ヘルシンキ市電Nr I形電車

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ヘルシンキ市電Nr I形電車
ヘルシンキ市電NRV I形電車
ヘルシンキ市電MLNRV I形電車
Nr I形(34)(2009年撮影)
基本情報
運用者 ヘルシンキ市交通局
製造所 ヴァルメト
製造年 1973年 - 1975年
製造数 40両(31 - 70)
改造所 交通事業システム(Verkehrs Industrie Systeme GmbH)
改造年 2013年 - 2014年(3車体連接車化)
改造数 10両(113 - 122)
運用開始 1973年12月16日
運用終了 2017年10月30日(2車体連接車)
投入先 ヘルシンキ市電
主要諸元
軸配置 B'2'B'(2車体連接車)
B'2'2'B'(3車体連接車)
軌間 1,000 mm
電気方式 直流600 V
架空電車線方式
設計最高速度 60km/h
起動加速度 4.32km/h/s
車両定員 145人(着席39人)(2車体連接車)
車両重量 28.1 t(2車体連接車)
全長 20,100 mm(2車体連接車)
26,500 mm(3車体連接車)
全幅 2,300 mm
床面高さ 910mm
車輪径 720mm
固定軸距 1,800 mm
台車中心間距離 6,400 mm
主電動機 Strömberg英語版 GHCU/H6232(定格回転数1300rpm、最高許容回転数2640rpm)
主電動機出力 130kW
端子電圧 570V
出力 260 kw
制御方式 電機子チョッパ制御方式
制動装置 発電ブレーキディスクブレーキ電磁吸着ブレーキ
備考 主要数値は[1][2][3][4][5][6][7]に基づく。
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Nr I形は、フィンランドヘルシンキ市電で使用されている路面電車車両。同路線初の連接車で、NRV I形とも呼ばれる。この項目では、低床車体を挿入したMLNRV I形についても解説する[1][2][3][4][6]

概要[編集]

フィンランド首都ヘルシンキ市内を走るヘルシンキ市電における初の連接車(2車体連接車)。当時ドイツデュワグが展開していた路面電車車両であるデュワグカー(GT6)を基に設計が行われたが、GT6と比較して車体設計が変更された他、量産された路面電車車両としては世界で初めて電機子チョッパ制御装置が用いられた。車体は右側通行を前提とした片運転台で、車内にはクロスシートが配置された。1973年から1975年にかけて40両(31 - 70)が導入され、残存していた2軸車を全て置き換えた[1][2][3][4]

製造以降ワンマン運転への対応工事を始めとした各種工事が実施されている他、2005年からは全車に対して機器や内装、構体の修繕を主とした近代化工事が行われている。また、塗装についても登場当初は赤色と薄い灰色を基調としたものであったが、その後1995年までに旧型電車と同様に上半分がクリーム色、下半分が緑色の塗装に戻されている。[1][2][3][6]

2013年 - 2014年には、再度の大規模修繕に加え中央部(乗降扉付近)が低床構造となっている中間車体を挿入し3車体連接車MLNRV I形とする改造が10両を対象に行われ[注釈 1]、同時に車両番号も以下のように変更されている。2021年の時点で現存するのはこの10両のみであり、改造されなかった30両は新型車両「アーティック」の投入により2017年10月30日をもって運用から離脱している。

変更前 34 37 38 49 50 60 61 62 63 68
変更後 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122

ギャラリー[編集]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 改造はドイツハルバーシュタットに工場を有する交通事業システム(Verkehrs Industrie Systeme GmbH)によって行われた[5]

出典[編集]

  1. ^ a b c d NRV I”. HKL (2018年1月30日). 2020年10月24日閲覧。
  2. ^ a b c d HKL: Moottorivaunut / HKL: Motor trams 31–70 (1973–75 –)”. raitio. 2020年3月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年10月24日閲覧。
  3. ^ a b c d Neil Pulling (2020-1). “Systems Factfile:Helsiniki”. Tramways & Urban Transit No.985 (LRTA) 83: 26. http://www.bowe.cc/techlib/pdf/Tramways_and_Urban_Transit_vol83_no985_1578702547.pdf 2020年10月24日閲覧。. 
  4. ^ a b c Helsingin raideliikenteen historiaa”. Kaupunkiliikenne.net (2016年7月4日). 2020年10月24日閲覧。
  5. ^ a b „Straßenbahnen aus Sachsen-Anhalt rollen bald durch Helsinki“”. Investieren in Sachsen-Anhalt (2012年3月28日). 2020年10月24日閲覧。
  6. ^ a b c MLNRV I”. HKL (2018年1月30日). 2020年10月24日閲覧。
  7. ^ Harry Hondius (2002-7/8). “Rozwój tramwajów i kolejek miejskich (2)”. TTS Technika Transportu Szynowego (Instytut Naukowo-Wydawniczy „SPATIUM” sp. z o.o): 38. http://yadda.icm.edu.pl/yadda/element/bwmeta1.element.baztech-article-BGPK-0379-2650/c/Hondius.pdf 2020年10月24日閲覧。. 

外部リンク[編集]