メトポン

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メトポン
IUPAC命名法による物質名
臨床データ
法的規制
  • AU: S9 (Prohibited)
識別
CAS番号
143-52-2 チェック
ATCコード none
PubChem CID: 5359353
ChemSpider 4514264 チェック
UNII 94XZ1CC69D チェック
KEGG D12690  チェック
化学的データ
化学式C18H21NO3
分子量299.364 g/mol
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メトポン(Metopon)または5-メチルジヒドロモルフォン(5-methyldihydromorphone)[1]は、1929年に鎮痛剤として発明された[2]オピエートアナログで、ヒドロモルフォンのメチル化誘導体である。

メトポンは、薬品として用いられることがある。ヒドロモルフォンよりも作用が長く続くが、強度が弱く、経口での生物学的利用能はかなり低い。一般的にメトポンは、モルヒネと比べて吐き気や呼吸障害になる可能性がかなり少ないものの[3]、良く用いられる他のオピオイド系鎮痛剤と比べて利点はほとんどない[4]

カナダでは、1948年時点で、悪性痛のために経口のメトポンの塩酸塩の8 mgの錠剤のみが入手できた。Parke & Davis, Co.が製造し、医師と病院のみに販売され、薬局には販売されなかった[5]。カナダで現在もメトポン錠剤が製造、販売されているか否かは分かっていない。

メトポンの錠剤、アンプル、坐薬は、特に慢性痛用の、患者が自ら用いる鎮痛剤として、スイス、オーストリア、ドイツ、そして大陸ヨーロッパのその他の国で手に入る。アメリカ合衆国では、1970年の規制物質法で、付表IIに掲載されており、研究用にのみ認められている。アメリカ合衆国でも1950年代までは、特に腫瘍に対する医薬品としての使用が見られた。現在、メトポンは、連邦官報による毎年の製造割当を受けておらず[6]、大規模な研究は、ドイツ、スイス、オーストリアで行われている。

合成[編集]

メトポンの合成:[7]

関連項目[編集]

出典[編集]

  1. ^ US Patent 2178010
  2. ^ Eddy NB. Pharmacology of Metopon and other new analgesic opium derivatives. Annals of the New York Academy of Sciences. 1948; 51(1):51–58.
  3. ^ Daniel Lednicer. Central Analgetics. (1982), p145. ISBN 0-471-08314-3
  4. ^ McLaughlin JP, Nowak D, Sebastian A, Schultz AG, Archer S, Bidlack JM. Metopon and two unique derivatives: affinity and selectivity for the multiple opioid receptors. European Journal of Pharmacology. 1995 Dec 27;294(1):201-6.
  5. ^ “Metopon hydrochloride (methyldihydromorphinone hydrochloride)”. Can Med Assoc J 58 (1): 79. (January 1948). PMC 1591039. PMID 18897557. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1591039/. 
  6. ^ http://www.deadiversion.usdoj.gov/fed_regs/quotas/2013/fr0703_2.htm
  7. ^ Small, Lyndon; Turnbull, S. Graeme; Fitch, Howard M. (1938). “THE ADDITION OF ORGANOMAGNESIUM HALIDES TO PSEUDOCODEINE TYPES. IV. NUCLEAR-SUBSTITUTED MORPHINE DERIVATIVES*”. The Journal of Organic Chemistry 03 (3): 204–232. doi:10.1021/jo01220a003. ISSN 0022-3263.