ハーバード方式

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ハーバード方式 (Harvard referencing)、著者名・発行年方式[1] (author-date system[2])、挿入法 (parenthetical system[3]) は、論文引用した出典を、著者発行年に基づいて示す方法である (科学技術振興機構 2008)。かつて本文中や各ページの脚注に散在させていた参考文献書誌を論文末尾にまとめて列挙し、その順序を著者姓と発行年の昇順とし、本文での言及を著者姓と発行年のみで行うことが特徴である (Chernin 1988) (下例)。

ハーバード方式の例
本文側 
ハーバード方式はEdward Laurens Markによって考案された(Chernin 1988, p. 1062)。
参考文献の章 
Chernin, Eli (1988), “The “Harvard system”: a mystery dispelled”, BMJ : British Medical Journal 297 (6655): 1062-1063 

概要[編集]

参考文献の書誌事項を、本文に直接書かずに最後に列挙し、本文には参考文献の著者名と発行年のみを記述して出典を示す方法を、ハーバード方式という (科学技術振興機構 2008)。参考文献を列挙する章は、「参考文献」[1] (References) や「文献目録」 (Bibliography)、「参照文献」[4]「引用文献」[1]「言及文献」 (Works Cited) 等と題される。参考文献はその著者の姓のアルファベット順に並べられる(科学技術振興機構 1986, §5.9 (2))。本文では、引用の直後に、参考文献の著者名と発行年を括弧の中に入れて示し、末尾の参考文献を参照する (科学技術振興機構 1986, §5.9 (1))。例えば、(Smith 2005) のような形である。ページ番号も分かる場合は、(Smith 2005 p. 1) や (Smith 2005: 1) のように記述される。したがって、参考文献の章での書誌事項は次のように書かれる。

Smith, John. (2005) Harvard Referencing, Florida:Wikimedia Foundation. ISBN 1-899235-74-4.

起源とバリエーション[編集]

ハーバード方式を初めて使用したのは、Mark (1881)である。彼は、ハーバード大学の解剖学の教授で動物研究所の所長であり、研究所の図書館の分類方法を応用した (Chernin 1988)。

ハーバード方式は人文・社会科学以外の科学分野でよく利用されている (University of Georgia 2004, 冒頭文)。美術歴史文学分野では、脚注をつける方式である「ドキュメント・ノート法」 ("documentary-note") や「古典文学法」 ("humanities") が伝統的に好まれている。バンクーバー方式(科学技術振興機構 2008)と呼ばれるハーバード方式のバリエーションは、主に医学分野で利用されている。最近では、「大多数の科学技術教育組織」 ("most scholarly and professional organizations") がハーバード方式を採用している[5]

書誌の書き方とその参照方法[編集]

ハーバード方式では、参考文献を論文の末尾にまとめて列挙し、本文からはその著者の苗字と出版年(ページの範囲)でその参考文献を参照する (科学技術振興機構 1986, §5.9)。これは、この項目の冒頭で示した例のような形となる。

  • ページ番号とページ範囲は、その文献全てが参照される場合には省略される。著者の苗字は記述される文中に表れる場合は、かっこ内では省略される。これは次のような例の場合である。
    • 「ジョーンズは外傷手術分野を改革した(ジョーンズ 2001, pp. 1-999)」→「ジョーンズ(2001)は外科手術分野を改革した」
  • 2人か3人の著者を参照する場合は、「and」や「&」を使用して記述する。例えば (Author, Smith, and Jones 1991)、(Author, Smith & Jones 1991) の形である。4人以上の場合、「~ら」(et al.) を使用して記述する。例として次のようになる。(Author et al. 1992)
  • 出版年が不明の場合、「不明」("n.d."[6]) と記述する (科学技術振興機構 2007, 4.3.4 (3))。例: (Deane n.d.)。重版された参考文献を参照する場合は、角括弧に元の出版年を記述する。例: (Marx [1867] 1967, p. 90)。
  • もし、参照した複数の文献に、同一著者で同一出版年のものが存在した場合、先に発行されたものから順番にアルファベットの添え字を出版年につける。例: 2005年の場合、最初のものを2005a、2つ目を2005bとする。
  • 参照は引用の直後に挿入するか、その文末の句点の前に置く。ただし、複数の文章にわたって引用を行った場合は、句点の後に置く。
  • 書誌事項は論文の末尾の章に、アルファベット順で列挙する (科学技術振興機構 1986, §5.9 (2))。ただし、技術論文の参照の場合、アルファベット順ではなく、登場順に記述される場合もある(バンクーバー方式) (科学技術振興機構 1986, §5.9 (2))。これらの記載は、「参考文献」 ("References") や「参照文献」 ("Works Cited") に置かれる。文献目録 (biblography) は、本文から参照されていない非言及文献まで含むことがある点で、参照文献 (works cited) や参考文献と異なる (科学技術振興機構 2008)。
  • 参照は本文と同じフォントで記述する。バリエーションとして、使用する分野によりフォントの記述に関してのルールが存在する場合もある(例えば、書名をイタリック体にする、論文誌の号数をボールド体もしくはアンダーラインを使用する等) (科学技術振興機構 2007, 付録: 国際的な参照文献の記述スタイル)。

書誌の例[編集]

本の書誌の例としては、次の形になる。

  • Smith, J. (2005a). Harvard Referencing, Wherever, Florida:Wikimedia Foundation. ISBN 1-899235-74-4.
  • Smith, J. (2005b). More Harvard Referencing, Wherever, Florida:Wikimedia Foundation. ISBN 1-899235-74-4.

論文の書誌の例としては、次の形になる。

  • Smith, John Maynard. (1998). The origin of altruism. Nature 393: 639-40.

新聞記事の書誌の例としては、次の形になる。

もし、記事がオフラインのものである場合、次の形になる。

  • Bowcott, O. (October 18, 2005). "Protests halt online auction to shoot stag." Guardian.

ハーバード方式を採用した投稿規定としては、アメリカ心理学会のAPAスタイルが挙げられる (科学技術振興機構 2007, 付録 (4))。

ハーバード方式と要旨の記述[編集]

ハーバード方式は要旨を記述 ("content notes") するために使用される脚注と互換性がある。ハーバード法は、参考文献の記述("reference notes"、文章記述式の参考文献)に用いられる。ハーバード法でも要旨を記述するために脚注を利用することもある。

脚注[編集]

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  1. ^ a b c 科学技術振興機構 2008
  2. ^ University of Georgia 2004, Author-Date System
  3. ^ Perelman, Paradis & Barrett n.d.
  4. ^ 科学技術振興機構 2007
  5. ^ MIT - マイクロソフトの共同ベンチャー企業により後援されている引用の指針では、「大多数の科学技術教育組織では、『ドキュメント・ノート法』の利用をやめた。これは、『その方法』が冗長で扱いにくいからである。1980年台に、アメリカにおいて英語や他の言語の文学を研究する近代言語学会 (Modern Language Association) は、要旨を記述する方法から、挿入法 (parenthetical style) に変更することを推奨した(Perelman, Paradis & Barrett n.d., §10.3)。」
  6. ^ no date of publicationの略

参考文献[編集]

関連する分野に関してさらに知るには[編集]