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数学においてフェンシェルの双対性定理(フェンシェルのそうついせいていり、英: Fenchel's duality theorem)は、ウェルナー・フェンシェル(英語版)の名にちなむ、凸函数の理論における一結果である。
ƒ を Rn 上の真凸函数とし、g を Rn を真凹函数とする。このとき、正則性の条件が満たされるなら、

が成り立つ。ここで ƒ * は ƒ の凸共役(フェンシェル=ルジャンドル変換とも呼ばれる)であり、g * は g の凹共役である。すなわち、次が成り立つ。


X と Y をバナッハ空間とし、
と
を凸函数とし、
を有界線型作用素とする。このとき、フェンシェルの問題とは


が弱双対性を満たす、すなわち
が成立することを言う。ここで
はそれぞれ f,g の凸共役であり、
は共役作用素であることに注意されたい。この双対問題に対する摂動函数は
で与えられる。
f,g および A は次のいずれかを満たす。
- f と g は下半連続で、
。ここで
は代数的内部であり、
はある函数 h に対する集合
である。
。ここで
は函数が連続であるような点である。
このとき強双対性が成立する。すなわち
となる。
であるなら、順序集合が達成される[1]。
- ^ Borwein, Jonathan; Zhu, Qiji (2005). Techniques of Variational Analysis. Springer. pp. 135–137. ISBN 978-1-4419-2026-3