ヘルセー

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ヘルセー古代ギリシャ語: Ἕρση, Herse)は、ギリシア神話に登場する女神あるいは女性である。アッティカ方言以外ではヘルサー古代ギリシャ語: Ἕρσα, Hersa)とも呼ばれる。その名は「露」を意味する[1]長音を省略してヘルセとも表記される。

といった同名の女性が数名いる。以下に説明する。

セレーネーの娘[編集]

パオロ・ヴェロネーゼの絵画『ヘルメスとヘルセ、アグラウロス』。フィッツウィリアム美術館所蔵。

このヘルセーは、ゼウスとセレーネーの娘でパンディーア及びネメアの姉妹[1][2]エルセーとも呼ばれる[2]

木星の第50衛星ヘルセの名前の由来となっている。

ケクロプスの娘[編集]

このヘルセーは、アテーナイ王ケクロプスの娘で、アグラウロスとパンドロソスの姉妹[3]アテーナーに預けられたエリクトニオスが入った箱を開けてしまったため、発狂させられ、姉妹たちと共に投身自殺した[3]。ただし、ヘルセーは死なずにヘルメースとの間にケパロスをもうけたともいわれる[3]

ダナオスの妻[編集]

このヘルセーは、ダナオスの妻の一人で、ダナオスとの間にヒッポディケー及びアディアンテーをもうけた[3]

出典[編集]

  1. ^ a b マイケル・グラント 1988年、287頁。
  2. ^ a b フェリックス・ギラン 1991年、172頁。
  3. ^ a b c d 高津春繁 1960年、71, 145, 251頁。

参考文献[編集]

  • 高津春繁『ギリシア・ローマ神話辞典』岩波書店(1960年)
  • マイケル・グラント、ジョン・ヘイゼル『ギリシア・ローマ神話事典』大修館書店(1988年)
  • フェリックス・ギラン『ギリシア神話 新装版』青土社(1991年)