合奏』は盗難絵画としてはもっとも高額な作品とされ、その評価額は2億ドル超と見なされている[4]。
出典[編集]
- ^ a b c http://www.essentialvermeer.com/cat_about/concert.html
- ^ 1990 Boston art heist rattles investigators Archived 2014年9月25日, at the Wayback Machine. Cape Cod Times
- ^ http://www.gardnermuseum.org/collection/artwork/2nd_floor/dutch_room/the_concert
- ^ Stolen, a documentary about the theft of The Concert, from the PBS website.