ヴォルガ地方

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ヴォルガ地方ロシア語: Поволжье, Povolzhye)は、ロシアヴォルガ川流域を指す歴史的な地方区分。沿ヴォルガ地方とも呼ばれる。

下記の3つの地域に区分される。

地理[編集]

アストラハン州のヴォルガ川デルタ

ほぼ全域が東ヨーロッパ平原に位置するが、ヴォルガ高地と呼ばれる西岸とザヴォルジエ(沿ヴォルガ地方)として知られる東岸では顕著な対照をなしている。このうち後者は、隆起した上ザヴォルジエと低地の下ザヴォルジエからなる。ヴォルガ川とウラル山脈のあいだに位置する6つの連邦共和国はイデル=ウラルとして知られるが、ヴォルガ川の本流は通っていないものの、ヴォルガ川流域の北西部にあたり、マラヤ・コクシャガ川など数多くの支流が通っていることから、ヴォルガ地方の一部と一般的にみなされている。

歴史[編集]

複数の資料によると、この地方には主にスラヴ人テュルク人ヴァイキングが定住してきた[1][2]。中世には、ルーシ・カガン国の興隆に重要な役割を果たした。ヴォルガ川は、東方世界とヴァイキング世界を往来する商人に主に利用された[3]

主な都市[編集]

ロシアの人口の大部分が集中しており、ヴォルガ川に直接面する主要都市だけでもヤロスラヴリコストロマニージニー・ノヴゴロドチェボクサルカザンウリヤノフスクトリヤッチサマーラサラトフヴォルゴグラードアストラハンなどがある。このほか、支流のオカ川沿いにはリャザンジェルジンスクカルーガオリョールが、スラ川沿いにペンザが、カマ川沿いにペルミナーベレジヌイェ・チェルヌイが、マラヤ・コクシャガ川沿いにヨシュカル・オラが、ボリショイ・チェレムシャン川沿いにディミトロフグラードがある。

首都モスクワも、オカ川の支流のモスクワ川沿いに位置する。キーロフはカマ川の支流ヴャトカ川ウファステルリタマクサラヴァトはカマ川の支流ベラヤ川沿いにある。

脚注[編集]

  1. ^ Collins, Roger (2010), “The Carolingian regime”, Early Medieval Europe 300–1000 (Macmillan Education UK): pp. 300–317, doi:10.1007/978-1-137-01428-3_17, ISBN 978-0-230-00673-7, http://dx.doi.org/10.1007/978-1-137-01428-3_17 2020年5月11日閲覧。 
  2. ^ Bukharaev, Ravilʹ. (2006). Tatarstan : a 'can-do' culture : President Mintimer Shaimiev and the power of common sense. Folkestone, UK: Global Oriental. pp. 186. ISBN 978-90-04-21355-5. OCLC 754773689. https://www.worldcat.org/oclc/754773689 
  3. ^ Langer, Lawrence N. (2010). Historical dictionary of medieval Russia. Scarecrow Press. pp. 185. ISBN 978-0-8108-6618-8. OCLC 1030397561. http://worldcat.org/oclc/1030397561 

関連項目[編集]