メジナ虫症

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。Yuasan (会話 | 投稿記録) による 2018年12月27日 (木) 12:59個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (→‎出典)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

メジナ虫症
マッチ棒にギニア虫を巻きつけヒトの足から取り除く
概要
診療科 感染症
分類および外部参照情報
ICD-10 B72
ICD-9-CM 125.7
DiseasesDB 3945
eMedicine ped/616
Patient UK メジナ虫症
MeSH D004320

メジナ虫症またはギニア虫症 (略称GWD)はギニア虫による感染症である。[1] ギニア虫の幼生に感染したケンミジンコの入った水を飲むことでヒトに感染する。[1] 初期は症状がなく[2] 1年後程にメスの虫によって皮膚の中に水膨れを起こし痛みを感じる様になる。大概この症状は下肢に発症する。[1] その後、虫は数週間かけて皮下から出てくる。[3] その期間中は歩いたり働くことが困難な場合がある。[2] この感染症で死に至ることは稀である。[1]

ギニア虫症はヒトへの感染だけでなく、犬にも感染することがある。[2][4] この虫は幅が大体1~2ミリ、メスの長さは60~100ミリ(オスはメスよりかなり短い12~29ミリ)である。[1][2] 人体の外では、幼生として水中で3週間まで生きることができ、[5]その間にミジンコに食べられ(寄生し)なければ成長できない。[1] ミジンコの中にいる幼生は4ヶ月まで生きることができる。[5]ゆえに、この感染症が再発し続けるには毎年ヒトに感染しなければならない。[6] 感染のほとんどの診断は徴候や身体観察が基本的である。[7]

予防方法はまず感染の早期診断、ついでギニア虫の拡散を減らすため、傷口が飲用水に接触するのを避けることである。[1] その他にするべきことは清潔な水の確保改善だが、もし清潔な水が確保できない場合は水をろ過して使うことである。[1] 布でろ過するだけでも十分な場合がほとんどである。[3] 汚染された飲み水は殺虫剤のテメホスを使って幼生を殺し消毒することができる[1] が、テメホスは治療用の薬やワクチンではない。[1] ギニア虫は棒に巻きつけゆっくり数週間かけ取り除くことができる。[2] ギニア虫が出てくる時にできた潰瘍(かいよう)は細菌に感染しやすい。[2] ギニア虫が取り除かれたあと数ヶ月痛みが伴うことがある。[2]

2015年には22件のメジナ虫症が報告されている。[8]1986年の推定感染件数の3,500,000件と比べると少ない。[2] 現在アフリカでは4カ国で生存在しているが、1980年代の20各国より減っている。[1][8] この感染症は一番に世界的に根絶されるであろう寄生虫病である。[9] ギニア虫症は古代から知られており[2]紀元前1550年のエジプト医学 エーベルス・パピルスに記載されている。[10] 英語名のドラキュンキュリアシス(dracunculiasis)の由来ははラテン語の"リトルドラゴン"[11]からであり、"ギニア虫"は17世紀にヨーロッパ人が西アフリカギニア 海岸で発見した地名が由来である。[10] 他にドラクンクルス属(線虫) は多種の哺乳類に感染すると知られているが人間には感染する傾向はない。[12][13]ギニア虫症は顧みられない病気の一つである。[14]

出典

  1. ^ a b c d e f g h i j k Dracunculiasis (guinea-worm disease) Fact sheet N°359 (Revised)”. World Health Organization (2014年3月). 2014年3月18日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i Greenaway, C (Feb 17, 2004). “Dracunculiasis (guinea worm disease).”. CMAJ : Canadian Medical Association journal = journal de l'Association medicale canadienne 170 (4): 495–500. PMC 332717. PMID 14970098. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC332717/. 
  3. ^ a b Cairncross, S; Tayeh, A; Korkor, AS (Jun 2012). “Why is dracunculiasis eradication taking so long?”. Trends in parasitology 28 (6): 225–30. doi:10.1016/j.pt.2012.03.003. PMID 22520367. 
  4. ^ Centers for Disease Control and, Prevention (25 October 2013). “Progress toward global eradication of dracunculiasis--January 2012-June 2013.”. MMWR. Morbidity and mortality weekly report 62 (42): 829–33. PMID 24153313. 
  5. ^ a b Junghanss, Jeremy Farrar, Peter J. Hotez, Thomas (2013). Manson's tropical diseases. (23rd ed.). Oxford: Elsevier/Saunders. p. e62. ISBN 9780702053061. http://books.google.ca/books?id=GTjRAQAAQBAJ&pg=RA1-PA62 
  6. ^ Parasites – Dracunculiasis (also known as Guinea Worm Disease) Eradication Program”. CDC (2013年11月22日). 2014年3月19日閲覧。
  7. ^ Cook, Gordon (2009). Manson's tropical diseases. (22nd ed.). [Edinburgh]: Saunders. p. 1506. ISBN 9781416044703. http://books.google.ca/books?id=CF2INI0O6l0C&pg=PA1506 
  8. ^ a b Guinea Worm Cases Left in the World”. Carter Center (2015年1月12日). 2015年3月14日閲覧。
  9. ^ Guinea Worm Eradication Program”. The Carter Center. Carter Center. 2011年3月1日閲覧。
  10. ^ a b Tropical Medicine Central Resource. “Dracunculiasis”. Uniformed Services University of the Health Sciences. 2008年7月15日閲覧。
  11. ^ Barry M (June 2007). “The tail end of guinea worm — global eradication without a drug or a vaccine”. N. Engl. J. Med. 356 (25): 2561–4. doi:10.1056/NEJMp078089. PMID 17582064. http://content.nejm.org/cgi/content/full/356/25/2561. 
  12. ^ Junghanss, Jeremy Farrar, Peter J. Hotez, Thomas (2013). Manson's tropical diseases. (23rd ed.). Oxford: Elsevier/Saunders. p. 763. ISBN 9780702053061. http://books.google.ca/books?id=GTjRAQAAQBAJ&pg=PA763 
  13. ^ North American Guinea Worm”. Michigan Department of Natural Resources. 2015年12月10日閲覧。
  14. ^ Neglected Tropical Diseases”. cdc.gov (2011年6月6日). 2014年11月28日閲覧。