右傾

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右傾(うけい)または右傾化(うけいか)とは、元々左翼中道的だったものが保守的、反共的国粋主義的になったり、元来から右翼的であったものが一層右翼的傾向を強めること。反意語は左傾[1]

概要[編集]

「右傾」の基準は一様ではなく、左の過激派である極左が穏健化しても、あるいは右の過激派である極右に転じても、いずれも右傾化と呼ばれることはありうる。また、他者の右傾化を批判した個人・団体が、同時に第三者から右傾化を批判されることもある。一例を挙げると、日本共産党社会民主党公明党などの右傾化を批判する一方、新左翼は共産党を右傾化していると批判するといった具合である。

また、左翼の右傾化(反共化)を特に指す用語として、「右転落」がある[2]。これは、明確に「転落」を批判する意味がある。

欧州では、不況により、労働者らが賃金の安い外国人労働者たちを敵視する傾向が高まり、外国人排斥などの右傾化につながっていると言われることがある[3][4]

日本[編集]

日本においては、マンガなどの政治的な教養・啓蒙書のヒット作が右翼的であるという事が若年層の右傾化が顕著な証拠として挙げられた[5]ほか、尖閣諸島をめぐる中華人民共和国との対立[6]や2012年の第2次安倍内閣発足[7][8]が日本が右傾化している兆候として挙げられることがある。

また、2010年代に入って以降は、小説「永遠の0」や「海賊とよばれた男」など、いわゆる「愛国エンタメ」がベストセラーになっていることが右傾化の証左として指摘されることもある[9]。ただ、産経新聞など保守系メディアでは「現状は左に寄っていたものを真ん中に持ってきているだけ」と捉える傾向が強く、あるいは、坂本龍一などの「今の日本のマジョリティーは投票に行かない人」[10]といった「政治的無関心層が社会の主流」といった意見もあり、また、そもそも何をもって社会が右傾化しているかというのは個人の主観、価値観によるところが大きいため、非常に難しい議論である。

2013年秋頃から韓国中国を非難する内容の本が売れ始め、専用のコーナーを設けた書店もある[11]

2014年2月9日に投票が行われた東京都知事選挙右翼と目されていた候補である[独自研究?]田母神俊雄は60万票あまりを獲得、30万票は固いという予想が関係者からあった中で、この結果は大善戦であるという見方もなされており、陣営幹部は「負けた気がしない。戦後日本の欺瞞、偽善にうんざりしている人たちがこれだけいる。新しい政治勢力の誕生だ」とした。田母神の立候補賛同人に名を連ねた古谷経衡は、「これまでネット空間で匿名の存在だった『ネット保守』『ネトウヨ』の実態は判然としなかった。しかし、今回の選挙は投票率が低く、実勢に近いネット保守の基礎票が明らかになったのではないか。新たな政治クラスターとして顕在化したと言える」としている[12]。ちなみに、田母神の応援演説には「永遠の0」作者である百田尚樹も駆けつけている[13]

脚注[編集]

  1. ^ うけい【右傾】の意味 - 国語辞書 - goo辞書
  2. ^ 日本共産党 『社会党の右転落と革新統一への展望』(1980年12月)など
  3. ^ 深まる世界同時不況、台頭する経済ナショナリズム 国際ニュース AFP
  4. ^ ヨーロッパに押し寄せる右翼ナショナリズムの波 人民新聞
  5. ^ 「マンガ嫌韓流」で思い起こすナチス台頭の顛末 JanJanニュース
  6. ^ “「日本は右傾化」戦後最も対決的と米紙”. MSN産経ニュース (産経新聞). (2012年9月22日). http://megalodon.jp/2012-0923-0138-12/sankei.jp.msn.com/world/news/120922/amr12092216230005-n1.htm 2013年8月1日閲覧。 
  7. ^ “アジア、安倍氏の外交・安保注視 右傾化警戒も”. 日本経済新聞 (日本経済新聞社). (2012年12月17日). http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM1700M_X11C12A2EB2000/ 2013年8月1日閲覧。 
  8. ^ “世迷言(2012年12月27日付)”. 東海新報. (2012年12月27日). http://www.tohkaishimpo.com/scripts/column.cgi 2013年8月1日閲覧。 
  9. ^ “読者の右傾化?不満の表れ?「愛国エンタメ小説」が人気”. 朝日新聞. (2013年6月19日). http://www.asahi.com/national/update/0617/TKY201306170494.html 2013年12月29日閲覧。 
  10. ^ “【坂本龍一×東京新聞】対談<下>心を開かせる 伝え方”. 東京新聞. (2013年12月26日). http://www.tokyo-np.co.jp/feature/sakamoto/list/131226_3.html 2013年12月29日閲覧。 
  11. ^ “売れるから「嫌中憎韓」 書店に専用棚/週刊誌、何度も扱う”. 朝日新聞. (2014年2月11日). http://digital.asahi.com/articles/DA3S10972937.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_DA3S10972937 2014年2月11日閲覧。 
  12. ^ “田母神氏、60万票の意味 「ネット保守」の支持”. 朝日新聞. (2014年2月11日). http://digital.asahi.com/articles/ASG2B4GFMG2BUTFK11C.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_ASG2B4GFMG2BUTFK11C 2014年2月11日閲覧。 
  13. ^ 特異な歴史観で田母神候補応援 百田氏の異常な言動とNHK経営委員の資格しんぶん赤旗 2014年2月5日

関連項目[編集]