ヘマテイン

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ヘマテイン
識別情報
CAS登録番号 475-25-2 チェック
PubChem 10138
ChemSpider 9732 ×
UNII 88Q1SYD10B チェック
MeSH Hematein
ChEBI
ChEMBL CHEMBL1360563 ×
特性
化学式 C16H12O6
モル質量 300.26 g mol−1
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

ヘマテイン(Haematein)は、ヘマトキシリンの酸化誘導体で染色に用いる。カラーインデックスではヘマチンとも呼ばれるが、ヘモグロビンの分解で生じる茶色から黒色の色素であるヘマチンとは異なる。

性質[編集]

ヘマテインは、水性アルカリ性の条件では青色で溶けにくく、アルコール性酸性の条件では赤色で溶けやすいという、指示薬のような性質を示す。溶けたヘマテインは空気中の酸素とゆっくり反応し、役に立たない物質になる。

応用[編集]

酸性溶液中で、ヘマテインと金属(通常はアルミニウムだがクロムジルコニウム、その他のことも)の複合体が生体染料として用いられる。アルミニウム-ヘマテイン(ヘマルム)は、ヒトやその他の動物の組織切片中の細胞核の染色に通常用いられる。金属-ヘマテイン染料は、神経線維髄鞘やその他の細胞小器官を染色するのにも用いられる。染色の色は、用いる塩によって異なり、アルミニウム-ヘマテイン複合体は青色だが鉄複合体は非常に暗い青色または黒色になる。

アルミニウム-ヘマテイン(ヘマルム)は細胞核のクロマチンと結合する。ヘマルム染色法は1860年代から使われているが、色素-金属複合体と結合する物質はまだはっきりと分かっていない。ある組織化学的な調査では、カチオン型アルミニウム-ヘマテイン複合体がDNAリン酸アニオンに惹かれることが明確に示された。他の調査では、ヒストンアルギニン残基がヘマルムと結合することが示された[1]

ヘマルムで染色される構造はしばしば好塩基性と言われるが、染色の機構はより小さい分子の塩基性(カチオン性)染料ほど単純ではない。真に好塩基性の構造は、核酸または細胞外マトリックス中のグリコサミノグリカンや様々な粘液中の酸性糖タンパク質を含むものである。ヘマルムは通常、核クロマチンの他、ケラトヒアリン顆粒や石灰化沈着物等の少数の物質のみを染色する。通常染色に用いるよりも高pHのpH3.2の希薄溶液は、カチオン化した色素-金属複合体を形成し、核酸を徐々に染色する[2]。通常の染色に用いるヘマルム溶液はより濃度が高く酸性(pH2-2.5)で、化学的または酵素的に組織からDNAまたはRNAを抽出した後に核を染色することができる[3]

出典[編集]

  1. ^ Puchtler, H., Meloan, S.N., Waldrop, F.S. (1986). “Application of current chemical concepts to metal-haematein and -brazilein stains”. Histochemistry 85 (5): 353-364. doi:10.1007/BF00982665. PMID 2430916. 
  2. ^ Bettinger, C.; Zimmermann, H.W. (1991). “New investigations on hematoxylin, hematein, and hematein-aluminium complexes. 2. Hematein-aluminium complexes and hemalum staining”. Histochemistry 96 (3): 215-228. doi:10.1007/BF00271540. PMID 1717413. 
  3. ^ Lillie, R.D., Donaldson, P.T. & Pizzolato, P. (1976). “The effect of graded 60C nitric acid extraction and of deoxyribonuclease digestion on nuclear staining by metachrome mordant dye metal salt mixtures”. Histochemistry 46 (4): 297-306. doi:10.1007/BF02464419. PMID 57109.