リヴァーソングの夫

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リヴァーソングの夫
The Husbands of River Song
ドクター・フー』のエピソード
監督ダグラス・マッキノン英語版
脚本スティーヴン・モファット
制作ニッキー・ウィルソン英語版
音楽マレイ・ゴールド
初放送日イギリスの旗 2015年12月25日
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リヴァーソングの夫」(リヴァーソングのおっと、原題: "The Husbands of River Song")は、2015年12月25日に初放送されたイギリスSFドラマドクター・フー』のエピソード。2005年に新シリーズが始動して以来11作目のクリスマススペシャルにあたる。脚本はスティーヴン・モファット、監督はダグラス・マッキノン英語版が担当した。

本作ではクララ・オズワルドと彼女に関する記憶を失った後の12代目ドクター(演:ピーター・カパルディ)と、彼の妻リヴァー・ソング(演:アレックス・キングストン)が再会する[1]。次話からドクターのコンパニオンとなるリヴァーの仲間ナードルも登場し、彼らはリヴァーの現夫ハイドロフラックス王(演:グレッグ・デイヴィス英語版)の頭に埋め込まれたダイヤモンドを奪取するという彼女の作戦に巻き込まれる。

連続性[編集]

リヴァーの仲間のラモーン(演:フィリップ・ライズ)は初代ドクターから11代目ドクターまでの歴代12人のドクターの顔写真を提示している。これは「天使の時間」(2010年)でどの時代のドクターか照合するために持っているとリヴァーが言及していたものである[2]。リヴァーは12代目ドクターをドクターとして認識していなかったが、これは The Deadly Assassin(1976年)で登場したタイムロードの再生回数上限に照らし合わせてのことである。ウォードクターへの再生(2013年「ドクター前夜」)とメタクライシスドクターへの再生(2008年「盗まれた地球」「旅の終わり」)があったため、11代目ドクターは既に上限である12回の再生をしていた[3]

フレミング(演:ローワン・ポロンスキー)はリヴァーの日記を開き、彼女とドクターの数々の冒険を読み上げている。具体的にはパンドリカの開放(2010年「パンドリカが開く」)、ビザンティウム号の墜落(2008年「静寂の図書館」で最初に言及され、2010年「肉体と石」で描写)、アスガルドでのピクニック(「静寂の図書館」で言及)、魚のジムとの遭遇(2011年「ドクターからの招待状」で言及)、マンハッタンと呼ばれる場所への旅(2013年「マンハッタン占領」)が挙げられる[4][5][6]

ドクターはリヴァーにどのクリスマスも最後のクリスマスだと告げている。これは「最後のクリスマス」(2014年)でダニー・ピンク英語版がクララに告げ、そしてクララがドクターに告げた台詞である[5][6]

リヴァーが自分以外の男と結婚していることにドクターが不平を口にした際、リヴァーはドクターが過去に他の女と結婚したことに触れている。それぞれエリザベス1世(2010年「時の終わり」で言及、2013年「ドクターの日」で描写)、マリリン・モンロー(2010年「クリスマス・キャロル」)、クレオパトラ(2011年「ドクター最後の日」)を指している[6]

ダリリアム星の歌う塔でのドクターとリヴァーの最後の出会いは元々「静寂の図書館」(2008年)で言及されており、本作で映像化に至った。ドクターは髪形を変えて別のスーツを着用し[注 1]、塔から音が奏でられている間に涙し[注 2]、これが彼女の死の前の最後の夜になることを告げようとしない[注 3][7][6]。また、リヴァーはダリリアム星に行こうとした時にいつもドクターに断られていたことに触れているが、その様子はミニエピソード "Last Night"(2011年)で描写されている[2]

ドクターはリヴァーのキャッチフレーズである "Hello, Sweetie" と "Spoilers" をいずれも口にしている[8][3]。リヴァーは最後に "I hate you." と告げ、ドクターは "No, you don't." と返す。これは「ドクターからの招待状」などでリヴァーと11代目ドクターが頻繁にしていたやり取りである[9][10]。また、リヴァーは11代目ドクターが愛用していた赤いフェズを持っている[9][3]

作品外への言及[編集]

ドクターは自分とリヴァーのタイムラインを辿るためにフローチャートが必要だと言い、リヴァーが別の男と結婚したと知った時には、さらに大きなフローチャートが要ると言う。これは映画『ジョーズ』の台詞 "You're gonna need a bigger boat"[3]と、ドクターとリヴァーのタイムラインを描写するために『ドクター・フー』のファンがフローチャートを作っていたことを反映している[3]

リヴァーの他の夫の1人としてドクターが挙げた人名には、俳優のスティーヴン・フライがいる[8][7][11]。スティーヴン・フライは第12シリーズ「スパイフォール」(2020年)に出演した[12][13]

製作[編集]

撮影[編集]

「リヴァーソングの夫」の台本の読み合わせは2015年8月31日に行われ、2015年9月1日から26日にかけて撮影が進行した[10]

配役[編集]

2015年9月にアレックス・キングストンリヴァー・ソング役で「ドクターの名前」(2013年)以来の出演を果たすことが告知された[1]。2015年11月にはグレッグ・デイヴィス英語版マット・ルーカスの出演が明かされた[14]

放送と反応[編集]

専門評論家によるレビュー
レビュー・スコア
出典評価
The A.V. Club英語版B[15]
ペースト8.2[16]
TV Fanatic4/5stars[17]
CultBox4/5stars[18]
IGN8.4[19]
PopMatters英語版7/10[20]
ニューヨーク・マガジン4/5stars[21]
ラジオ・タイムズ3/5stars[22]
SciFiNow英語版4/5stars[23]

イギリスでの視聴者数は769万人を記録し、その週のテレビ番組では第8位、クリスマスの日では第7位となった[24]。午後5時15分からのリアルタイムの視聴者数は577万人、番組視聴占拠率は29.4%を記録した[25]。Appreciation Index は82であった[26]

上映[編集]

「リヴァーソングの夫」はロシアウクライナベラルーシカザフスタンで2015年12月25日から2016年1月25日まで[27]、アメリカ合衆国で12月28日と29日に映画館で上映された。上映の際にはアレックス・キングストンへのインタビューと舞台裏の映像も公開された[28]

受賞[編集]

第42回サターン賞で、「リヴァーソングの夫」は最優秀テレビ賞を受賞した。同時にアレックス・キングストンも最優秀ゲストテレビ出演者賞にノミネートされた[29][30]

ホームメディア[編集]

「リヴァーソングの夫」は2016年1月25日にDVDとブルーレイディスクがリージョン2で[31]、2016年1月27日にリージョン4で[32]、2016年2月23日にリージョン1で発売された[33]。「リヴァーソングの夫」を収録した第9シリーズ完全版ボックスセットは2016年3月7日にリージョン2で、2016年4月5日にリージョン1で発売された[34][35]

注釈[編集]

  1. ^ "You turned up on my doorstep, with a new haircut and a suit."
  2. ^ "The towers sang and you cried."
  3. ^ "You wouldn't tell me why, but I suppose you knew it was time. My time."

出典[編集]

  1. ^ a b The Doctor and River Song Reunite For A Spectacular Christmas”. BBC. The Doctor Who Team (2015年9月2日). 2015年11月12日閲覧。
  2. ^ a b Rich Johnston (2015年12月25日). “Ten Thoughts About Doctor Who Christmas Special: The Husbands Of River Song (UPDATE)”. Bleeding Cool Comic Book, Movie, TV News. 2020年10月8日閲覧。
  3. ^ a b c d e Pete Dillon-Trenchard (2015年12月25日). “Doctor Who: geeky spots in The Husbands Of River Song”. デン・オブ・ギーク. 2020年10月8日閲覧。
  4. ^ The husbands of River Song new details”. Doctor Who TV (2015年12月9日). 2020年10月8日閲覧。
  5. ^ a b The husbands of River Song hints, teasers set 2”. Doctor Who TV (2015年12月24日). 2020年10月9日閲覧。
  6. ^ a b c d Pete Dillon-Trenchard (2015年12月25日). “Doctor Who geeky spots in The husbands of River Song”. デン・オブ・ギーク. 2020年10月8日閲覧。
  7. ^ a b Fraser Mcalpine. “Doctor Who: 10 things you may not know about The husbands of River Song”. BBCアメリカ. 2020年10月8日閲覧。
  8. ^ a b The Husbands of River Song: Hints & Teasers (Set #2)”. Doctor Who TV. 2020年10月8日閲覧。
  9. ^ a b The Husbands of River Song: Hints & Teasers (Set #1)”. Doctor Who TV (2015年12月23日). 2020年10月8日閲覧。
  10. ^ a b The Husbands of River Song: The Fact File”. The Husbands of River Song: The Fact File. 2015年12月25日閲覧。
  11. ^ Ree Hines (2015年12月25日). “'Doctor Who' Christmas Special Recap: 'Husbands Of River Song' Is Faithful To The Past And Perfect”. フォーブス. 2020年10月8日閲覧。
  12. ^ Stephen Fry and Sir Lenny Henry CBE star in Series 12”. BBC (2019年11月20日). 2020年10月8日閲覧。
  13. ^ 全世界で大ヒットの長寿SFシリーズ最新シーズン!―『ドクター・フー』シーズン12がHuluに登場”. CINEMA Life!. キャラフル (2020年5月26日). 2020年10月8日閲覧。
  14. ^ The 2015 Doctor Who Christmas Special”. BBC (2015年11月24日). 2020年10月8日閲覧。
  15. ^ Wilkins, Alasdair (2015年12月25日). “A deeply silly Doctor Who reunion takes an emotional turn”. The A.V. Club. 2018年11月5日閲覧。
  16. ^ Rozeman, Mark (2015年12月28日). “Doctor Who Review: "The Husbands of River Song"”. ペースト. 2020年10月9日閲覧。
  17. ^ Wiedel, Kathleen (2015年12月26日). “Doctor Who Christmas Special Review: The Husbands of River Song”. TV Fanatic. 2018年11月5日閲覧。
  18. ^ Smedley, Rob (2015年12月25日). “'Doctor Who' Christmas special review: 'The Husbands of River Song'”. CultBox. 2018年11月5日閲覧。
  19. ^ Collura, Scott (2015年12月25日). “Doctor Who: "The Husbands of River Song" Review”. IGN. 2018年11月5日閲覧。
  20. ^ Jones, Craig Owen (2015年12月31日). “Doctor Who Christmas Special: "The Husbands of River Song"”. PopMatters. 2018年11月5日閲覧。
  21. ^ Ruediger, Ross (2015年12月25日). “Doctor Who Recap: River Song is Coming to Town”. Vulture.com. 2018年11月5日閲覧。
  22. ^ Mulkern, Patrick (2015年12月25日). “Doctor Who Christmas special review: "With funnier escapades and sharper banter this could have been a classy screwball comedy"”. ラジオ・タイムズ. 2018年11月5日閲覧。
  23. ^ Write, Steve (2015年12月25日). “Doctor Who: The Husbands of River Song review”. SciFiNow. 2018年11月5日閲覧。
  24. ^ Marcus (2016年1月4日). “Christmas Official Ratings”. Doctor Who News. 2020年10月9日閲覧。
  25. ^ Kate Goodacre (2015年12月26日). “UK TV ratings: Downton Abbey bows out with 6.5m for Christmas Day grand finale”. Digital Spy. 2020年10月9日閲覧。
  26. ^ The Husbands of River Song – AI:82”. Doctor Who News (2015年12月27日). 2015年12月28日閲覧。
  27. ^ Doctor Who: The Husbands of River Song”. CoolConnections. 2018年10月14日閲覧。
  28. ^ Foster, Chuck (2015年11月11日). “Christmas Special to be shown in US Cinemas”. Doctor Who News. 2015年11月12日閲覧。
  29. ^ The Complete List Of Winners From The 42nd Annual Saturn Awards”. The Tracking Board (2016年6月23日). 2020年10月9日閲覧。
  30. ^ Academy of Science Fiction, Fantasy & Horror Films, USA”. インターネット・ムービー・データベース. Amazon.com. 2020年10月9日閲覧。
  31. ^ Doctor Who 2015 Christmas Special – The Husbands of River Song (DVD)”. BBC Shop. 2015年12月4日閲覧。
  32. ^ Doctor Who – Christmas Special 2015”. Sanity. 2015年11月12日閲覧。
  33. ^ Doctor Who – Release Date for '2015 Christmas Special' and 'The Complete 9th Series'”. TVShowsonDVD.com. 2015年12月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年12月12日閲覧。
  34. ^ 'Doctor Who' complete Season 9 box set release and extras announced ”. CultBox (2015年12月21日). 2015年12月21日閲覧。
  35. ^ Doctor Who – Release Date for '2015 Christmas Special' and 'The Complete 9th Series'”. TVShowsonDVD.com. 2015年12月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年12月12日閲覧。

外部リンク[編集]