ラピッドリダックス

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ラピッドリダックス
ラピッドリダックス(左)
欧字表記 Rapid Redux
品種 サラブレッド
性別
毛色 栗毛
生誕 2006年2月24日
Preasantly Perfect
Thiscatsforcaryl
母の父 Storm Cat
生国 アメリカ合衆国の旗アメリカ合衆国
生産者 Fortress Pacific Equine,LLC
馬主 K and G Stables (Hail)
→Hail,George and Lori
→Kevin J. Fields
→Robert L. Cole,Jr
調教師 Breen Kelly
→Geist David
→Breen Kelly
→Fields Kevin
→David J. Wells
競走成績
生涯成績 42戦28勝
獲得賞金 361,609ドル
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ラピッドリダックス (Rapid Redux) はアメリカ合衆国競走馬。大レースでの実績はないが、北アメリカの近代における連勝記録である22連勝を樹立し、2011年エクリプス賞特別賞を受賞した。

経歴[編集]

連勝前[編集]

2007年(1歳時)にStorm Leopardの幼名でキーンランドセプテンバーセールに出され、最初の馬主に85000ドルで落札される。デビュー前に去勢手術を施される。

デビューは2008年(2歳時)5月16日。2戦目で初勝利を挙げる。ステークスにも二度出走するが、ともに最下位に終わっている[注 1]。アローワンス競走でも結果を残せず、8戦目以降はクレーミング競走[注 2]のみに出走するようになる。当初はクレーミング価格40000ドルだった条件も、15戦目には5000ドルの価格で出走するまでになる。クレーミング価格での売却はなかったが、たびたび馬主や調教師が入れ替わっている。そして2010年(4歳時)10月13日に行われた18戦目のクレーミング競走で、ロバート・L・コール・ジュニアに6250ドルのクレーミング価格で購入され、デビッド・J・ウェルズ調教師に管理されることとなる。

連勝記録[編集]

コールに購入された後は、移籍後2戦目で8着と敗れたものの、12月2日の移籍後3戦目から、おもにスターターアローワンス競走(後述)に出走し、連勝を重ねていく。2011年(5歳時)10月27日に19連勝でゼニヤッタペッパーズプライドが打ち立てた近代北米連勝記録に並び、11月21日に20連勝で記録を更新した。12月13日の21連勝は年間19勝目となり、サイテーション、ローズベンの近代北米年間最多勝利と並んだ。その後年内にもう1戦出走してシーズン最多勝利の更新を狙ったが、コンディションが整わず断念した。

スターターアローワンス競走の出走資格は本来2011年まで有効であったため、2011年いっぱいで引退する予定で[1]、引退後の繋養先となる養老施設を探す動きもあった[2]。しかし2012年(6歳時)もこれまでと同一条件の競走が組まれたため現役を続行。1月4日のレースでは数日前に右前脚に外傷を負っていたが[3]22連勝を記録した。その後は蓄積された疲労と外傷を癒すため休養に入り[4]、同年5月に万全の状態で復帰させるのは難しいとして引退が発表された。引退後は引退馬の養老施設であるオールドフレンズで余生を過ごす[5][注 3]

連勝中は連闘に相当するレース間隔での出走を4度経験。最も長いレース間隔でも約1か月と、ほぼ休みなく出走を続けてきた。出走した競馬場は7場。騎手は8人に乗り替わっていて、連勝記録が見えてきた頃、ようやくJ.D.アコスタ騎手にほぼ固定されている。距離は当初5〜6ハロンの短距離中心だったが、のちにマイル前後を主戦場とする。連勝中は距離5〜9ハロンで勝ち星を挙げた。

スターターアローワンス競走[編集]

ラピッドリダックスの連勝で特筆すべきは、スターターアローワンス競走というレースを狙って出走している点にある。22連勝中に出走したレースのうち、18戦をスターターアローワンス競走が占めている。残る4戦はアローワンス競走が1戦、オプショナルクレーミング競走[注 4]が1戦、クレーミング競走が2戦である。

スターターアローワンス競走は出走条件が「過去に所定の価格に設定されたクレーミング競走に出走経験がある」という競走。ラピッドリダックスがおもに出走したスターターアローワンス競走は価格が5000ドル以下という下級条件であった。この条件は連勝前の15戦目のクレーミング競走への出走で満たしていた。出走経験は原則として出走した年とその翌年の2年に限られているため、2010年に条件を満たしたラピッドリダックスは本来は2011年までしか出走できなかった。

能力と評価[編集]

ウェルズ調教師はラピッドリダックスの長所について、「最低でも80%、ほとんどは100%の能力を発揮することができる」と評している[1]。一方で「この馬はステークスやアローワンスを勝てる馬ではない。人々は我々にそれらに挑戦するよう望むが、それに見合う能力には達していない」とし、下級条件のスターターアローワンス競走が適正であるとの見方を示している[8]。馬主のコールは「素晴らしく頑丈で安定性がある。そうでなければ13カ月にわたって勝ち続けることはできない」と称えている[8]

レーススタイルは逃げ。連勝はすべて逃げきりで、1戦を除いてスタート直後から先頭を譲らずの逃げきりである。残る1戦も序盤で先手を奪っての逃げきりであった。道中で先手を奪われながら巻き返して勝ったのは連勝前に2戦あるだけだった。

血統表[編集]

ラピッドリダックス血統リボー系 / Ribot4×4=12.5%、Northern Dancer4×5=9.38%) (血統表の出典)

Pleasantly Perfect
1998 鹿毛
父の父
Pleasant Colony
1978 黒鹿毛
His Majesty Ribot
Flower Bowl
Sun Colony Sunrise Flight
Colonia
父の母
Regal State
1983 栗毛
Affirmed Exclusive Native
Won't Tell You
La Trinite Lyphard
Promessa

Thiscatsforcaryl
1992 栗毛
Storm Cat
1983 黒鹿毛
Storm Bird Northern Dancer
South Ocean
Terlingua Secretariat
Crimson Saint
母の母
Tesio's Love
1985 栗毛
Tom Rolfe Ribot
Pocahontas
Love for Life Forli
Love of Learning F-No.2-d

牝系は5代母Cosmah、6代母Almahmoudという、競馬史に名を残す名繁殖牝馬へと遡る。Cosmah以下の一族にはサンデーサイレンスの父Halo皐月賞ハワイアンイメージの父フアーザーズイメージ、全日本2歳優駿勝ち馬グレイスティアラなどがいる。

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ このうち1戦は3頭立ての3着だったため、記録上はステークス入着の実績を有する。
  2. ^ 競走形態の一種。出走馬にはクレーミング価格が提示され、購入希望者が現れた場合は自動的に売買が成立するのが特徴。なお、売買成立した馬のそのレースでの獲得賞金は売却前の関係者に支払われる。
  3. ^ 馬主は当初、シガーファニーサイドなどが繋養されているケンタッキーホースパークで余生を送ると発表したが[6]、後に調教師に手配を任せていてよく事情を知らず、言い間違えてしまったとして訂正している[7]
  4. ^ アローワンス競走の一種で、希望する馬主のみクレーミング価格を提示できる。
  5. ^ 1999年生まれのアメリカ産馬。ほかに野路菊ステークス勝ちがある。同名馬に2007年生まれの内国産馬がいる。

出典[編集]

参考[編集]

外部リンク[編集]