三放世代

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三(/五/七)放世代
各種表記
ハングル 삼(/오/칠)포세대
漢字 三(/五/七)抛世代
日本語読み: さん(/ご/しち)ほうせだい
2000年式
MR式
英語
Sam(/O/Chil)po sedae
Sam(/O/Ch'il)p'o setae
Sam(/O/Chil)po generation
Three(/Five/Seven) giving-up generation
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三放世代朝鮮語:삼포세대(三抛世代))とは、2010年代以降の韓国における、恋愛結婚出産を放棄(抛棄)している若者世代のこと。韓国国内で増大する低賃金かつ不安定なワーキングプアの産物であるとみなされている。かつて「88万ウォン世代」と呼ばれていた階層の新たな呼称である。

概要[編集]

韓国では、漢江の奇跡と呼ばれた高度経済成長や民主化を経て、先進国の地位を獲得した。ところが、1997年のアジア通貨危機が発端となり、韓国の労働市場は非正規化が一気に進んだ。

その後も、歴代政権は低収入で不安定な若者たちの生活向上を約束してきたが、決してはうまくはいっていない状況であり、やがて韓国の若者たちは政治に期待することや努力も辞め、諦めてしまう人が増えた[1]

日本の「さとり世代」との類似を指摘する声もある[2]

人生は生まれた家庭の貧富によって決まってしまうという「金のさじ、土のさじ」(금수저, 흙수저)という新造語もできている[3]スプーン階級論

三放世代となった理由[編集]

ある調査によると、三放世代である理由として、最も多かったのが「貯蓄がないから」(53.5%)である。次に、「できるかぎりの貯蓄をしても足りない」(42.1%)、三番目に「実家が裕福ではない」(36.4%)、四番目に「就職が遅れた」(33.1%)、五番目に「収入が低い」(32.1%)、六番目が「多額の借金を抱えている」(16.8%)であった[4]

七放世代へと変化[編集]

韓国統計庁によると2015年の国内失業率のうち青年層(15〜29歳)の失業率は10.0%と際立って高くなった[5]。学生は大学を卒業したあと何年も就職活動を継続せざるをえず、職につけない若者たちは経済的に困窮していき「恋愛」「結婚」「出産」だけでなく「就職」「マイホーム」の5つを諦めざるを得なくなる「五放世代」、さらに「人間関係」「夢」の7つを諦めざるを得なくなる「七放世代」という表現も現れた[5]

世界的状況と政治に与える影響[編集]

この韓国の「三放世代」、日本の「パラサイト・シングル」(パラサイト中年)だけではなく、2010年代の今では、もはや世界中の多くの若者たちが自立して家庭を築けない状況になっていると言っても過言ではない。

アメリカ合衆国の「トウィックスター」や「カンガルー・ファミリー」(親の育児嚢に子供がいることから)、イタリアの「バンボッチョーネ」(「大きなおしゃぶり坊や」という意味)、ギリシャの「700ユーロ世代」、若者の失業率が最悪の状態であるスペインなど、枚挙にいとまがない。

こうした若年層の不満が、日本などの一部を除いた各国の左派政党の世界的な伸長に繋がっている。

脚注[編集]

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  1. ^ 빚지기 전에 알았더라면 좋았을 것들
  2. ^ 황민수 (2011). 연애,결혼,출산을 포기한 "삼포시대". 상원. ISBN 978-89-960618-4-7 
  3. ^ 豊浦潤一 「ヘル朝鮮」「金のさじ、土のさじ」……流行語から見えてくる韓国の超格差社会 読売新聞、2016年6月27日
  4. ^ 20~30대 10명중 4명 "나는 삼포세대"アジアエコノミー 2012年2月1日
  5. ^ a b 夢も仕事も恋愛も手が届かない 韓国「七放世代」の絶望 Yahoo!ニュース 2016年1月8日

関連項目[編集]

  • ヘル朝鮮 - 韓国社会の生きづらさを自嘲的に表すネットスラング