参謀長委員会

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三軍軍章

参謀長委員会[1][2](Chiefs of Staff Committee、CSC)は、イギリス軍の最高幹部で構成され、軍事作戦関連の軍事問題、軍事作戦の準備及び実施に関する助言を提供する機関である。参謀総長委員会、参謀長会議、参謀総長会議などとも訳される。

国防全般を統括する国防参謀総長国防参謀次長、各軍を統括する第一海軍卿兼海軍参謀総長陸軍参謀総長空軍参謀総長などから構成される。

歴史[編集]

参謀長委員会は当初、1923年に帝国国防委員会英語版(CID)の小委員会として設立された。1939年に第二次世界大戦が勃発し、CIDが廃止されるまで、そのままの形で存続した。委員会の当初の構成は、三軍の専門的な責任者、第一海軍卿、陸軍参謀総長、空軍参謀総長であり、各軍の長が交代で委員長を務めた。

第二次世界大戦中、委員会は戦時内閣の小委員会であり、3人の軍務局長に加え、ヘイスティングス・イスメイ大将がセクレタリーを務めた。下部組織として、Joint Planning Staff、Joint Intelligence Committeeなども設置された。参謀長委員会は、戦時のイギリス軍全体の指揮に責任を負っていた。英米共同での決定が必要な場合、参謀長委員会の成員は連合参謀本部の一部を構成し、アメリカ統合参謀本部と合同で会議を行った。統合参謀本部はワシントンを拠点としていたため、殆どの期間、British Joint Staff Missionが代理で会議に出席していた。

ウィンストン・チャーチルと海陸空軍参謀総長
サー・トニー・レダキン海軍大将、第24代国防参謀総長

第二次世界大戦後、参謀長委員会は国防省に移管された。

1955年、政府は参謀長委員長(Chairman of the Chiefs of Staff Committee)の役職を設けることを決定した[3]。この役職は1956年1月1日に誕生し、唯一の現職はウィリアム・ディクソン英語版空軍元帥で、1959年1月1日に初代国防参謀総長に就任するまで務めた。ディクソン元帥は1959年1月1日に初代国防参謀総長に就任するまで務めた[4]。1964年、「Chief of the Imperial General Staff」が廃止され、「Chief of the General Staff」となった。ただし、前者と後者は共に陸軍参謀総長と訳される。以降のその他の主要な変更点として、参謀総長の補佐役として国防参謀次長英語版が任命されたことと、Joint Forces Command(後に戦略軍 Strategic Command)司令官が委員に加わったことが挙げられる。

上級下士官顧問(Senior Enlisted Advisor)[編集]

2018年11月1日から参謀長委員会上級下士官顧問英語版が任命され、その他階級の意見について委員会に助言を提供する[5]

成員[編集]

参謀長委員会[6]

役職 写真 氏名 任命 軍種 Command Flag
国防参謀総長
Chief of the Defence Staff (Chair)
サー・トニー・レダキン海軍大将
Admiral Sir Tony Radakin
2021年11月  イギリス海軍
国防参謀次長
Vice-Chief of the Defence Staff (Vice-Chair)
グウィン・ジェンキンス海兵大将
General Gwyn Jenkins
2022年8月  イギリス海兵隊
第一海軍卿兼海軍参謀総長
First Sea Lord and Chief of the Naval Staff
サー・ベン・キー海軍大将
Admiral Sir Ben Key
2021年11月  イギリス海軍
陸軍参謀総長
Chief of the General Staff
サー・パトリック・サンダース陸軍大将
General Sir Patrick Sanders
2022年6月  イギリス陸軍
空軍参謀総長
Chief of the Air Staff
リチャード・ナイトン空軍大将
Air Chief Marshal Sir Richard Knighton
2023年6月  イギリス空軍
戦略軍司令官
Commander, Strategic Command
サー・ジェームズ・ホッケンハル陸軍大将
General Sir James Hockenhull
2022年5月  イギリス陸軍

脚注[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]